一日は24時間ありますが、このうち睡眠時間は“天引き”されるので実際に使える時間はその分だけ少なくなります。可処分所得ならぬ可処分時間に目を向ける必要があります。僕自身、ここ数年の睡眠時間は5.5時間前後で推移しており、6時間を超えることはありません。
※昨年まではSleep Cycleで、今年からはSleep Meisterで睡眠時間を計測しています。上記は上がSleep Cycleの全期間、下がSleep Meisterの5月のログです。
従って、24時間のうち5.5時間を除く18.5時間が可処分時間ということになります。
とはいえ、18.5時間まるまるすべてを使えるわけではありません。食事や入浴やトイレや歯みがきなどの「生活時間」は天引きこそされませんが、その都度かかります。
「かかるだろうけど、知れているのでは?」
そう思う方も少なくないと思います。僕自身もそう思っていました。
でも、実際に計測してみると、予想をはるかに上回る時間でした。
せいぜい10時間程度しかまともに使えない
「生活時間」には先に挙げた以外にも家事を担当してれば、皿洗いや洗濯物干し、お風呂そうじ、トイレそうじなど、1回1回は数分で終わるものであっても寄せ集めると相当な時間になります。
これに加えて、着替えたり、コンタクトレンズをつけたり、女性であれば化粧や各種ケアのための時間もかかってきます。もちろん、通勤などの移動時間もあるでしょう。
さらに、PCやスマートフォンのメンテナンス、アプリケーションやファイルが開くまでの待ち時間、お茶やコーヒーを淹れる時間、書類や電子ファイルを整理する時間、などなど、仕事をする上では欠かせないものの、直接仕事に貢献するわけではない間接的な時間もかかってきます。これらを「間接時間」と呼ぶことにしましょう。
ある一日について、この「生活時間」と「間接時間」を合算してみたところ、7.6時間という結果が出ました。18.5時間のうちの40%以上を占めます。もちろん、日によって増減はありますが、30%を切るのは不可能で、多いときは50%を超えます。
18.5時間のうちの半分の9.25時間、せいぜい10時間程度しかまともに使えないわけです。
「今日は外出予定がいっさいないので、丸一日たっぷり使える!」という心躍るような日があったとしても、実際には10時間しか使えないのです。
いや、10時間使えたら最高です。そんなには使えません。
10時間をまるまるは使えない
この10時間をどのように使っているか、その内訳を調べてみると、以下のようになりました。
- 2.5時間(13.6%) 生産的な活動(収入に直結する仕事、いわゆる第一領域の時間)
- 2.9時間(15.3%) 投資的な活動(読書やランニングなど、いわゆる第二領域の時間)
- 2.4時間(13.1%) 楽しみの活動(映画や写真の整理など、いわゆる第四領域の時間)
- 3.1時間(16.7%) 空費的な活動(何もせずだらだらしている、いわゆる第四領域の時間)
これは、連休中の2014年5月6日(火)の記録で、合計10.9時間のシェアです。
この分類は第一領域~第四領域と完全には重ならないところもあります。
たとえば、3つめの「楽しみの活動」は便宜的に「第四領域」としていますが、これは「楽しみの時間」として「第五領域」としたほうがいいのではないかと考えています。「楽しみ」のために能動的に時間を使っているときと、無目的かつ受動的にだらだらと時間を過ごしているときとは分けて考えたほうがしっくりくると思えるからです。
なお、これらに先ほどの「生活時間」と「間接時間」の合計である7.6時間(これが第三領域に当たります)を加えると、ちょうど18.5時間になります。
※第一領域~第四領域についてはこちらの記事 をご参照ください。
▼「備え」のマトリックス
何か一つのことを一気に片づけるのは不可能ではないがたいへん難しい
ところで、「丸一日たっぷり使える!」と期待に胸を膨らませた時に念頭にあるのは、以下の3つのうちのいずれかでしょう。
- 2.5時間(13.6%) 生産的な活動(収入に直結する仕事、いわゆる第一領域の時間)
- 2.9時間(15.3%) 投資的な活動(読書やランニングなど、いわゆる第二領域の時間)
- 2.4時間(13.1%) 楽しみの活動(映画や写真の整理など、いわゆる第三領域の時間)
対象となるのは、
- たまった仕事を一気に片づけたい
- 積ん読本を一気に解消したい
- 運動不足解消のために一気に10km走りたい
- シリーズドラマを一気に観たい
などなど、まとまった時間を必要としそうなあれこれです。
でも、よほど強い思い入れを抱いていないと、どれか1つだけに10時間もの時間を投下することはできません。どんなにハンバーグが好きでも、ハンバーグだけをひたすら食べ続けることはせず、合間合間に付け合わせのポテトやにんじんのグラッセやブロッコリーを口に運ぶでしょう。これと同じことです。
逆に言えば、まとまった時間をうまく活用しようと思えば、いくつかのオプションを用意しておいて、飽きが来ないようにそれらを巡回する必要がある、ということです。
大きな仕事を分割しなければいけない理由もここにあります。
