先日、EvernoteのMacクライアントに「リマインダー」という新機能が追加されました。
この機能には、二つの要素があります。
一つは、指定した期日にノートを「通知」してくれる機能。メールおよびアプリケーション内で通知してくれます。スケジュールやタスクの締め切りを思い出すために使えますね。
もう一つが、ノートをフックしておく機能。アプリケーション上で、ノートの表示を固定化してくれます。埋もれさせたくない、あるいはよく目にしたいノートを扱う場合に使えそうです。
一日中Evernoteを使い回している私としては、後者の要素が気になりました。
今回は、この新機能を「こう使ってみる!」というアイデアを紹介してみましょう。
プロジェクトデータ管理
私は、執筆などの中長期のプロジェクトを実施する場合、それに対応するノートブックを作成しています。
そのノートブックに、使いそうな資料、思いついたアイデア、確認メール、原稿の下書きなどを放り込んでいきます。当然、時間が経てばノートの数はどんどん増えます。すると、最初の方に作成したノートが徐々に目に入りにくくなってしまいます。
これまではタグを使って、こうしたノートへのアクセシビリティを高めていました。が、リマインダーを使えば一発で解決できます。
そのプロジェクトの概要をまとめたノート、進捗状況や作業メモを書いたノート、個別の原稿を保存するノート、こうしたものをリマインダーに並べておけば、ノートブックを選択しただけで、すぐさまアクセスできるようになります。
テンプレに瞬間アクセス
定義的におかしいのですが、「終わりのないプロジェクト」というものがあります。私の場合であれば、ブログやメルマガの更新がそれです。
メルマガも、普通のプロジェクトと同じように専用のノートブックを作って、書いた原稿やネタを保存しています。当然、このノートブックも日に日にノートの数が増えてきます。
問題は、そのノートブック内に、メルマガ原稿のテンプレートを保存したノートが入っている点です。それをベースにして原稿を書き始めるので、週に一回はそのノートにアクセスすることになります。更新を休まない限りは、必ずそのノートを使うのです。
これまでは、検索保存を経由してそのノートにアクセスしていました。もちろん、これも「リマインダー」を使えば、簡単に解決できます。
このやり方のポイントは、ノートブックを開くだけで全てが手に入る、というところです。
これまでは「検索保存」でテンプレートにアクセスし、「ノートブック」で使うネタを探すという二つの手順を踏んでいました。たかだかワンクリックですが、そこには「画面移動」に伴う心理的な面倒さが付きまとっていました。
それが一気に解消するわけです。
簡易ネタ帳
「このネタ、明日のブログで使おう」
そう思った時、リマインダーに登録しておけば、忘れることはなくなります。
特に、「毎日必ず開くノートブック」のリマインダーに設定しておけば、メールの通知がなくても思い出せるでしょう。何しろ、そのノートブックを開けば、イヤでも目に入るのです。後からどれだけノートを追加しても、そのネタが埋もれることはありません。
「毎日必ず開くノートブック」としては、「inbox」が候補としてあげられます。既定のノートブック指定してあるノートブックです。
私は、作業リストとネタ帳を放り込んである「短期選抜」というノートブックに簡易式ネタ帳リマインダーを設定してみました。
さいごに
基本的に、Evernoteは時系列でノートを保存するツールです。大半のノートは、時系列+検索で問題なく使えます。
ただ、時間をおいて何度もアクセスするノート、埋もれさせたくないノート、近い将来使うことが確定しているノートに関しては、時系列+検索だと若干面倒な形になってしまう場合があります。
この「リマインダー」は、ある意味で『「超」整理法』の「神様」ファイルと同じような位置づけで捉えるとよいかもしれません。時系列の枠から飛び出した特別なノートです。
もちろん、デジタルのEvernoteですから、そのノートは時系列にもとどまっています。ちょっとしたハイブリッドと言えるかもしれません。
▼今週の一冊:
文脈的には、『スタンフォードの自分を変える教室』が近いかもしれません。
「意志力」とは何か。それがどのように私たちの生活に影響を与えているのか。意志力を鍛えたり、うまく使うにはどうすればいいのか。それが解説されています。シゴタノ!読者の方ならばおなじみのGTDについてのお話も登場します。
どれだけ高い知能を持っていても、それを使うために自分を動かせないと、高い成果は生み出せません。意志力の扱い方は、とても重要なテーマです。
Follow @rashita2
外出仕事が一通り終わったので、集中原稿執筆モードに移行中です。しかし、このシゴタノ!やメルマガで締め切りを守れなかったことは一度もないのに、なぜ書籍だと原稿が遅延してしまうのか、非常に謎です。もちろん、何かしらの理由がきちんとあるのでしょうけれども。
▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。