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10,000ページのメモを格納するうえで、ScrapboxとObsidianのどちらを選ぶか?



大橋悦夫Evernoteのノート数が現時点で13万超え(非同期含む)の大橋です。

以下の音声でもお話しましたが、EvernoteからScrapboxに移行中です。

音声002:スマホで取ったメモを後から確実に活用するためにやっていること - シゴタノ!記録部


「移行」とはいえ、すべてのノートをScrapboxに移しきるつもりはありません。

“新天地”でも活躍が期待されるノートのみを厳選しています。

そういう意味では「植え替え」と言えるかもしれません。

現時点で、Scrapbox(非公開プロジェクト)には3,000ページ弱のメモがありますが、今後これが1万のオーダーになっても有効に機能するかは未知数です。

Scrapboxの発明者である増井俊之さん(@masui)は以下のようにツイートしているので、さほど不安はないものの、これとは別に気がかりな点があります。


使い続けてみて初めて分かること

気がかりな点とは、Obsidian(オブシディアン)です。

#Obsidianについては倉下忠憲さんが記事を書かれています。

Obsidianのここが良い | シゴタノ!


ScrapboxとObsidian、両者は似た用途で使えるメモツールではありますが、当然その設計思想はそれぞれに異なります。

設計思想にフィットした使い方をすれば、そのツールのポテンシャルを最大限に発揮できるでしょう。

でも、ツールというものは人間が作っている限り、その設計思想というものも漸次変化していくものです。

使う側でも使い続けるうちにツールとの関係性が変化していくでしょう。

ツールに格納するデータが増えるほどにその使い方もやはり変化していくことになるはずです。

先述のとおり、現時点でScrapboxには3,000ページ弱のメモがありますが、これが10,000ページになったときにはおそらく今とは違った使い方になっているはずです。

2008年から使い続けているEvernoteには、その10倍以上の13万件以上のノートがあり、やはり使い始めた当初とは違った使い方をしています。そうせざるを得ない、とも言えます。

10年以上のEvernote使用経験に照らして考えてみると、ツールというものは使い続けるほどに、良い意味で「適当に」使うようになってきます。

どんなツールでも使い始めた当初は「厳密な運用」を墨守するものですが、使い続けるうちに少しずつ肩の力が抜けていき、「あそび」が生まれます。

「がんばらないと続けられない使い方」から「適当でも続けられる使い方」に少しずつ、しかし、一直線に変化していくのです。

当初と比べると少ない労力で、当初よりも多くのリターンが得られるようになっている、と言えます。

収穫の時期を迎えるようなイメージです。

10年以上使い続けたEvernoteは、すでに収穫の時期を終えているかもしれません。

これからの収穫のために

ブランクもありつつ、この2年ほど使い続けているScrapboxに比べると、今年から使い始めたばかりのObsidianは、僕にとってはまだ「がんばらないと続けられない使い方」の段階にいます。

一方、Scrapboxは僕なりの「適当でも続けられる使い方」にシフトしつつあります。

そうなると、ツールの違い以上に、それぞれのツールの使用経験の違いにも目を向ける必要があります。

さもないと「Obsidianは(慣れてないから)取っつきにくくて難しいけど、Scrapboxは(慣れているから)直感的でわかりやすくて使いやすい」みたいな結論を出してしまいそうです。

とはいえ、Evernoteに比べればScrapboxもObsidianもまだ“鍬入れ”を始めたばかりのようなもの。

そう考えると、EvernoteもScrapboxもObsidianも、アイデアを育てるための畑のように思えてきます。

奇しくも、Evernoteを使い始めた2008年に出した本のテーマは「時間畑」でした。

畑違いのようですが、同じ畑の話です。

たまたま昨日、倉下さんがこの本に言及してくださっていたので思わず反応してしまいました。

以下は、上記ツイートに紹介されているページの引用です。

ブログを始めたばかりの頃は書いても何の見返りもない、空しい期間が続くかもしれません。

そんな中でも、ブログを書く時間を捻出し、記事というタネをまき続けるためには、その行為が自分にとって意義のあるものであることが大切です。

このタイミングでは、自己満足で良いのです。自分が喜びを見い出せないようなことで誰かを喜ばせることなどできないからです。


メモツールにもまったく同じことが言えます。

始めたばかりのころはメモを追加しても「何の見返りもない、空しい期間」が続くのです。

でもこの期間を楽しく過ごすことができれば、喜びという収穫を手にすることができるはず。

Obsidianと使い分ける? Obsidianに乗り換える?

ということで、結論は保留しつつ、現時点ではScrapboxとObsidianの両方の“畑”にタネをまいていくことになりそうです。

まとめ

  • メモツールは「畑」だ、ということに気づいた。
  • その心は「収穫」が得られるまでに想像以上に時間と手間がかかること。
  • そうであるならば、焦らずじっくり時間をかけて「タネまき」を楽しめばいい。