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アイデアをプロジェクトにしない



佐々木正悟 アイデアというものは、人によっては無限に出てきます。ということは、それをタスクやプロジェクトにするべきではないのです。無限に出てくるものをタスクにしたら、タスクが無限に増えてしまいます。

GTDでもいちばん有名な、

  • 気になることを洗い出す

ステップが「無限タスク製造タイム」になってしまうという人が少なからずいます。

やっているうちに吐き気がしてくる、というのです。

明鏡止水の精神を得るためのステップで吐き気がするのは何かが間違っています。

アイデアの発想だけは得意だ、という人はとくに注意しましょう。

発想直後のほやほやのアイデアほど、自らをスティーブ・ジョブズと錯覚させる不思議な力をもっています。

この魔法を解くためにはシンデレラの馬車と同じで、一日おいてみると良いでしょう。

おそらくはほとんど無価値に見えるはずなので、迷うことなくゴミ箱に捨ててしまってダイジョウブです。

「とはいえ、たしかに無価値にも見えるが、もしかしたら素晴らしいかもしれないアイデアを捨ててしまったら、もしかするとジョブズになれる可能性をゴミ箱に捨てることになるのではないだろうか?」

という不安がよぎるでしょう。

ただ、「ジョブズになれる可能性に苦しめられる」よりは、読み返すのも気の重い膨大なアイデアをすべて捨ててスッキリした方がよい人生が送れるものです。

それでも一週間おいてみて、どうしても素晴らしいように思えなくもないアイデアがあるでしょう。

それらは、タスクのサブタスクにしてみましょう。

アイデアは語ってみるだけなら簡単

つまり、通常業務のなかの、たとえばプレゼン資料に素晴らしいかもしれないアイデアを入れてみて、ちょっと披露してみるのです。

もっと手軽なところでSNSやYoutubeなどで発信してもいいと思います。

巨大掲示板にスレッドを立てるのも悪くありません。

アイデアの実行となると相当の手間でも、語ってみるだけなら簡単です。

しかしそうすると、せっかくのiPhoneに匹敵するアイデアをやすやすと他人に盗まれる恐れもあります。

あなたにはすでに、

「これを実行する資金さえオヤジが出してくれていたら、今ごろ自分がジェフ・ベゾスだった!」と歯がみするほどのアイデアが、100や200はあるはずです。

たしかにそれはもったいないことかもしれません。

悔しくて夜も眠れないのももっともです。

けれども、こう考えてみてはどうでしょう。

自分のアイデアを誰かが勝手に実行に移すことで、世の中は確実に進歩しているのです。

たしかに富や名声は得られていないかもしれませんが、iMacやAmazonは、すでに私たちの手の中にあります。

ジョブズやベゾスになるのは、あれはあれでけっこう大変です。

また、彼らのようになれば必ず幸せに生きられるとも限りません。

彼らのアイデア実行の果実だけ手に入れて、賢く気楽に生きるのも悪くないのではないでしょうか?

▼編集後記:
佐々木正悟


 
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