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好きでもないやることが膨大にあって困っているという方へ



佐々木正悟 自分がやっている仕事は、好きでやっているわけでもなければ、モチベーションが高いわけでもない

早い話、仕事をしたいわけではなく、ただ食うために、ギリギリのことをしているだけ。
なのにやることは膨大にあって「自分のやりたいこと(はハッキリしないのだけど)」をする暇がない。

そういう人は「タスクシュート」や「タスク管理」を使ってどうしたらいいのか。
または、そもそもそうしたものが役に立つのか。

という疑問をいただきました。

タスク管理はともかく、まずは次の3点をご検討いただければと思います。

  • 「セルフケア」の時間を削る
  • どんな作業であれ、増やすことは避ける
  • 「必然マッチング」という呪縛からの解放


「セルフケア」の時間を削る

セルフケアすることが幸せ、という人もあると思います。

しかし、「セルフケアすれば幸せになれそう」の場合、ちょっとそれを見直してみると、意外といいかもしれません。

マッサージとか温泉とか、いろんな「気持ちよくなること」があると思います。

それらが趣味であればむしろいいのですが、自分の肉体を快適にすることが、必ずしも幸福に結びつくものでもないと思うのです。

それにそうしたものは意外にお金と時間を要します。

一歩間違うと、

  • 自分の肉体を快適にするために汗水垂らして働く

なんてことになりかねません。

どんな作業であれ、増やすことは避ける

不思議なのですが、「今ある膨大な仕事を一掃するために、ますますやることを増やす」という「アイデア」を思いつく人がけっこういます。

たとえば、「今の仕事をサクサク片付けるには英語力が必要だ。だから週に4回の英会話スクールに通う」というような発想です。

それが劇的にうまくいくケースもあって難しいのですが、これまた一歩間違うと、お金がないからFX投資しよう!という発想になりかねません。

「必然マッチング」という呪縛からの解放

上のふたつが基本です。

私は「多忙すぎる」人はまずセルフケアを減らし、自己投資を減らせば、金銭の必要性と時間不足から、多少は解放されると思っています。

そのうえで「必然マッチング」と私が名付けた、現代では当然とされる価値観を一度疑ってみて欲しいと思います。

「必然マッチング」は私の造語なので説明します。

「この世には、自分に必然的に相性のいい相手が存在し、その相手と巡り会うことで、幸せになれる」

という発想です。

恋愛と結婚でこれは自明視されつつあり、しばしば「ソウルメイト」と呼ばれたりします。

これが職業に適用されたり、「マイホーム」に適用されたり、友達に適用されたり、驚くべきことに「自分の親」にまで適用されたりします。

つまり、自分には必然的に最適な職業があるはずだし、土地と家があるはずだし、親友がいるはずだし、こんな不適合な親に育てられさえしなければ!というわけです。

自由に選ぶことができるからこそ、最高の、つまり最適の環境を選び取らなければあまりにも人生がもったいないという恐怖感のようなものになるのです。

これは今時ではふつうの考え方に近いのですが、これを突き詰めると、やるべきことがどこまでも肥大化するし、今が貧困な環境(恋人、パートナー、職業、友達、居住環境、親、政治状況)だったら、ものすごく焦ることになるという意味が理解されるでしょうか?

  • 早く最適な環境を選択しなければ人生が終わってしまう!

からです。

私はずっとタスクシュートを使ってきて、また46年も生きてきて、未来は一寸先は闇だし、必然的な選択など幻想に過ぎないとやっと納得しました。

結婚相手とか、仕事内容とか、居住地とか、娘とか、私の「選択」とはまるで無関係に、次から次へと向こうからやってくるという方が、リアルです。

私の意志に意味があるとすれば、やってきたものがどうでも、それらとの良好な関係を築くために最善を尽くせるかどうかとしかいいようがありません。

これを別の言い方で表現するならば

  • タスク管理における主体性を放棄する

という意味になります。

たしかにこの言い方は傲慢かつ残酷である可能性があります。けっきょく「いい相手」や「いい環境」に恵まれれば、「いい関係」を築くのは容易なのです。ただし、これは私の能力不足かもしれませんが、いい相手だからいい関係を容易に築けるというほど容易ではない気もします。

それに、はたして仕事内容や結婚相手や居住地を、私の「アンテナ」などで「最適なものを発見できた!」というのが「謙虚」かというと、そんなこともないように思います。書いてみてもまったく実感とマッチしません。

若いころにはそうしているつもりでいたこともありましたが、現実にはひとつとして「選択」などできてません。

与えられるものとの関係を良好な方へもっていく、というのは、少なくとも「広い世界から必然的なソウルメイト(とか天職)と出会う」よりは、無理がないし、余計な時間やお金をかけずにすみます。

なにより、焦らなくて良くなります

そんな存在は元からないのですから、「必然の」存在と出会う前に人生が終了してしまうとしても、もったいなくなどないのです。

ぜひ、やりたくもない仕事が膨大にあるならば

  • 「セルフケア」の時間を削る
  • どんな作業であれ、増やすことは避ける
  • 「必然マッチング」という呪縛からの解放

を意識してタスクを減らしてみてください。

たとえば、いま私はテニスをやめましたし、英語やデザインやブログに時間をかけることは一切していませんし、居住地を変えるつもりもなく、妻子が去らない限りは関係を解消する気もなく、「天職」にこだわる気も一切なくなりました。

こうすることで、時間が余ることはないにしても、忙殺はされなくなっています。

▼編集後記:
佐々木正悟



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