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夢想するときと、尻に火が付いたときにしか、やる気が起こらない理由

似たようなことは何度か書いているのですが、どんどん新しい知見が拡充しているため、書くべきこともどんどん増えています。ありがたいことです。

「先送り」というのは不合理な判断であることが多いものです。いつも不合理だとは言えませんが、かなり不合理なこともしょっちゅうです。

よくたとえに持ち出される夏休みの宿題なども不合理な判断の好例です。7月中とは言わないまでも、せめてお盆過ぎから取りかかればいいものを、8月31日になって泣きをみるなど笑い話みたいですが、身に覚えのある人が多いからたとえ話にしやすいのです。

でもこれにはれっきとした理由があったりするのです。

「夢」と宝くじはよく似ている

宝くじが期待値とまったく見合わないことはよく指摘されます。常識的な計算ができれば、宝くじなんか買わないはずだと経済「ツウ」の人はいうわけです。

しかし宝くじを買う人には次のような殺し文句があるのです。

「買わなければ当たらない」

確率がゼロであることと、0.000000001であることはちがうのです。心理は「確定事項」と「未確定事項」の差に敏感です。

「夢に向かって行動を起こさない限り、変化は決して起こらない」

この文章と、宝くじを買う人の文章の、心理的効果はまったく一緒です。ゼロか、そうでないか。それが人間心理に影響を与えやすいのです。

もちろん慎重な人であれば、あえてそこを計算しにかかるはずです。ゼロに限りなく近いのは、ある程度を越えれば、ゼロと一緒だ。それももちろん正しい。しかし宝くじに当たる人はどこかにいるように、夢を叶える人はどこかにはいて、そのことを無視できないと思う心が、すなわちモチベーションになるわけです。

「ギリギリ」と「ダメもと」は同じこと

ここまでは夢を叶えるモチベーション。ここからは、〆切に追われて走り出すモチベーションです。

ここでも心理に火をつけるのは、「確定事項」と「未確定事項」の差です。それに敏感な心です。

『走れメロス』のセリフです。

「ひょっとしたら、間に合わぬものでもない。走るがいい。」

宝くじは、買わなければ当たらないが、買えば当たる確率がゼロではなくなる、でした。〆切に追われる人は、やらなければ絶対にダメだが、今からやれば、間に合う確率がゼロではなくなる、です。

人は、確率0%と100%を非常に特別なものに感じています。先に述べたとおり0%と0.000000001%は「大きく」ちがうのです。ちなみに、1%と1.000000001%はたぶん「全然違わない」のです。

人は「ダメもとでやる」と言うときにモチベーションがわきます。しかしそのためには、「このままいったら絶対に間に合わない!」という確信を先に得る必要があります。だからこそ7月21日の時点では、「今日宿題は全然しない」ということになり(やらなくても間に合わないという確信はない)8月31日の時点では「ダメでもともとで今日徹夜する!」(明日に回すことは一切できないと確信できる)ということになるわけです。

「夢」と「ギリギリ」でやる気が出る

やる気において中間というものは発生しにくいというわけです。夢に向かってほとんど無謀とも言える行動を起こすときには妙にやる気がわくのは、0を0でなくするからです。

しかし、1を1.00001に、10を10.00001にするとなると、それほどのやる気はわかないものです。そのようにして、中間には行動を起こさずに時間を無駄にします。

ですが最後にはムダにできない日がやって来ます。つまり「このままでは100%ダメである!」と確信を得たとき、急に行動を起こす気になるわけです。