だから、一週間使って、「これは来週もだな」というタスクをルーチン設定していけば、もう次の一週間は、最初から、「7割~8割はタスクリストが完成している」状態でスタートします。あとは、その日だけのタスクや、割り込みなど、2割~3割の特殊要因を追加すればいいだけです。
TaskChuteの話です。
きわめてよくまとめていただいているので、引用させていただき、エントリしようと思いました。
上記の引用部分こそ「小難しくて(ちなみに難しいことがらを非難する際に「小」をつけるとうまくいくというのはなぜなんだろう?)複雑なタスク管理ツールを使わずに、紙とペンだけでシンプルにやるべきことを管理すればうまくいく」というわけにはなかなかいかない理由です。
Excelに準拠せざるを得ないTaskChuteには、タスク管理ツールとして、操作性にこなれていない面はあるかもしれません。ですが、TaskChute自体は複雑ではありません。TaskChuteが複雑になるのは、ユーザーのルーチンパターンが複雑な場合です。
確実に言えることがひとつあります。
私たちは日々の大半を「同じ行動の繰り返し」で過ごしています。なぜかしばしば寄せられるTaskChuteへの苦情として「私にはリピート行動がないのです」というのがあるのですが、この苦情は、何かしら認識の仕方が違っているか、見落としがあります。私たちは日々、同じように過ごしているからこそ、まともに生活できるのです。
動物は記憶に基づいて行動しています。記憶というのは、繰り返しのパターンそのものです。記憶に基づかずに行動すると、完全な健忘症と同じになってしまいます。言葉は話せず、食事もできず、トイレにも満足に行けなくなるはずです。そんなことにはふつうならないのですが、それは記憶が機能しているからであり、記憶が機能するには、以前と同じことを同じようにやる必要があるのです。
日々、同じような行動を繰り返せば、一定の間隔を置いて同一の行動パターンが現れるはずです。だから一週間も行動記録をとれば、次の一週間は、全体としては似たような記録になります。
TaskChuteは、次回の行動パターンを先読みしてプランにしてしまうというツールですから、ある一週間と次の一週間の類似性が80%なら、8割方のタスクは自動的に完成することになるのです。
サムデイリストがいつまでたってもサムデイのままになるわけ
再び冒頭の引用部を引用します。
だから、一週間使って、「これは来週もだな」というタスクをルーチン設定していけば、もう次の一週間は、最初から、「7割~8割はタスクリストが完成している」状態でスタートします。あとは、その日だけのタスクや、割り込みなど、2割~3割の特殊要因を追加すればいいだけです。
しかしこれは私には、控えめな数字に見えます。実際には、「9割~9割5分はタスクリストが完成している」状態でスタートし、あとはその日だけのタスク、割り込みなど、1割前後の特殊要因を追加すればいいのです。
私たちに、夢が叶えられない、私的なゴールへ近づけない、好きなことをする時間がとれないとすれば、要因はここにあると思います。タスクリストの大半がすでに完成していることを喜んでいる場合ではないのです。
「好きなことをする時間」とはここで言う「特殊要因」です。その時間は、驚くほど少ないのです。日々同じことをやって過ごすとは、そういうことです。
朝起きたら子どもを起こし、着替えをさせつつ自分も着替え、洗顔もそこそこにお弁当を作りながら子どもに食事をさせ、子どもの歯を磨き、薬を飲ませ、幼稚園に送っていき、終わったら自分が職場へ急行する。この間1分の猶予もないという人が実際たくさんいるものです。
そういう人にとって、大きな最終ゴールにいたるまでのたくさんのアクションを洗い出しているヒマはないものですし、洗い出せても取りかかるヒマがないのです。日々の時間は、同じことの繰り返しの中で消失していきます。行動パターンはきわめてシンプルであり、TaskChuteを使っていれば、そのシンプルなパターンはあっという間に把握されます。
ムダな行動を減らすことではない
しかし、どうせ1分のヒマもないことを、行動記録として確認しても、何にもならないのではないかと思われるかもしれません。つまりTaskChuteに記録を残すのはムダではないかと。
TaskChuteに期待するべきは、異なる行動を起こすだけの「動機」を「書かれたものとして」手に入れることです。日々繰り返される行動パターンは、相当の高い確率で、次も繰り返されます。幼稚園への送迎などは、ほぼ100%繰り返されるべき行動ですが、しかし全ての行動が100%繰り返されるべきかといえば、そうではないのです。
それは、日々戦争のような状態の中で、ヘトヘトになるまで時間と戦う毎日なのであれば、どれもこれも必然的な行動ばかりでしょうが(そうでないことをしている余裕がないため)、それでも100%同じ行動を繰り返す必要があるわけでもないし、繰り返すと決まっているわけでもないのです。
私はTaskChuteを家計簿のように「ムダな支出を控えるべき反省するため」には使っていません。
TaskChuteは私の行動を先取りする。私はそれを確認してから行動する。それで十分です。私の未来は私の過去であることを先回りして私に示す。私はそれでいいかどうかを確認してから行動する。それではダメだということもできる。それが大事な点です。
Togglなどでタスクログを残していくのと大きく違っているのはここです。TaskChuteでは、ログを見返すということをことさらにやる必要はないのです。自動的に現れるタスクに取りかかろうとしたときには、すでにレビューも実行していると考えていいのです。なぜならTaskChuteにおいて、リピートとして自動的に登場しているタスクとは、かつて実行されたタスクのログでもあるからです。
TaskChuteを使うと、あらゆる機会を捉えて、自分の行動を変えるきっかけをつかむことができるのです。
Follow @nokiba
6/15開催予定の「ライフハック+」ですが、参加者の方にプレゼントがあります。『電子書籍「かんたん制作」出版ガイド』の電子書籍バージョンを、全員の方にプレゼントいたします。
すでにお申し込みいただいた方にもお配りいたします。
電子書籍「かんたん制作」出版ガイド | |
宮崎 綾子
デジカル 2014-01-31 |