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ノートリンク機能を使ったEvernoteでの「読書ノート」



倉下忠憲
先日Mac版のEvernote(ベータ版)にノートへのリンク機能が追加されました。ベータ版なので通常バージョンには未だ追加されていませんが、おいおい追加されると思います。

このリンク機能は複数の可能性を秘めていますが、そのあたりは「R-styleの記事」なんかを参照してみてください。リンク機能の簡単な紹介も書いてあります。

今回は、このリンク機能を使うことで一段階レベルアップした「読書管理」について紹介したいと思います、


「読書」に関する情報

読書において管理すべき情報はいくつかあります。言い換えれば読書ノートに記入する情報というのは結構たくさんあるわけです。たとえば、

  • 書籍データ
  • 自分の購入データ
  • 本の感想・まとめ
  • 本に関するタスク
  • 引用

というような情報があります。

これらのデータはモレスキンのパッションシリーズの「ブックジャーナル」のようなアナログ形式で管理することもできますし、メディアマーカーのようなウェブサービスで管理することも可能です。

もちろん、これには「正解」というものはないので、Evernoteで管理してもまったく問題ありません。しかも、Evernoteであれば、手書きとデジタルデータを併用しながら統合的にデータを管理することができます。

新「読書ノート」

実際にどのような「読書ノート」になるかは、画像を見てもらうと一番でしょう。複数のデータがこのノートに集約しています。
※画像は一枚のノートの上下です。

Evernoteでの読書ノート(上)
Evernoteでの読書ノート(下)

それぞれのデータについてすこし見ていきます。

書籍データ

発売日や購入日、著者、表紙画像などはメディアマーカーからEvernoteにデータを送ります。設定などについてはシゴタノ!の「北さんの記事」を参考にしてください。本を購入したら、その時点でiPhoneからメディアマーカーに登録しておけば、そのデータが自動的にEvernoteに流れてきます。これが「読書ノート」の基盤になります。

このノートに情報を追加していきます。

本に関するタスク

読書メモをまとめたり、ブログに書評を書くという本に関するタスクを追記します。Evernoteではチェックボックスを使えるので簡単ですね。

読書メモ

読書メモを書いて、それをEvernoteに追加します。テキストデータで「レバレッジ・メモ」や「ねぎま式」の読書メモを作成しても良いでしょうし、アナログ形式の「マインドマップ」などでももちろんOKです。その場合は紙をスキャンしてEvernoteに取り込むことになります。

読書メモのノートを作成したら、そのノートへのリンクを「読書ノート」に貼ります。参考例ではリンクは1つですが、複数あっても問題ありません。時にさまざまな角度から読書メモをとる場合もあるでしょうが、それもリンクの形でまとめておけばすっきり表示できます。

リンクをクリックすると、読書メモにアクセスできます。

例えばこんな読書メモ

引用

「この言葉良いな」というものは、是非とも保存しておきたい所です。これにもテキストデータやアナログメモの両方が使えます。さらに「写真」を使うこともできます。

私の場合、読書中にピンときた言葉は赤線を引いておいて、後で見返しながらiPhoneで写真を撮影してEvernoteに送信するという手順を踏みます。

そうして作成したノートのリンクを「読書ノート」に貼り付けます。ノートリンクは複数ノートを選択すれば、それらのノートのリンクが一括で作成されるので手間はそれほどかかりません。

リンクをクリックすると該当の「内容」にアクセスできます。

手抜きで転記

個別に扱い、一つに集約

本のデータはメディアマーカーで、タスクはデジタルで、メモは手書きで、引用は写真で、と縦横無尽__というか好き勝手にツールを使い分けて、それをEvernote上で集約する、というのが現状の読書に関するデータのまとめ方になっています。

ややこしいことをしているように感じられるかもしれませんが、もともと全てのデータはEvernoteに集めるようにしているので、あとはそれをノートリンクを使ってまとめるという作業を一手間加えているだけです。これで閲覧性がかなり上がりました。

ノートをアウトプットに使うためには、「1ノート1項目」の原則を守り、それぞれを「素材」として扱えるようにしておくのが望ましいところです。しかし、その状態だと「ある本に関する情報」を一覧することができなくなります。現状のやり方は、「引用」は引用を集めたノートブックに、「読書メモ」は関連するプロジェクトのノートブックに、という感じで素材は別の場所に置きながら、その本に関する情報は「読書ノート」に一元化するという多層的な管理方法です。

リンク機能がないと、これを実現するためには本一冊ごとにタグを作るか、全てのノートタイトルを「40歳からの適応力:〜〜〜」という形式にせざるを得ません。前者は所蔵量的に無理を感じていましたし、後者はあからさまに面倒ですね。

ノートのリンク機能はほどよい手間加減で、これを実現することができます。

さいごに

ノートのリンクは、まだまだ使い方の可能性が眠っている機能だと思います。もちろん、Evernoteに入っているノートが多くなればなるほど、こういう「まとめのノート」の利便性があがってくることは間違いありません。

通常版に実装されるまでに、自分なりの「妄想」を考えておくのも楽しそうです。

▼関連エントリー:

MacのEvernote(beta版)にノートへのリンク機能が追加
MediaMarker&Toodledo&Evernoteで快適読書ライフをEnjoyしよう!/ビギナーズ・ハック第36回 

▼今週の一冊:

最近は「行動経済学」に関する本をよく手に取るのですが、これもそんな一冊です。

「プロスペクト理論」を組み立てた、カーネマンの自伝的内容と、論文の簡単な紹介です。人間は完全合理的な生物でもありませんが、そのかわり完璧な非合理性的な生物でもありません。「限定合理性」という限られた合理性しか持っていない、という視点に立つといろいろなものが見えてきます。

個人的にはカーネマンの自伝が面白かったです。「行動経済学」という学問がどのように立ち上がってきたのかというのが、垣間見えてきます。


▼編集後記:
倉下忠憲
 いよいよ自著三冊目の発売です。

『FacebookTwitterで実践するセルフブランディング』というタイトルから分かるとおり、ソーシャルメディアを活用したセルフブランディングについての考え方を紹介している本です。本当に軽い自伝的な内容も含まれています(笑)。これを読めばアクセス数が急増する!というタイプの本ではないので、ご注意ください。


▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。