今年買った英語版のほぼ日プランナーの使い道に困っておりました。
去年まで使っていたほぼ日カズンに比べるとスペースが狭すぎて「いろいろ書き込む」ことができないのです。何か特定の用途に特化して使うのがよいのではないか、と思いながらも、決めきれずに悩んでいました。
そんな中、ふと「そうだ、執筆日記を書こう」というアイディアが天啓のように降ってきました。何がきっかけだったのかはまったくもって思い出せませんが(だって天啓です)、その日から書き始め、なんとかこうとか続いております。
計画とレビュー
日記、と書きましたが、これは純然たる日記ではありません。二つの要素から成り立っています。
まず、朝一番にその日進める執筆についての希望的計画を書き込みます。「今日はこの部分を集中的に書き込もう」とか「昨日詰まったここを改善しよう」とか、そういう話題です。
不思議なもので、こういう「希望」を書き付けておくと、日中作業を進める際にもモチベーションの火が付きやすくなります。湿っていた木材が乾燥するような感じですね。
だいたい一日ページの半分ほどが、その「希望的計画」で埋まります。これが一つ目の要素。
二つ目の要素は、残りの部分に書き込みます。
一日の作業を振り返ってどうだったのか。「希望的計画」はどれだけ進んだのか。新しく発生した問題はないか。うまく行った部分はどうだったか。そういうレビューを書き込むのが二つ目の要素です。
このレビューは、一日の最後に書くときもあれば、次の日の朝、希望的計画を記入する前に書き込むこともあります。
- 「希望的計画」→「レビュー」→「希望的計画」→「レビュー」→「希望的計画」→
という感じでぐるぐるループを回していくと、「連続しているのに区切りがある」という表現しがたい感覚が生まれてきます。
付箋の補助輪
ページ上部に貼り付けてある付箋は「見出し」ではなく、「リマインダー」です。
だいたいにおいて「執筆日記を付けよう」と決意しただけで、それを実行できると考えるのは甘い見込みです。三日坊主の原因は、飽きもあるでしょうが、行為の実行を忘れてしまうことであったりもします。
こうして「執筆日記」と書いた付箋を貼っておけば、ページを開きさえすれば書き忘れることはありません。そして私は「起床時間を記入する」というのが習慣になっているので(そしてデイリータスクリストにも自動的に記載されるので)、必ず毎日ページだけは開きます。
つまり、付箋という「リマインダー」を使った習慣の相乗りによって、執筆日記の実行を助けているわけです。
このように「必ず何かする」という習慣は、別の習慣を生み出すのに役立ちます。
Evernoteによる作業記録
作業の「はじめ」と「おわり」に記録を付けているとして、実行中はどうなのかというと、それはEvernoteに記録を付けています。なぜか、ここでツールが分離しているのです。
1時間の作業ごとにチェックボックスを一つ作り、一つチェックマークを入れるたびに、その一時間分の作業についての振り返りを書き込んでいます。
ちなみにこのノートは「デイリータスクリスト」といって、その日実行する分だけのタスクが記載されたものです。日中は常に、このノートを参照して作業を進めています。机の上で拡げっぱなしになっている手帳をイメージしてもらうと良いかもしれません。
作業を進めている間は「常に」このノートを参照することになるので、作業記録を付ける場所としてはデイリータスクリストが良いのです。ここでも「常に」が効いています。
統一はできないか?
さて、大ざっぱに分類するならば、上の二つの要素は同じカテゴリーに属すると言ってよいでしょう。
であれば、これをどちらかに統一することはできないでしょうか。つまり、「全てほぼ日プランナー」か「全てEvernote」にできないか、ということです。
残念ながら作業量が多いと記述量も多くなり、手書きでページサイズに制約があるほぼ日プランナーへの統一は難しいかもしれません。
であれば、Evernoteはどうでしょうか。Evernoteも毎日目にするツールです。その点においてはほぼ日プランナーと変わりありません。しかし、私の中でどうにもコンテキストが合わないような感覚が残ります。
その違和感が何かと考えてみると、ようは「近辺の記録への参照しやすさ」にあるのではないかと思い立ちました。
「一日ごとの記録」を付ける場合、気になるのは昨日や一昨日の記録です。ほぼ日プランナーなら、それに即座にアクセスできます。逆に、作業記録であれば、参照したいのは1時間前、2時間前の記録であったりします。デイリータスクリストなら簡単にそれらを確認できます。
でも、それを混ぜて記録してしまえばどうでしょうか。
あまりうまくいかない気配が漂ってきます。
一つ言えるのは、ほぼ日プランナーに書くような感覚で、デイリータスクリストに希望的計画を書くことはできないだろう、ということです。少なくとも、その二つは私の文脈では別の存在であり、それを混ぜるのは良い結果をもたらしません。
さいごに
今回はとりとめなく、執筆記録について書いてみました。大ざっぱなにまとめると、
- 「計画とレビューのループは作業進捗に有効」
- 「すでに習慣になっているものに上乗せする」
- 「感覚が違うものを混ぜるとうまくいかない」
ということになるかもしれません。
ともかく、これを付けるようになって、仕事の進捗ペースはたしかに上がりました。記録は偉大です。
▼今週の一冊:
思うところあって、以下の本を再読しておりました。
私たちが「問題」に直面したとき、どのような思考の作用をもって解決に当たるのか。それが解説されています。問題解決に挑む人だけではなく、そういう人を導く立場にある人へのアドバイスも豊富です。
「数学」に限定されているとは言え、その視線は一般的問題解決へも十分射程が伸びています。大変有益な本です。しかし、現代において、あるいは現代の若者において本書が読みやすいのか、というのは少し疑問が残るところ。本書と同じ志を持ちながら、違うアプローチの本があってもよいのではないか、なんて気がしてきました。
ともあれ一読に値する本であることは間違いありません。
▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。