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デバイスを複数持っていることで得られる“マルチ”なメリット



大橋悦夫メインで使っているiPhone SEに加えて、サブとしてiPhone 6s Plusも持っています。常用しているiPhone SEに比べると、圧倒的に使用頻度は低いので、もう手放してしまおうかと思ったこともありましたが、最近ふと「これはメリットじゃないか」と思えたことがありました。

それは、以下のようなデメリットが解消できること。

  • KindleでAという本を読んでいる最中に、新しくBという本を購入して読み始めると、再びAに戻るのが面倒に感じるようになる。
  • Instapaperで超長文の記事Aを読んでいる最中に、最新の記事Bを読みたくなって読み始めると、再び記事Aの続きを読むのが面倒に感じるようになる。
  • HuluやNetflixやAmazonビデオでシリーズドラマAを観ている最中に、別のBという映画を観始めると、再びシリーズドラマAに戻るのが面倒に感じるようになる。

いずれも、「そんなの当たり前じゃないか」と思われることかもしれません。

でも、僕にとってはこの「面倒さ」がけっこう大きいと感じられるのです。実は僕自身も、複数のデバイスを併用することで、この「面倒さ」が解消されることに気づいたとき、初めて「あ、これは面倒だったのか」と気づいたのです。

解消されて初めて、その「面倒さ」が顕在化したわけです。

解消されて初めて気づく「面倒さ」の正体

Kindle、Instapaper、Hulu、Netflix、Amazonビデオ。これらの共通点は、1つのアプリで複数のコンテンツを扱えることです。

そうなると、あるコンテンツを見ていて、そこから別のコンテンツに切り替えようとしたときに、絶対に避けて通れないのが「コンテンツ一覧画面」です。

KindleやInstapaperの「コンテンツ一覧画面」は自分で購入したり登録したりするものなので、それほど気になりませんが、Hulu、Netflix、Amazonビデオの「コンテンツ一覧画面」はコンテンツ提供サイドが用意するものなので、非常に気になるのです。

何が気になるかというと、文字通り「あ、この作品は前から見たかったやつだ」とか「なんだこれ、ちょっと面白そう」という具合に、コンテンツ切り替え時に目にしてしまう「コンテンツ一覧画面」で関心を“インターセプト”(横取り)されてしまうことが気になるのです。

もちろん、その「コンテンツ一覧画面」に気になる作品があるから、です。
言ってみれば、「コンテンツ一覧画面」は極めて鮮やかに注意を奪っていくのです。

例えば、以下のように、です。

▼あ、「ラ・ラ・ランド」の監督作品なのか! うーん、気になる…(Hulu)



▼「ワールド・ウォーZ」がプライム対象になってる…。すでに映画館で観たけど、久々にまた観たくなってきた…(Amazonビデオ)



もちろん、ユーザーの注意を引くための「コンテンツ一覧画面」ですから、この反応は“正しい”のですが、いま観ている作品だけに集中したいときに、いちいち反応が起こるのは「面倒」なのです。

複数のデバイスを持っていることで解決できる

例えば、僕が持っているデバイスでHuluを観られるのは、以下の6種類です。

  • iPhone SE
  • iPhone 6s Plus
  • Optimus it L-05E(Androidスマホ)
  • Fire HD 8
  • iPad mini 4
  • iPad Air 3

そして、目下「ゲーム・オブ・スローンズ」というシリーズドラマ(6シーズン・全60話)をせっせと観ているのですが、あるデバイスのHuluで「ゲーム・オブ・スローンズ」しか観ていなければ、そのデバイスでHuluを立ち上げると、常に「ゲーム・オブ・スローンズ」の前回の続きから再生が始まります。

「コンテンツ一覧画面」を目にすることがないので、視聴が捗るのです。

「ゲーム・オブ・スローンズ」の視聴が終わらないうちにHuluでほかのドラマや映画が観たくなったら、別のデバイスで観るようにします。

ここまで書いてきて気づきました。これは、仮想デスクトップの考え方に近いかもしれません。

「仮想」ではなく「リアル」、「デスクトップ」ではなく「スクリーン」という違いはありますが、ひとたび流れを作ったら、それがキリのいいところまで行き着くまでは、その流れを途切れさせたくないわけです。

そういう意味では「非同期なマルチタスク」と言ってもいいでしょう。

同じことは、Kindleにも言えます。

iPhone SEではビジネス書を読み進め、画面が大きめのiPhone 6s Plusではマンガを楽しむという分担ができています。

「さぁ、あのビジネス書を読もう」と思ってKindleアプリを開いて、読みかけのマンガが画面いっぱいに表示されれば、このマンガをいったん閉じて一覧画面に行くのには相当な意志力が要ります。

「いや、せっかくマンガが開いてるんだから、そのまま読んだほうがいいんじゃない?」

という誘惑に勝てる気がしません。

デバイスが分かれていれば、このような悩みから解放されます。

選択麻痺というワナ

佐々木正悟さんが『ライフハックス心理学 みるみる「やる気」と「時間」を引き出す43の方法』という本で以下のようなことを書いていました。

・今この仕事をするべきか? あとでこの仕事を中断させるような仕事を上司にやらされるのではないか?

・時間があるときにすべき仕事かどうか? もっと別の仕事を優先した方が後悔せずに済むのでは?

・そもそも仕事をすべきか? たまには長く休憩して英気を養った方が、長い目で見て効率がいいのでは?

このような悩みにほんろうされている状態を「選択麻痺」と呼ぶそうです。なかなか仕事に取りかかれないうえに、さっぱり仕事が進んでいないにもかかわらず、疲れだけはきちんと感じられているという、実にやっかいな“症状”です。

この「選択麻痺」の正体は「完璧主義」だといいます。

完璧な選択を取りたいから、最善の選択に固執し、何も選ぶことができなくなるのです。最善の選択でなければ、後悔しそうで怖いわけです。

どの映画を観るかで迷ってしまうのは、「今から過ごす時間を後悔のいっさいない最高の時間にしたい、それを演出してくれる映画はいったいどれなのか?」という“難題”に直面するから、というわけです。

ちなみに「ゲーム・オブ・スローンズ」はFire HD 8で観ています。Fire HD 8は自宅から持ち出さないことにしています。

必然的に「ゲーム・オブ・スローンズ」は自宅でしか観られない(=自宅で観るのがもっともラクな)ので、自宅以外にいるときに手元に「ゲーム・オブ・スローンズ」を観られるデバイスがあっても「今はガマンしよう」という決断が下しやすくなります。

デバイスを分けることで、採りうる選択肢が減るので、その結果、選択麻痺を防ぐことができています。

▼上はiPad mini 4、下はFire HD 8です。


» 映画を観るならiPad AirよりFire HD 8のほうがほぼ同じ画面サイズで約100g軽い



» Fire HD 8 タブレット 16GB、ブラック


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