2017年1月に読んだ本のまとめです。特に印象に残った一文を厳選してご紹介します。今回、「特に印象に残った一文」に注目しようと思ったきっかけは、正月に読んだ『遅読家のための読書術』に書かれていた以下のくだりです。
本を読みながら引用リストをつくり、読了したあとに再びリストに目を通したら、その中から「もっともすばらしいと思った引用」を1つだけ選ぶようにしましょう。「自分がこの本を読んだ価値のすべてはこの1行に集約されている」といえるような部分です。
本1冊の中から最高の1行を選び取るべし、という指示は極めて明確で、誤解の余地のないものです。それでいて、その結果選び取られる1行は人によって様々でしょうし、同じ人でもタイミングが違えば別の1行になりうるという、無限に近い可能性を秘めています。
選び取られる1行は、「今この瞬間の自分」を色濃く反映しているはずです。
そんな1行を“標本化”して残しておくことは、後から「そのときの自分」を知る上での手がかりになるでしょう。
そこから「特に印象に残った一文」に注目し、残しておこうと考えたわけです。
以下、2017年1月に読んだ本のうち「特に印象に残った一文」の一部です。
- 「どうだ、すげえだろう」を抑える
- 迷ったら、受け手が何を自然と思うかを基準にする
- とに書く
「どうだ、すげえだろう」を抑えて「相手が求めていること」に集中する
文章を書くときにも、セミナーで話をするときにも、これを忘れてはいけない、と改めて感じました。
先ほども「コンサルタント病」という言葉を使いましたが、僕らみたいな職業の人は多かれ少なかれ「人にアドバイスがしたい」んです。こっちが知っていて、相手が知らないことをアドバイスしてあげたいんですよ。
「どうだ、すげえだろう」と相手に驚かれたり、感動されたい気持ちを僕らはどこかに抱えているんです。ただ、それは相手が求めていることとズレていたら意味がありません。(p.219)
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迷ったら、受け手が何を自然と思うかを基準にする
「相手が求めていること」に集中する、に通じる指摘です。相手とは誰なのかをまず明らかにする必要があります。
したがって、情報発信に際しては、受け手のプロフィールを決め、その受け手が何を自然と思うかを考える必要があります。たとえば、国産車なら、方向指示器レバーを右、ワイパー・レバーを左に付け、米国向け輸出車なら逆に、方向指示器レバーを左、ワイパー・レバーを右に付けるように。
» 「分かりやすい表現」の技術―意図を正しく伝えるための16のルール (ブルーバックス)
↓本書については以下の記事でも取り上げています。
» 想定した読み手に最後まで読んでもらえる文章を書くためのチェックリスト
とに書く
本を読んだり人から話を聞いたりして、頭で十分に理解できていれば、すぐにでも身体を動かすことができる、すなわち行動を起こすことができる、と人は考えがちです。
そのように考えていなかったとしても、「いきなり動き出すのではなく、まず失敗しない方法とうまくいく方法を調べてからにしよう」というスタンスを取るでしょう。つまり、まず頭で理解しようとするのです。
このスタンスを取る限りは、しかし、頭で考えた以上のことはできないことになります。
文章であれば、考えたことをなぞるだけの文章ができあがるだけで、それ以上のことは書けない。従って、どうにかして頭の支配から自由になり、身体で書くモードに移行する必要があるわけです。
そのための唯一の方法が「いますぐ書く」であり、それによって書く前に考えていなかったことが書けるようになり、「書き手であったはずの自分」さえも「読み手として驚かせる」ことができる。そんな、文章を書くならぜひとも目指したい到達点が視野に入ってきます。
とにかく書くしかない、とに書くです。
「うまく書けないで悩んでいます」というのは、多くの場合、「一回でさくっとうまく書き上げようとしてるんですが、それがうまくいかないんです」というものだ。一回で、うまく書き上げる。そんなことが出来るわけがない。文章は頭で考えてもどうにもできない。
文章は頭の支配にはない。
↓本書については以下の記事でも取り上げています。