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良い習慣は長期投資に似ているかもしれない、リバランスをしないと損をする



大橋悦夫数年前に東アフリカのタンザニアを訪れたのですが、その時に強く感じたことがあります。

ふだん何気なく続けている良い習慣というのは長期投資のようなものなのではないか、ということです。

ひんぱんに売り買いを繰り返す短期投資と違い、長期投資は、続けている間は特にそのことに意識が向くということが少ないでしょう。

毎月一定額を積み立てるような商品であれば、取引は自動化され気づいたら相当な金額になっているということもあります。

良い習慣についても同様で、すぐに何か良い効果は得られないかもしれませんが、代わりに、コツコツと続けていれば気づいたら相当な“資産”を築いている、ということは多々あるでしょう。

このことを実感したのが、なぜタンザニアに訪れた時だったのか。

それは、現地では普段の習慣が次々と破壊されていったからです。

おまけに帰国した直後には体調を崩しました。

それまでに築いた資産を、異国の地で取り崩していたのではないか、と考えたのです。

長期+分散+リバランスの必要性

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日本だけでコツコツと習慣を積み立てていては、一つの環境でしか通用しない構造しか作れないでしょう。

そこで、あえて普段とは異なる環境に身を置いてみる。

すると、ふだん習慣を続けるために無意識に頼りにしていた“引き金”が失われます。

生身の自分の実力が試されるのです。

その時に必要になるのがストック、すなわち資産です。

習慣を続けることで“資産”を築くことができる、と書きましたが、この資産は慣れ親しんだ環境では使われることなく温存されます。

それが、ひとたび不慣れな環境に身を移すと、身を守るためにこの資産を取り崩し始めるのです。

例えば、日本国内なら空港内を歩いていても特に周囲に警戒する必要はありませんが、海外ではスリや置き引きのリスクに備えて、警戒レベルを引き上げる必要があります。

この時にふだんは使わずに備蓄してある“注意資源”が消費されます。

帰国後に体調を崩したことの意味は、“保有資産”を最後まで使い切ってしまい、“赤字”の状態に陥った、ということだと考えています。

あるいは、日本でしか通用しない資産しか持っていなかったために、海外では高い“両替手数料”を払わされた、とも考えられます。

資産を複数の通貨に分散させることで為替リスクに備えることができるのと同様に、習慣を通して得られる資産についても、複数の環境に対応できるようにしておくこと。

すなわち、いつもと異なる環境に身を置くことで、新たな資産形成の必要を認識することができ、そのための既存の習慣を調整する、あるいは新しい習慣を始めるきっかけが得られます。

これは資産のリバランス(資産配分の再調整)といえます。

リバランスをせず、ひたすら同じことを続けているだけでは、気づかないうちに“資産”が目減りしてしまうかもしれません。

というわけで、何か良い習慣を続けようと思ったら、そこから得られるリターンは何なのかを考えてみると、少し違った視点でその習慣をとらえなおすことができるでしょう。

習慣化するための引き金を見つける

今回の記事は『習慣の力』の以下のくだりに触発されて書きました。

「私が軍隊で学んだもっとも重要なことは、習慣を理解したことだ」

と少佐は言う。

「世界の見方がすべて変わる。すぐに眠って朝はすっきり起きたいと思ったら、夜の習慣と、起きたときに無意識に何をしているかを調べてみる。楽に走れるようになりたければ、それを習慣化するための引き金を見つける」

『習慣の力』とは実に直球なタイトルですが、中身も直球です。

読めば読むほど、いろいろなことを続けたくなります。続けることを後押ししてくれる良い言葉がたくさん登場します。良い言葉を目にするたびに刺激を受けます。

» 習慣の力 The Power of Habit