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「負け仕事」から見えてくるもの

夜、スポーツ新聞でその日の野球やサッカーの試合結果をスコアボードの数字を追いながら、今日のハイライトシーンを反芻するように、その日一日の仕事を振り返るためのツールとして「勝ち負け表」をご紹介したのですが、もう少し掘り下げてみます。

「勝ち負け表」は、仕事を【勝ち仕事】と【負け仕事】の2つに分けることで、自分がやりたい仕事ができたかどうか、すなわち仕事を楽しくできたかどうかを振り返るのですが、実際にやってみると同じ仕事でもやり方によっては【負け仕事】になってしまうことがあることに気づきます。

例えば、僕自身が今日の仕事で感じたことは「メール返信」がとてもしんどく、いわゆる“やっつけ仕事”になってしまっていたなぁ、ということです。メールの返信については、「メールの返信タイム」というエントリーで以下のように書きました。

1日に2回ないし3回の「メールの返事を書くための時間」(返信タイム)を決めておき、その時間になったらメールの返事を書くことだけに集中するようにします。

今日「メール返信」がしんどくなってしまった理由は、急ぎで進めている仕事があるにも関わらず、次から次へと今日中に返信が必要なメールが舞い込んで来て、「返信タイム」外にも返信せざるを得ない状況になったからでした。

しかも、返信した内容が相手に対する問いかけになっていて、その返事次第で新たな作業が発生しうるものでもあったため、メールに対して一定の“注意”を振り向けておく、もっと言えば、限りある貴重な“注意”パワーの一部を差し押さえられていたと言えます。こうなってしまうと、心穏やかに仕事をすることができなくなります。

…というところが今日の反省なのですが、これを受けて

 「どのようにしたらメール返信を【勝ち仕事】にできるか」

という方向で考えてみます(そもそもメール返信は【勝ち仕事】になりようがないのではないか?、ということはいったん横に置いておいて)。

まず、当日中に返信が必要なメールというのは拒否できないものです。言い換えれば自分でコントロールすることができないものです。そうなると自分にできるのは、そのためのバッファを予め確保しておく、ということになります(もちろん、それは当日中に返信をすることに価値を見いだす場合に限ります。しばらくメールの返信を滞らせてでも今やっている仕事を完遂させなければならないような鬼気迫るモードであれば、この限りではありません)。

もともとの予定に立錐の余地がないくらいにギッチリ詰め込んでしまうと、無理が利かなくなって破綻しやすくなります。実際に破綻しないまでも、破綻の影がちらつくだけでもストレスになります。

 「そうじゃなくても今日は終電覚悟なのに、これ以上はムリ!」

という心の叫びが【負け仕事】への序曲となります。楽譜となる「今日のスケジュール」を見れば、事前にアドリブの入る余地がないことはわかっているはずですので、アドリブを入れたい(=飛び込み仕事を受け入れたい)のであれば、そのためのゆとりを設けておくしかありません。

例えば、当日にやり終えたいタスクリストのうち、「実は翌日でもいいタスク」も入れておき、飛び込み仕事があれば、このタスクを先送りして受け入れる、という対応体勢が考えられます。これは「キャンセル可能な予定を組み込んでおく」と同じです。

ストレスという言葉が出ましたが、【勝ち仕事】と【負け仕事】の違いは、自分をすり減らす感覚の有無だと考えています。一日の仕事を終えたときに、「今日はすり減ったなぁ」という消耗感が残るのか、「今日はいろいろと新しい刺激があって楽しかったぞ」という満足感が得られるのかという違いです。

ストレスの本来の意味は、刺激です。適度な刺激はスパイスとなって心地よさを生み出しますが、過度な刺激は“胃もたれ”を引き起こします。

そんなことを考えていたら、食事の栄養バランスを考える管理栄養士さんがいるのなら、仕事のストレスバランスを考える“管理ストレス士さん”がいてもいいのではないか、と思い始めました。もちろん、キャリアカウンセラーという職業がすでにありますが、どちらかというとロングスパンなキャリアよりも、日々あちこちの現場で発生するリアルタイムなストレスに真っ向から立ち向かう役割も社会の中で求められているのではないでしょうか。

そんな中で「勝ち負け表」は、管理ストレス士さんが活用するツールの1つになるかも知れません。