Fitbit ChargeHR を購入してからまる10日がたちました。
240時間分のデータをふり返りつつ、使い続ける中で実感している「記録が続けられる仕組み」についてまとめておきます。
いたく感心しているところ
時間とともに消費カロリーが増加
以下は朝6時前の時点のFitbitアプリのダッシュボード画面。
起きて間もないタイミングながら、すでに400kcalを消費したことになっています。すなわち、6時間弱の“待機電力”による消費、というわけです。
このことは、以下の2つのキャプチャを見比べればよりはっきりとわかります。
左はある日の18:39時点の摂取カロリー、右は同じ日の22:34時点の摂取カロリー。
この日は18:39の時点ですでに食事を終えているため、摂取カロリーは変わりません(1,488kcal)。
一方、消費カロリーは、2,113kcal → 2,433kcalと4時間の間に320kcalほど増えています。
この間、積極的な運動(ウォーキングやランニング)は行っていないため、“待機電力”による消費ということになります。
これにより、18:39時点では「ゾーン内」(範囲内)だったのが、22:34時点では「目標未達」に転落しています。
この表示は、空腹感とほぼシンクロしており「ちょっと小腹がすいてきたな」と感じるときはたいてい針が「目標未達」に振れているときです。
従って、「なるほど、そういうことか」と納得をしたうえで、それでもガマンするなり何かちょっとつまむなりの行動をとることになります。
もちろん、ここで表示される数値はすべて概算値であり厳密なものではありません。
それでも、判断の目安としては十分だと感じています。
これまでにも「カロリー管理」というアプリで食事の記録をつけていたことがありますが、能動的な運動(消費)と食事(摂取)のみで、Fitbit ChargeHR のように待機電力的に消費されるカロリーは無視されていた(せざるを得なかった)ことを考えると、精度は上がっている、と言えます。
購入してから昨日までに行なった設定
見たい情報がファーストビューで見られるように表示をカスタマイズ
専用のiPhoneアプリ「Fitbit」は見やすくて気に入っています。
表示項目を以下のように並び替えました。見たい情報を見たい順番で、スクロールせずに確認できるようにしています。
上から、
- 摂取カロリー
- 運動記録
- 消費カロリー
- 残りカロリー
- 摂取水分
- 歩数
という順です。
日次のカロリー損益計算書(P/L)と言えるでしょう。
特に上の4つの項目はそれぞれ以下のように読み替えることができます。
- 摂取カロリー → 売上
- 運動記録 → 積極的な投資
- 消費カロリー → 販売管理費及び一般管理費
- 残りカロリー → 営業利益
言うまでもなく、「営業利益」に注目しながら一日を過ごすことになります。
ちなみに上記のキャプチャでは、摂取カロリーが1,660、消費カロリーが2,671にもかかわらず、残りカロリーが266になっているのは、僕自身のダイエット目標が750kcalだからです(ハンディキャップのようなもので、別途目標設定をすることで、この値を加味して残りカロリーに反映してくれます)。
つまり、1,660-2,671+750 という計算です(実際に計算すると261になるので誤差はあります)。
やや残念なところ
充電は付属の専用ケーブル(しかも短い)を使う必要がある
充電用のケーブルが同梱されていますが、長さが約20センチ程度しかなく、しかもアダプタの形状が特殊なため、替えがありません。
そこで、USBの延長ケーブル(1.0m)を購入しました。また、忘れそうなので「旅行時の持ちものリスト」にこの充電ケーブル(+延長ケーブル)を追加しておきました。
» Amazonベーシック USB2.0延長ケーブル 1.0m (タイプAオス- タイプAメス)
体重は手入力する必要がある → Withingsとの連携により自動入力が可能
※追記:2015/05/18(月) 14:52 Withingsと連携できました。こちらから。
以下でツイートしたとおりです。
Fitbit ChargeHR、体重が手入力なのがつらい。それが普通なのだけど、Wi-Fi経由で自動記録に慣れているともはや手書きで宛名を書くときのような脱力感がある。これまで使ってきたpulse(Withings)との併用になりそう。
