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「Evernote活用 10の原則」を検討する

By: Heisenberg MediaCC BY 2.0


倉下忠憲佐々木正悟さんの『Evernote仕事術』に、「Evernote活用 10の原則」が紹介されています。

» Evernote仕事術


  1. INBOXをゼロにするように整理する
  2. プロジェクト=スタックを作る
  3. ノートブックごとに散らばったノートをまとめたいときには「タグ」を使う
  4. あらゆる記録が自動的にEvernoteに集まるように設定する
  5. よく使うファイルはEvernoteに入れてしまう
  6. タスクを管理せず、資料を管理する
  7. 仕事の資料をワンタッチで呼び出せるようにしておく【iPhone編】
  8. 「これは何に使うのか?」に答えるのがノートブック
  9. 単層式タグを使う
  10. Evernoteはアイデアを長らえさせるために使う

私自身の利用法を踏まえつつ、それぞれを検討してみましょう。

1.INBOXをゼロにするように整理する

「INBOXなんて必要ない」という方もごく稀にいらっしゃるでしょうし、使い方によってはそれで問題ないのでしょうが、この原則は基本と言って良いと思います。

デフォルトノートブックから、所定のノートブックに移動させる。

それをやるだけで、それぞれのノートの意義が明確になります。

もちろん意義が不明瞭なノートであれば、意義が不明瞭なノートブックに移動させておけばよいでしょう。

2.プロジェクト=スタックを作る

「スタックはすべてプロジェクト単位にすべきかどうか」は難しい問題ですが、プロジェクトはスタックにしておくと扱いやすくはなりそうです。

ただ、私のスタックは、まったくプロジェクト単位にはなっていません。それでも特に問題はありません。

3.ノートブックごとに散らばったノートをまとめたいときには「タグ」を使う

「タグ」の役割は二つあり、一つは、まさに複数のノートブックにまたがるノートをピックアップすることです。
※もう一つの役割は、特定のノートブックからさらにノートを絞り込むことです。

たとえば、私は記事の雛形をEvernoteに保存していますが、それらのノートは、それぞれ所属するプロジェクトのノートブックに配置されています。つまり、「テンプレート」というノートブックは存在しないわけです。その代わり、「テンプレート」というタグを付け、雛形ノートを一本釣りできるようにしてあります。

こうしておけば、プロジェクト想起・テンプレート想起のどちらからでもノートにたどり着けます。

4.あらゆる記録が自動的にEvernoteに集まるように設定する

Twitterのログなどは、自動的に残るようにしておくと大変便利です。私は、自分のブログのフィードも取り込むようにしています。

ただ、なんでもかんでもというよりは、自分が残したい記録、という限定は必要そうです。特に最初のうちは。

5.よく使うファイルはEvernoteに入れてしまう

先ほども書きましたが、記事の雛形などはEvernoteに保存しています。また、著者プロフィールなどよく使用するけども、絶対に暗記出来ない文章などもEvernoteにあります。これも雛形のようなものですね。

また、Keynoteのスライドを作るときによく使用する画像も、Evernote(及びDropbox)に保存してあります。本当に細かいことですが、探し回る手間が減るのでなかなか便利です。

6.タスクを管理せず、資料を管理する

私は思いっきり「タスク」を管理しています。しかし、冷静に・公平に言えば慣れないうちはEvernoteで管理しない良いでしょう。

Evernoteは資料とタスクを一箇所で管理できるのが最大のメリットですが、逆に言うと混ざってしまう危険性があります。また、詳細は割愛しますが(気分的なという意味の)「モード」が立ち上がりにくいデメリットもあります。

7.仕事の資料をワンタッチで呼び出せるようにしておく【iPhone編】

私はiPhoneでEvernoteをほとんど使わないので、こちらはパス。

8.「これは何に使うのか?」に答えるのがノートブック

おそらく、「Evernoteの整理」において最も大切な原則がこれでしょう。

私は「スクラップ」というWebクリッピングを保存しておくノートブックを作っていますが、これは「後で参照するかもしれない雑多なWeb記事を集めるためのノートブック」です。つまり、「これは何に使うのか?」に対する答えは、「使うかもしれないし、使わないかもしれない」となります。だから、ここには整理の手間をほとんどかけません。

しかし、本の執筆などでネタにするぞ、と決めたWebクリッピングならば、その執筆プロジェクトの資料を集めるノートブックに配置します。「これは何に使うのか?」に対する答えが、「○○という本でネタにする」だからです。

Evernoteで「綺麗な」整理をやってしまうと破綻するのは、この問いにきちんと向き合っていないからですし、私が『Evernote「超」知的生産術』でマドルスルーな手法を紹介したのも、ある程度Evernoteを使っていかないと、ノートをどう使うかがイメージしにくいからです。

「これは何に使うのか?」という問いは__その答えが「使わない」であったとしても__大切です。

9.単層式タグを使う

Evernoteでは、タグを階層にする意味がほとんどありません。

私は見た目の整理のために、一段階だけ階層を作っていますが、見た目以上の用途はありません。タグの分類については、本書にあるように接頭辞を使っていますし、機能的にはこれで充分満足しています。

タグの機能改善がない限りは、おそらくこの方法が一番よいでしょう。

10.Evernoteはアイデアを長らえさせるために使う

「大切なものは(絶対に)忘れない」

という言説は疑っておいた方が賢明です。多くのものを私たちは忘れていきますし、忘れたこと自体も忘却していきます。

たしかに、時間が経った後、ふと「そういえば」と重要な思いつきを想起することはあります。そうした経験は貴重なものですが、だからといって全ての重要な思いつきが想起できている証拠にはなりません。

私のEvernoteにはさまざまなノートがありますが、一番大切なものは何かと言えばアイデアメモです。忘れてしまっては(ほぼ)取り返しがつかない、そして知的生産物の価値を形作るアイデア。それを書き留めたメモこそが、最も重要です。

どのようなノートであれ、その使い方を誰かに強要することはできませんが、もしEvernoteを使うなら、アイデアのメモは是非ともやってみて欲しいところです。

さいごに

というわけで、「Evernote活用 10の原則」を検討してみました。詳しい内容に関しては、本書を直接あたってみてください。

総じてみると、私の運用方法と合致している部分も多くあり、「原則」としての有効度も高いと感じられます。もう少し検討を進めて、私なりの10原則もまとめてみたいところです。

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▼今週の一冊:

拙著です。セルフ・パブリッシングによる電子書籍の新刊。

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よろしければ、どうぞ。

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▼編集後記:
倉下忠憲



なんとか1月もクリアできました。しかし、2月は日数が短いのと、確定申告があるのと、別の締切がすでに大幅に過ぎているのと……と考えると月末の新刊が果たして発売できるのか、とやや心配です。やるしかないわけですが。


▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。

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