以下のご質問をいただいたので本記事で回答します。
タスクシュート時間術を実行しようとする中で、もう一つできていないことは、仕事のタスクに見積時間を設定していない、できないことです。
仕事以外の家での家事などについては記録から自動的に見積もりを計算しているのですが、仕事に関しては粒度がバラバラになってしまうからか、見積もりをどうたてていいかわからず、結果として記録もあまりつけられなくなっています(職業は大学の事務職員です)。
特に仕事についての見積時間に関する考え方や実践方法など、とりあげていただけるととても嬉しいです。
まずタスクを大きく2種類に分ける
タスクシュートに並んでいるタスクには大きく分けて次の2種類があります。
- 繰り返すほどに見積もり精度がアップするタスク
- 何度繰り返しても見積もり精度がブレブレなタスク
料理に喩えるなら、レンジ調理は前者に、煮物料理は後者に近いでしょう。
レンジ調理は「何分温める」という基準が明示されており、その時間通りにセットすれば毎回同じ味になります。
たとえば、いわゆる「レンジご飯」のパッケージには「500Wで2分」などと具体的に書かれています。
一方、煮物料理はその日の気温や食材の種類や分量によって火加減も調理時間も変わるでしょう。
レシピサイトを見ても「煮立ったら弱火」とか「細かい泡がフツフツ出る状態をキープ」など、ふわっとした表現が多いはずです。
つまり、タスクには以下の2種類がある、ということをまずは受け入れる必要があります。
- ブレが少なく安定的にこなせるタスク
- そのときどきの状況に応じて臨機応変に対応するタスク
タスクシュートを使っていると、すべてのタスクを前者のように「処理」できると思われがちです。
でも、それは毎日の食卓をレトルト食品とインスタントみそ汁とレンジご飯だけで構成するようなものです。
もちろん、このあたりは価値観なので「それでOK、むしろ歓迎!」ということならいいのですが、「それでは困る」という場合は後者の臨機応変の余地を持っておくことになります。
特に相手のある仕事であれば、その相手は「定型的に処理された」とか「テンプレートメールで済ませられた」と感じたらガッカリする可能性が高いでしょう。
これを防ぐためにも、かけられる時間目いっぱいをかけて対応したい。
そんな「後顧の憂いなく、かけられる時間目いっぱいをかけられる」ようにするうえで、「レンジ調理」が役に立ちます。
すなわち相手のない仕事、定型的な処理でもOKな仕事を極限まで圧縮したり最適化することで余力と余裕を作り出すわけです。
今回のご質問にある、
仕事以外の家での家事などについては記録から自動的に見積もりを計算している
とは、まさにこれを実践していらっしゃることになります。
そうであるならば、あとは安心して「粒度がバラバラの仕事」に思う存分、時間をかけて誠意を込めて取り組むだけです。
そのような仕事に取り組めてるとき、人は仕事にやりがいを感じるのではないかと思います。
ただし、使える時間には限りがありますから、「こういう仕事に私が誠意を込めて取り組むと、28分かかるんだな」という目安を知るためにも、かかった時間はきっちりと記録に残すようにしましょう。
このあたりはタスクシュートを使っていれば自動的に残りますね。
そういう意味では「煮物料理」的な仕事の見積もりは、「その仕事にかけてもいい最大時間を決断する行為」と言えます。
そして、こういうときこそタスク実行後のコメントに「きっちり対応できて満足」とか「期待に応えられてうれしい」といった感想を書いておく。
すると、後で記録を読み返したときに、「よし! もっと役に立てるようにがんばろう♪」という前向きな気持ちが生まれます。
良いサイクルに入れるわけです。
同時に、記録を読み返すことで「私が誠意を込められるのは一日あたり最大xx時間」という数字も把握できます。
この数字が分かっていると、無理なスケジュールを立てることが避けられるようにもなり、引き続き良いサイクルを回し続けられるはずです。
※本記事は「タスクシュート・ジャーナル」の転載記事です。