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「仕組み」は少しおかしいんじゃないかと思われるくらいまで徹底的に作り込む

By: Frédéric BISSONCC BY 2.0


佐々木正悟 よく言われている「仕組み作り」などというのは、中身一つ一つを見れば、実にどうってことのないものです。どうってことのないもので、どうってことのある結果を得るためには、極端に徹底できるかどうかが1つの分岐点となります。

手を伸ばした先にデータを置く

たとえば書類整理の「仕組み」を考えてみます。

いまから述べることはほとんど「コツ」や「心がけ」に近い話に聞こえるでしょうが、紙類が「自然と片づく」ようにするには必須の事柄です。とくに、導入しはじめには意識してみてください。

ポイントはすごく単純です。紙類とスキャナ、それからパソコンが「立たなくても手の届く範囲」にあるように配置するというだけです。

例えば郵便物を集めるトレイは、私の場合立ち上がらなくてもスキャンできる位置にあります。

また、毎日チェックする43フォルダーズというシステムも、立ち上がらなくても手が届く位置にあります。

そもそもスキャナそのものが、手元の引き出しの中にあります。もちろん立ち上がることなくUSB一本でパソコンに接続できます。

パソコンはもちろん常時手元にあります。

ついでにいえば、レターシャープナーやカッターも、立ち上がらなくてもとれるところにあります。

それから紙類をスキャンした後にシュレッダーにかけますが、シュレッダーも立ち上がることなく使用できます。

シュレッダーにかけない紙類は、ゴミ箱行きですが、それもまた立ち上がらずに捨てられる位置にあります。

個人的には、こういう環境設定が非常に大事なのです。こうなっているからこそ、紙のスキャンという作業をする気持ちになれるというものです。ここまで完備されていてもなお「面倒だ」と感じることもあります。面倒だと感じたあげく、やらないということすらあります。それでもこうなっていることで、2度に1度は「面倒でもやっておこう」と思えるのです。

それにやり出せばまったく面倒ではなく感じます。何しろ椅子から一歩も立ち上がることなく全ての作業が終わるので、ものすごくものぐさな感じの中でも作業自体は終わります。一歩も立ち上がることなく、一歩も歩くことなく、少なくとも「今日処理すべき書類」だけは全部処理されきります。シュレッダーにもかけられます。ゴミ箱に捨てられます。確実に書類は跡形もなくなり、情報の全てがデジタル化され終わるのです。

そして、次の点が大事だと思うのですが、インプット時に椅子から一歩も立ち上がらずにすむと同時に、情報検索も、椅子から一歩も立ち上がることなく、Evernoteで探すだけですみます。これが、歩き回って書類を探さないといけないと思うだけで、やらなくなるのです。

仕組み作りは、ここまでやると、明らかな効果を実感できます。やるたびに何度も何度も実感できます。このように小さな実感が積もり積もって、山のような大きな快感になるのです。

以上は書類整理に関する話ですが、このような「仕組み」を作れるものなら、ありとあらゆる場面に適用したいものです。

▼編集後記:
佐々木正悟

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私は少しおかしいと思われるくらい仕組みを作るというのが好きな人間ですが、本書の共著者である富さやかさんは、どちらかというとEvernoteをマニアックに使い込むのが好きな方です。

とは言え、富さんとの共著は前作もそうでしたが、本書は必ずしもマニアックさを目指しているものではありません。どちらかと言えばかなり現実的にスキャンスナップを活用して、部屋の書類を少しずつ「なくしていく」のを目指した本です。

ペーパーレスシステムなどというと、なんだかとても大変な作業を経た上で構築される独特のワールドといった印象もありますが、本書ではむしろ、簡単確実に実現できる方法を提唱しています。

紙を何とかしようとスキャナを買っては見たものの、ほとんど使えていないといった方にぜひ、参考にしていただければ幸いです。