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Scrapboxでデジタル情報カードボックスを実現する



倉下忠憲前回は、「ブログとしてScrapboxを使う」考え方を紹介しました。自分の知識や情報を公開するための方法としては、ごく一般的なやり方だと思います。

今回は、それとは少し異なる手法に注目してみましょう。それが、デジタル版の情報カードボックスです。

情報カードとは?

ここでいう情報カードとは、梅棹忠夫ら知的生産技術の先達たちが提唱した情報整理法で用いられる紙片のことです。サイズはいろいろありますが、たとえば京大型(京大式)と呼ばれる情報カードは、以下のような使い方をします。

一つのカードに一項目、閃いた着想や、他の人の著作において重要だと思える項目を書き留め、保存しておく。たとえば、それを一つの大きな箱にまとめれば以下のようになります(こちらは5×3サイズ)。

この箱には、私の知的生産の「素材」がいっぱい詰まっています。その箱を、Scrapboxで実現しようというのが、ブログとはまた違ったScrapboxの使い方です。

私の情報カードボックス

具体例としては、以下のプロジェクトがそうです。

倉下忠憲の発想工房

このプロジェクトには、私の「情報カード」がわんさか詰まっています。実際の情報カードに書いたものを、転記したものもあります。

強いつながり弱いつながり – 倉下忠憲の発想工房

つまり、このプロジェクト全体が、私の「情報カードボックス」なのです。言い換えれば、これらは私の知的生産の「素材」として大きく活躍してくれる期待が持てます。

二つの違い

とは言え、一見すると、「ブログとしてScrapboxを使う」やり方と大きな差異があるようには思えません。というか、ほとんど一緒に思えます。

しかし、細かいところでやっぱり違いはあるのです。

まず第一に、一つのページには一つのことを書くこと。ブログでは、さまざまな話題を絡めて一つの「読み物」を構成することが多いですが、情報カードではそうはなりません。最初に例示した通り、一枚に一項目を厳守して記入します。

次に、一枚一項目からも導かれることですが、一つのページに長々と記述することはありません。話題を限定する分、記述もまた短くなります。

結果、リンク密度も高くなります。ブログの場合、読み物として成立させるために、本筋とはズレた話題に言及することも多く、そうした話題をいちいちリンクにしていくとノイズが増えるのでできるだけ厳選するのが望ましいですが、一枚一項目を守り、またシャープに記述することで、そこに含まれるキーワードはリンクになりうる可能性を強く秘めることになります。

このように、「Scrapboxではばんばんリンクを増やしていきましょう」と言っても、そのページに含まれるコンテンツによっては、その付け方(あるいは密度)は変わってくるのです。その点には注意が必要です。

さいごに

もう一つ、ブログと情報カードの違いで言えば、情報カードにおいては「不完全で構わない」という点があります。

ブログの場合、それをPublishするのは文章が完成してからとなるでしょうが、情報カードであれば、「これについて後から調べる」のような記述であっても構いません。自分の思考・着想の「足跡」が残っていれば、十分に用を為すからです。

よって、ラフに気ままに、それこそカードにヒラヒラと書き綴るように、Scrapboxでもページをたくさん作っていけばよいでしょう。その先に、あなた自身の「情報カードボックス」が待っているはずです。

▼参考文献:

情報カードの使い方について詳しく知りたい方はこちらの一冊を。



Scrapboxの基本を知りたい方はこちらの一冊を。



▼今週の一冊:

若干舐めてたというか、軽んじながら読み始めましたが、存外に良い本でした。ライフハック分野における、自動化・効率化とは別の領域に興味がある方は楽しめる一冊だと思います。



▼編集後記:
倉下忠憲



不調が低空飛行続けております。頑張らずにぼちぼち回復したいところです。


▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。メルマガ毎週月曜配信中