この本は少しも「難しい本」ではないつもりですが、
- わかるようで、わからない
と指摘されることが少なくありません。
『佐々木さん、自分の時間がないんです [電子書籍]』のレビュー 佐々木正悟 (小田やかたさん) - ブクログ
読み込みが足りないのかもしれないが、私の読解力では、一度読んだだけでは、内容が頭に入らなかった。
あくまでも私の考えですが、読者さんに「読み込みが足りないのかもしれない」と思われる段階で、9割以上は著者に責任があるので、補足に努めることにします。
「自分の時間はゼロでもいい」というのは、極論だとは思いますが、言い換えれば
- 「遊ぶ時間」はゼロであっても「休み時間」が取れればいい
ということなのです。
私の考えではどんな人もおおむね3種の時間をもっていて
- 1.休み時間(生理的欲求を満たす)
- 2.仕事時間
- 3.遊ぶ時間
となるのです。
そして「3」の「遊ぶ時間」こそが、よく言われる「自分の時間」なのです。
遊びと仕事の境界線を厳密に引くことはできない
「遊ぶ時間」は、子どもには絶対に必要ですが、大人にはなくても何とかなるものです。しかしながら、大人にも少しはあったほうがいいものです。
そしてちょっとややこしいのですが、
- 1の休み時間も遊ぶ時間となり得るし、2の仕事時間ですら遊ぶ時間となり得る
という事実があります。
なり得るというのは、そういうケースもあるということであり、黙っていてもイコールになる、という意味ではありません。
人によっては、休み時間に遊んでばかりいて、ぜんぜん休めていなかったり、仕事時間に遊んでばかりいて、ちっとも仕事をしていないということもあります。
遊びと仕事を分ける原則は、遊びは仕事の模倣だという点です。将棋は戦争の模倣であり、ママゴトは料理の模倣です。
誰もが知ってのとおり、ここにはグラデーションがあります。
プロの将棋指しという職業が、人間の社会では成り立つからです。ママゴトセットをビジネスにすることも、実際に行われていることです。
つまり遊びと仕事の境界線を厳密に引くことなどできないのです。
できないのですが、どちらかと言えば人に容易になにかを与えられるのが「仕事」であり、なにかを本当に与えるとなったら難しいのが「遊び」でしょう。
模倣では現実の役には立たないことが多いものの、模倣こそが仕事そのものであるということもあるのであり、逆に、ひたすら仕事をしているように見えるけれど、それはただただ模倣の域を出ていないということもあるのです。
私は大人になることの基本は「遊びを減らして仕事すること」だと思います。
なにを与えるのかがはっきりしない「遊んでいるような営み」で、人から対価を得たりすることは難しいのです。
仕事時間100%とか遊び時間100%というのは、理論的な話であって、現実にはあり得ません。
ただ、「遊ぶ時間」が足りないという思いに駆られて「仕事を効率的にこなし」たうえで、「休み時間」を「遊ぶ時間」に塗り替えていくのは、現代でもやはり「危険な遊び」だと思われてなりません。
それではとても休まらないから疲れるし、お金もかかるのに、信用やお金は得にくくなっていくからです。
ただしこれは一般論でしかなく、そうでないケースは山のようにあって、しかも増加しています。おそらくこの増加を「社会の進歩」というのでしょう。
仕事時間で充分に依頼に応え、休み時間でガッチリ休む(生理的欲求を満たす)ようにすれば、ふつうは時間に余裕ができてきます。その余裕で遊ぶほうが健全だと思うのです。
私が「自分の時間がないんです」で言いたかったのはこういうことでもあります。
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