プレゼン資料のデザイン悲話の巻
前日にプレゼン資料のアウトラインとキーメッセージレベルのものを4回リテイクされ、内2回はメホリ先輩が殺気を隠し得ないぐらいだめだめだったベック君。「今日こそは一発で通すぞ」と気合いを入れてプレゼン資料作成に取り組んだが、この空回りが更なる悲劇を呼ぶことを誰も知るよしもなかった。
オオハシ課長 で、どうだいベック君は?
メホリ先輩 昨日こってり絞りましたから、今頃切羽詰まって作ってるところでしょうね。厳しめにやったおかげで、アウトラインとしては満足行くモノができたと思います。最初の内はなかなか上手くは出来ないと思いますが、是非自分の力で作りあげるという成功体験を得て欲しいですね。
オオハシ課長 なるほどね。それなら客先での説明もやって貰おうかな。
メホリ先輩 ははは、それもいいかもしれませんね。一度プレゼンを経験するかどうかで資料作成の質も大きく変わりますし。
そう、このST電機創業以来の最強タッグと評される2人とてこれから起こる”悲劇”を予想だにできなかったのだ。
メホリ先輩 ベック君!資料進んでる?
ベック君 はい!まずは第1章部分ができているので一度見て貰ってもいいですか?
メホリ先輩 OKOK、このメール送ったら見させて貰うから。打ち合わせコーナーAでプロジェクタに映しながらレビューしようか。
ベック君 はい!
5分後ーーー
ベック君 これです!
メホリ先輩 (ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ)
一瞬にして凍り付く空気。ST電機創業以来のニュータ○プと言われたメホリ先輩ですら一瞬にして混乱に突き落とされ、怒りの余り頭が真っ白になる。「えーっと」とやっとの思いで声を発するメホリ先輩。どこから突っ込めばいいかを地球シミュレータ並の120TFLOPSで計算するメホリ先輩。そして、再び時は動き出し・・
メホリ先輩 What is your Question?(この資料の論点はどこだなんだ?※)
帰国子女のメホリ先輩があまりの激高と混乱で原点回帰してしまった様を見て、察しの悪いベック君であっても流石に事態の重大さを理解した。その日、ベック君の姿を社内で見た者はいないが、会議室でメホリ先輩が英語で誰かを檄詰めにしている様子を耳にしたという証言が多数得られている。
※『Google時代の情報整理術』で筆者であるダグラス・C・メリルが博士課程の時に担当教授に自身の論文を“血まみれ”にされた際に書かれていた一言。
プレゼン資料デザインのビギナーズハック
プレゼンシリーズ第2回はプレゼン資料のデザインについてです。現在ビジネスユースで最も使われているプレゼンソフトはMicrosoftのPowerPointですが、このソフトは豊富なデザインテンプレートや装飾機能を備えているため、えてして「ごてごて」な資料になりがちです。ここでは、実際にサンプルを交えながら、PowerPointで作るプレゼン資料のデザインが破綻しないコツを紹介したいと思います。
プレゼン資料デザインが破綻しないためのポイント6点
- フォントと色調を統一する
- プロジェクターに映して見やすい配色を心がける
- フォントサイズは大きく、文字数は少なく、メッセージは3つ以内を心がける
- 無駄な装飾は行わない
- 型(フォーマット)を定める
- 絵、図表、グラフなどはピンポイントで使用する
1.フォントと色調を統一する
フォントの種類は日本語で1種類、英字で1種類が基本です。MS Pゴシックが味気ないのは分かりますが、だからといって勘亭流フォントでアクセントを出そうなんて企むのはオススメしません。
同様に資料全体を通して色調の統一も重要な要素です。フォントが日本語で基本1種類であるように、色も同一の系統に統一すべきといえます。(例えば青色系で統一)勿論、ハイセンスでポップなデザインを出そうとするなら複数の色を組み合わせる必要があるのですが、ビジネスユースでは多くの場合デザインの良さより見やすさが重視されます。
2.プロジェクターに映して見やすい配色を心がける
プロジェクターの性能にもよりますが薄い色は色飛びする恐れがあります。さほど重要でない背景の絵などにわざと薄い色を使う分には問題有りませんが、最も伝えたいキーメッセージを薄い字で書くのは絶対に避けるべきです。どんな環境でもくっきりはっきり見える白地に黒文字や、赤地や青地に白文字などの組み合わせを用いることをオススメします。
3.フォントサイズは大きく、文字数は少なく、メッセージは3つ以内を心がける
これもプレゼン資料としては鉄則ですが、フォントサイズは大きく、文字数は少なく、メッセージを3つ以内に絞ることを心がけましょう。これは配付資料であっても心がけるべき箇所で、単語5つ程度しか一時に記憶できない人のワーキングメモリに情報を入れ込みたいと思うのであれば、渡す情報をいくら絞り込んでも絞り込みすぎということはないのです。
4.無駄な装飾は行わない
Microsoft Officeが出だした頃、WordArt機能を喜んで使う人が多かったように思います。多くの場合は文字をうねらしたり、文字自体の色にグラデーションを施したりするすると、飾りとしては楽しいかも知れませんが、文字情報としては認識しづらくなります。
5.型(フォーマット)を定める
ある程度フォーマットをある程度決めておくことで、資料を見る人は”どこに何の情報が書かれているか”をある程度予測できるようになるため、資料への理解度が高まります。資料を作る方もフォーマットはそのままに中身だけ書き換えるだけで良いので作業の手間を省くことができます。下図の様な、全体像と現在地を示しながら、現在地の情報を更新していくフォーマットなどもよく使われます。
その他、いわゆるコンサル系の方がよく使われる「フレームワーク」もプレゼン資料の型に適しています。こういった型をいくつも持っておくことで、より効率的且つ効果的な資料作成が行えるようになります。以下に参考図書を挙げておきます。
『知的生産力が檄的に高まる最強フレームワーク100』
6.絵、図表、グラフなどはポイントポイントで使用する
分かりやすい資料を作ろうとしたとき、ついつい絵や図表、グラフを多用したくなってしまいますが、一つのシートにこういった要素を詰め込みすぎると、必然的にその要素を説明する文章も長くなってしまいます。オススメは、最も重要な説明文を補足するような絵、図表、グラフを1スライドに1つだけピンポイントで使用することです。
まとめ
今回はプレゼン資料のデザインが破綻しないために以下の6ポイントを紹介しました。
- フォントと色調を統一する
- プロジェクターに映して見やすい配色を心がける
- フォントサイズは大きく、文字数は少なく、メッセージは3つ以内を心がける
- 無駄な装飾は行わない
- 型(フォーマット)を定める
- 絵、図表、グラフなどはピンポイントで使用する
この6点はごくごく基本的なものでしかありませんが、基本的故にこれらをしっかり押さえておくだけでも、ぐっと締まったデザインの資料を作成することができます。次回は今回紹介した「フォーマット」の部分をもう少し掘り下げて紹介いたします。
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▼ 北真也:
仕 事術をもっとカジュアルに! わかりやすさ重視の「ビギナーズ・ハック」をお届け。Blog 「Hacks for Creative Life!」と勉強会「東京ライフハック研究会」主宰。