前回は、アウトラインをさまざまに作りかえていくことを紹介しました。
本当は、まだまだこの作業を続けたいところなのですが、どうあがいたところで、最後には文章が必要となります。どれだけ立派な目次案ができても、それに見合う文章が書けなければ、本にはなりません。
そこで、この辺りの段階で、一度実際に「書く」ことをやってみます。
やり方はいろいろありますが、今回は三つのパターンを紹介してみます。
- 入口か出口でイメージを膨らませる
- 各章の概要で流れを捉える
- 書きたい章/書ける章で気持ちを高める
入口か出口でイメージを膨らませる
簡単に言えば、「はじめに」か「おわりに」にあたる部分を文章化するアプローチです。私は「はじめに」を好みますが、人によっては「おわりに」の方が書きやすいかもしれません。
なぜ、「はじめに」なのか。
たとえば、次の3つの「はじめに」の書き出しを比べてみてください。
たった一行ですが、この本がどんな雰囲気・テンションを持っているのかについての違いが感じられるはずです。
その「感じ」は、自分が書きたいことと合致しているのかどうか。それを確かめることで、その本の雰囲気全体が立ち上がってきます。文体が決まり、話の流れが見えてきます。
逆に、「おわりに」を書くことでも、その本がどんな内容をどんな意図で伝えようとしてるのかが見えてきます。まだその本は完成していないので時系列がおかしい感じがしますが、仮初めの「おわりに」を書き出してみることで、その本の全体象が立ち上がってくることがあるのです。
どちらの場合でも、確認できるのはあくまで「イメージ」です。しかし、それが見えてくると、目次案(アウトライン)の方向性も絞りやすくなります。
各章の概要で流れを捉える
目次案レベルでは、それぞれの章には、項目が並んでいるだけです。それを「概要」で引き締めていくアプローチもあります。
その際は、──箇条書きで要素を並べるのではなく──、文章の形でその章がなにを語ろうとするのかを短めに書いてみます。
以下がその例です。
(WorkFlowyであれば、shift +enterでその項目のnote部分に入力できます)
こうして文章の形で概要を書いてみると、自然と「流れ」が浮かび上がってきます。関連のある項目がリストに並んでいるだけの状態では見えてこなかった、話と話のつながりが見えてくるのです。これも、目次案を固める際に有効に機能します。
書きたい章/書ける章を書く
概要ではなく、その章の中身を文章の形で書いてみるアプローチもあります。
とは言え、流れるような文章を一気に求める必要はありません。単語だけだった項目を、文に作りかえるような変換でも十分です。
そして変換したものを、さらにまた手を掛けて、少しずつ文章の形へと膨らませていきます。
こうして書かれるものの中には、「本文」以外のものが混じることがあります。たとえば、「子どもの方が斬新な発想が出せる、という指摘についてはどう考えるか」というのは、その章が扱うべき論点であって本文ではありません。
しかし、こうしたものも、この段階では切り分けずに一緒においておきましょう。その方が、文章を膨らませやすくなりますし、そのまま本文として組み込む場合もあります。切り分けるのは後からでも十分です。
さいごに
以上のようなアプローチで、「文章」を書いていくと、目次案(アウトライン)についての理解も深まっていきます。何かしらの発見もあるかもしれません。
そうして得た発見を元に、再びアウトラインが変わることも起こりえます。そうしたらまた、似た作業を繰り返して、さらにアウトラインを整えていく、というプロセスの繰り返しがここからの作業です。
▼今週の一冊:
単行本で読んだ本ですが、たいへん面白い一冊でした。「超」整理法的な話が好きな方は、きっと楽しめる一冊です。
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「じわじわ」という感じで、各種企画案を進めています。材料集め・情報カード作り・構成案練り、という感じ。これまでは結構急ぎ足で本を書いていたきらいがあるので、ちょっと腰を据えて執筆してみようと思う今日この頃です。実験的に。
▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。メルマガ毎週月曜配信中。