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タスクシュートをするなら、タスクシュートだけでやってみる

佐々木正悟

佐々木正悟 最初に断っておきます。

この記事に書くすべての内容は、タスクシュートの生みの親である大橋悦夫さんや、TaskChute Cloud開発者のjMatsuzakiさんとは意見がちがうかもしれません。

つまりこの記事は、佐々木正悟の独断であると判断してください。したがってこの記事についてのすべての反論やご感想は、ひとり佐々木のところにお寄せいただけますと幸いです。

結論から言います。

  • タスクシュートをするなら、GTDなど、他のタスク管理と併用したり「統合」しようとしないこと

それをすればするほど、うまくいかなくなるからです。

言っていることはシンプルです。

  • タスクシュートは、タスクシュートだけでやるのがいちばん効果的である

ということです。

非常に独善的な意見ですので、いまどきこうした言い回しは、賢明であれば避けるものです。

しかし、「タスクシュートとGTD」とか、「タスクシュートと7つの習慣」とか、「自分に合う、合わないを見極めて、いろいろな手段のいいところを取り入れる」とかいっても、具体的にどこに「タスクシュート」があるのか、私からみればさっぱりわからないことがよくあります

「タスクシュート」についてくわしくは知らないという人が、いきなり、「GTDのいいところとタスクシュートのいいところを見極めて組みあわせる」といった「離れ業」に挑んでもどうにもならない、と言ってもいいと思います。

タスクシュートの基本の「き」は、

  • いまやっていることを、開始した時刻とともにデジタルに入力し、終わったらその時刻も記録する

ことです。

アナログでは、ダメです

私たちは、やるべきことは、やっている

これまでこの点でもむしろ私は遠慮しすぎていたので、かえってわかりにくくなっていたと反省しています。

アナログではタスクシュートはムリなのです。

このことだけでも、たとえば「紙と鉛筆でOK」のGTDとはちがいます。

しかし何よりもちがうのは、GTDではたとえば「気になること」を「書き出し」て、「その中でも、緊急にやるべきこと(次にやるべきこと)を明らかにし、実行する」という発想があります。

このような発想がそもそもタスクシュートとまったく相容れないというか、関係なさ過ぎるのです。

私たちは、「やるべきだ」と思うことは、必ずやるのです。

絶対に、やります。やらないことは、本当の心の奥底では、

  • やらなくてもいい

と思っているから、やらないのです。

そんなことは、やらなければいいのです。

「本当にやるべきこと」は、「気になること」や、「いつか未来でやること」をいくらリストアップしても、出てきません。

本当に絶対にやるべきことは、行動として、必ずやるのです。

それも、近々に、やるのです。

だから、「絶対にやるべきこと」は、「いまやっていること」を「いま」からずっと記録し続けていれば、すぐにぜんぶ出てくる道理です。

やるべきことはやってしまうからです。

しかし、「絶対にやるべきこと」は、必ず実行するにもかかわらず、なぜか私たちは、やるべきであるからこそやったこと(たとえば睡眠)を、「これは自分のやるべきことではない」と、思ってしまいます(たとえば「自分は寝るべきではない!」などと思うことで、「2時」に起きたり、不眠症に陥る人が現に現れるのです)。

この「ねじれ」をなんとかしなければ、いつまで経っても自分の成果に不満を持ち、いつまで経っても何かをしていないような不安にさいなまれ、いつまで経っても「死ぬまでにいつかやるべきことをやらねばならぬ!」という欲求不満を抱え続ける羽目になります。

だから「会社に行く」という「絶対やるべきこと」をきちんとやっているのにもかかわらず、

  • 「これは私の本来やるべきことではない!」

となって、「会社に行く」時間に、「会社に行く」のではなく「電車で英語の勉強をする」ようにしてくたびれたりします。

または「社内ミーティングに出席する」という「絶対やるべきこと」をきちんとやっているのにもかかわらず、

  • 「これは私の本来やるべきことではない!」

となって、ミーティングにはなるべく「参加せず」に意識を朦朧とさせ、代わりに「ミーティング内容の記録を整然と残す」ライフハックを最大活用したりしなければならなくなります。

私たちは、やるべきことは、やっているのです。

困ったことに、タスクシュート以外のいわゆるタスク管理は、あたかもその正反対であるかのように、私たちを糾弾することすらあります。

  • おまえはやるべきことをやっていない!
  • 大事なことを何度も先送りにしているだろう!
  • 気になっていることがたくさんあるはずだ!
  • だいたいやり漏れが多すぎる!
  • 忘れ物をするようで社会人と言えるか!
  • そんな人生でいいのか!

少なくとも私はマゾヒスティックではないので、このように言われても喜々として受け入れようという気には、もうとてもなりません。

しかも厚かましいことに、上のように罵る「タスク管理術」は、下のように自分の田畑に導いてきます。

  • だけどおまえは運がいい!
  • ここに「ダメな貴様をコントロールするためのスゴイタスク管理」がある!
  • これがどうしようもないおまえを救ってくれるだろう!

こんな調子なのです。

繰り返し言いますが、私たちは「やるべきこと」をぜんぶちゃんとやっています。

  • 食事をし、
  • トイレに行き、
  • 歯を磨き、
  • 家事もし、
  • 人によっては育児もし、
  • 仕事をして、
  • 打ち合わせをして、
  • 人に挨拶して、
  • 交渉事をして、
  • お風呂に入って、
  • 眠っています。

他にも非常にたくさんのことをやっています。

このすべてが「本当に自分がやるべきこと」なのです。

ただ、やるべきことをきちんとすべてやっているなら、なぜ、タスクシュートなんかが必要になるのか、と思う人もあるでしょう。

なぜならば、

  • 自分がやっていることこそ、自分がやるべきことなのだということ

を、理解するためにです。

この記事でも書いたとおり、この逆に考えるのがなぜか好きな人が多くいます。自分が、やるべきことを何も、なにひとつやっていないなどと、考える人すらいます。

自分がやっていることを、自分がやるべきことではないと考えていると、その場で思い悩み、どこにも向かうことができず、ひたすら苦しい思いをすることになります。

やるべきことをやっているのです。

しかし、「やるべきことはこれらではない!」という思いのあまり、目が曇ってしまって、結果として何をしているのかぜんぜんわかっていないということが起きているのです。

「いまやっていること」を記録していくうちに、自分がやるべきことと、すでにそれらを実行していることを、必ず理解できるようになります。

やるべきことをやっていくうちに、自分はどこに向かっているのかを、記録から見えてくるはずなのです。

その先を目指せばいいのです。

それを見せてくれるのがタスクシュートなのです。

▼編集後記:
佐々木正悟



ずっと「タスクシュート一本!」でやってきた私ですが、それで良かったと思わせてくれたのが「グッドバイブス」です。
 
そんな、都合のいい話のあるはずがない。無理やりそう思い込もうとしているんじゃないか、といわれることもありましたが、それほど都合のいいことではありません(笑)。
 
これまでにも、「7つの習慣」や「マインドフルネス」や「ポモドーロテクニック」や「バレットジャーナル」など、「タスクシュートを援用するための自己啓発色の強い発想」なら山のように出会いました。
 
むしろどれにも私は納得できなかったから、「グッドバイブス」まで待つ必要があった、という方が妥当です。