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先に決めるか、決めないか


写真を始めて20年。まさか老後に、こんなにも夢中になり、長く続けられるものと出合えるなんて思ってもいませんでした。人生って何が起こるかわからないものですね。
96歳アマチュア写真家、個展は超満員。23歳で結婚後、趣味を持たずに働き続け、74歳で夫と永遠の別れ。その後出会った写真の面白さ

佐々木正悟 この種の話を聞かない日はありません。

にもかかわらず「やりたいこと、やるべきことを、いつ、どのタイミングでやるのかを、先に決めておくほうがいい」と当たり前のように信じられています。

不思議なことです。

先決めすると、私たちは次のような話に不安にさせられてしまうわけです。

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事実、その通りなのかもしれません。
しかし私は、自分がいくつまで生きられるのかを、知りません。
老後に、何に夢中になって、どんな生活を送るのかも知りません。
そもそも「老後」があるかどうかすらわかりません。

「人生って何が起こるかわからない」とは皆が知っているにもかかわらず、ごくわずかの、それもあまり自分と関係ないような「人生プラン」を簡単に信じる気持ちにはどうしたってなれません。

私はだいたい、人が示す「早めにやっておいた方がいい」をずっと無視して生きてきました。テスト勉強も、受験勉強も、就職活動も、婚活も、ほぼまともにやったことがありません。やっておけばよかったと思ったことも、ありません。

本当に「決めたとおり」にできたほうがいいのか?

将来のことは分からないのであれば、それは「老後」だろうと「明日のこと」だろうと同じです。冒頭の婦人は、ある日とつぜん、写真に興味をもったのです。その前日までは、「明日にもカメラに興味をもつ」などとは思っていなかったでしょう。

明日のことだって、わからないのです。
何が起こるかわからない以上、なにをするかも、本当には決められないはずです。

私は「タスク管理」でもこの観点が必須だと思っています。
これがないと「決めたとおりにできなかった」という奇天烈な後悔にさいなまれるからです。

決めたとおりにはできないからこそ、写真に興味をもつことができるのです。
つまり決めたとおりにはできないほうがいいことだって、多いのです。

あえて言えば「決めたとおりにできた」せいで悪い結果になるリスクだって少なくないはずです。決めたとおりに赴いた先で事故に遭うかもしれません。

それでも、たとえ結果として致命傷を負う羽目になったとしても「決めたとおりにできる」方が「嬉しい」人もあるかもしれませんが。

ただ、客観的な損得という意味では「決めたとおりにできる」ことにさほどの意義があるとは思われません。

だから私は、なるべく何も決めずに、周囲に合わせて生きているうちに「現実の方でよいようにしてくれる」のを期待します。そもそも「この世に生まれた」というのはそこから始まったはずですから。

▼編集後記:
佐々木正悟


立花岳志さんとのクロストークは先日、無事開催しました。
 
想像以上の方にご参加いただきました。たいへんありがとうございます。
 
今月いっぱい、レクチャー内容の動画を販売しております。