8時間かかる仕事は8時間のまとまった時間があっても終わらないのです。
せいぜい1日に2時間単位で4日間、あるいは1時間単位で8~10日間かけないと終わりません。単位時間を伸ばすと集中力が続きませんし、「今から4時間集中して作業するぞ!」などというスケジュールはひどく過酷です。
実際には「コーヒーを淹れてからにしよう」とか「メールチェックをしてからにしよう」という具合に、あれやこれやと理由をつけて先送りしているうちに時間切れになって「結局今日もできなかった…orz」、ということになりがちだからです。
時間集計の方法
まだテスト中ですが、TaskChute2 に「タスク実行後の評価」という機能を追加する予定です(現在のバージョンにはまだ搭載されていません)。
文字どおり、タスクを完了するたびにあらかじめ用意しておいた「評価」をつけることで、一日あたりの時間の使い方を分類できる、というものです。
評価は以下のように記号でつけます。今回の分類を当てはめてみました(項目は10個まで、記号は全角の記号を自由に設定できます)。
- ○:生産的な活動(収入に直結する仕事)
- ◎:投資的な活動(読書やランニングなど)
- △:間接的な活動(生活および間接時間)
- ☆:楽しみの活動(映画や写真の整理など)
- ×:空費的な活動(何もせずだらだらしている時間)
一日の終わりにその日の記録をテキストファイルに出力する「デイリーログ」という機能があるのですが、そのファイルの冒頭に以下のようなシェアとグラフが挿入されます。
●2014/05/06 (火) デイリーログ
○: 152分 ( 13.6%) ■■■■■■■■
◎: 171分 ( 15.3%) ■■■■■■■■■
△: 461分 ( 41.3%) ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
☆: 146分 ( 13.1%) ■■■■■■■■
×: 187分 ( 16.7%) ■■■■■■■■■■
他: 0分 ( 00.0%)
─────────────────────────
計:1117分 (18.62時間)
●2014/05/02 (金) デイリーログ
○: 58分 ( 05.3%) ■■■
◎: 359分 ( 32.8%) ■■■■■■■■■■■■■■■■■■
△: 565分 ( 51.6%) ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
☆: 72分 ( 06.6%) ■■■■
×: 22分 ( 02.0%) ■
他: 0分 ( 00.0%)
─────────────────────────
計:1094分 (18.23時間)
一日の終りまで待たずとも、任意のタイミングで「途中経過」をチェックすることも可能です。その日の時間の使い方に関する“開票速報”のようなイメージですね。
関連書籍など:
次の引用は有名なのでご存じの方も多いでしょう。
仕事に関する助言というと、計画から始めなさいというものが多い。まことにもっともらしい。問題はそれではうまくいかないことにある。計画は紙の上に残り、やるつもりで終わる。成果をあげる者は仕事からスタートしない。時間からスタートする。
これは『経営者の条件』に書かれている言葉です。「時間からスタートする」とは、時間の記録からスタートする、ということでしょう。
時間の記録といえば、『プロフェッショナルの条件』にある以下の指摘を思い出します。
継続して時間の記録をとり、その結果を毎月見ていかなければならない。最低でも年2回ほど、3,4週間記録をとるべきである。記録を見て、日々の日程を見直し、組み替えていかなければならない。半年も経てば、仕事に流されて、いかに些事に時間を浪費させられていたかを知る。
(中略)
時間の使い方は、練習によって改善できる。だが、たえず努力をしないかぎり、仕事に流される。時間の記録の次に来る一歩は、体系的な時間の管理である。時間を浪費する非生産的な活動を見つけ、排除していくことである。そのためには、時間の使い方についての自己診断のために、いくつかの問いかけを自らに対して行っていく必要がある。
その問いかけとは、「まったくしなかったならば、何が起こるか?」です。その答えが「何も起こらない」であれば、ただちにやめましょう、とドラッカーは説いています。
これを実践するうえでは、記憶ではなく記録に頼る必要があるわけです。
いずれも大著なので、手っ取り早く概要をつかみたい場合は以下がおすすめです。上記2冊も含め、大量にあるドラッカーの著作のエッセンスがギュッと詰め込まれています。それぞれの著作を読んだことがあれば、いっそう理解が深まるでしょう。著者の上田惇生氏はドラッカーの主要著作のすべてを翻訳している方です。
» ドラッカー 時代を超える言葉―洞察力を鍛える160の英知
睡眠時間記録アプリ
睡眠時間の記録に使っているアプリです。昨年まではSleep Cycleで、今年からはSleep Meisterで睡眠時間を計測しています。
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