— しごたの (@shigotano) 2015, 5月 6
対応する体重計が日本では未発売のため、今のところは手入力するしかないようです。
並行輸入品がありますが、すでに別ファミリーのWithings体重計を使用しているため、購入は見送っています。
睡眠記録はかなり「ざっくり」
Fitbit ChargeHR を装着したまま就寝すれば、自動的に「睡眠」と認識して記録をとってくれますが、以下のように記録の内容はかなり「ざっくり」な感じです。
そもそも厳密さを求めるものではありませんが、これまでに使ってきた(あるいは今も使っている)アプリの記録と比べると、どうしても見劣りしてしまいます。
参考までに、以下は左から、同じ日のSleep Meister(iPhoneアプリ)とPulse(腕に固定)+Withings(対応iPhoneアプリ)による記録画面のキャプチャです。
記録が続けられる仕組みを実感
Fitbit ChargeHR を使っていて、ふと『ハマるしかけ』という本のことを思い出しました。
特に以下のくだり。
ビタミン剤は効果を期待して摂取するのではなく、いわば自分が「身体によいとされる行為」を行っていると確認するために摂取するようなものであり、物理的な効能よりも心理的な作用のために行っている。
実際どれほどの効果があるかが不明にも関わらず、ビタミン剤を摂取し、「身体のために何かしらよいことをしている」と思うことが私達に満足感を与えているのだ。
摂取することで痛みを取り除く鎮痛剤とは異なり、ビタミン剤の場合は摂取しなかったとしても大して問題にはならない。
(中略)
そう考えると、「痛み」よりも「痒み」に近いものであると言えよう。痒みは精神を支配し、解消されるまで不快感を引き起こす。
習慣化をうながすプロダクトは、単に安心感を与えるために存在する。この痒みを解消するようなテクノロジーや商品を使用することで、即座に安心感が得られ、痒みを無視することができるようになるのだ。
そして、プロダクトに依存するようになれば、それ以外に安心感を満たしてくれるものはなくなる。
Fitbit ChargeHR が、特に何か「痛み」を取り去ってくれることはありません。
代わりに「今日の過ごし方はダイエット的にプラスなのかマイナスなのか?」という疑問に駆られている状態、すなわち「痒み」を解消する手助けをしてくれます。
摂取カロリーや消費カロリーを手入力する必要はあるものの、その“対価”として「アンダー(目標未達)」「ゾーン内」「オーバー(目標超過)」のいずれかの“ご託宣”を下してもらえるのです。
食事に気を付けたり、こまめに運動したり、といった努力に対するささやかなご褒美(時には厳しい警告)が確実に与えられます。起こした行動に対して必ずもれなくフィードバックがあることで、より望ましい行動を根づかせ、習慣化するうえでの支えになってくれるわけです。
まとめ
使い始めた当初は冒頭に示した摂取と消費のシーソー図をイメージしていたのですが、
使い続けるうちに、飲んだ水の量や歩数など、補完的な項目にも目が行くようになり、すべての項目が最適な値になるようにバランスをとる、というゲームに取り組んでいる感覚を持つようになりました。
ちょうど、以下のように玉の上にボードを乗せて、その上でバランスを取っているようなイメージです。
複数の計測値のバランスをリアルタイムに把握しながら、そこから得られるフィードバックをもとに行動を調整していきます。
それは、食事のコントロールであることもあれば、追加のエクササイズということもあるでしょう。実際、歩数が足りないということで、一駅前で降りて多めに歩く、という行動を起こしたことが何度かありました。
食事のコントロールも追加のエクササイズも、いずれも「痛み」を伴うものではありますが、ゲームの一環でもあるために「痒み」にまで弱められて、無理なく必要な行動が起こせるようになっている、と感じています。
» 【日本正規代理店品】Fitbit ワイヤレス活動量計+心拍計リストバンド ChargeHR Large Black FB405BKL-JPN
参考文献:
» Hooked ハマるしかけ 使われつづけるサービスを生み出す[心理学]×[デザイン]の新ルール
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