フリーランスと研究者は宣言するとうまくいく (impress QuickBooks) | |
佐藤圭二
インプレスコミュニケーションズ 2013-04-18 |
私が不親切だと思う言動に「情報はいくらでも手に入る」というものと「ツール選びよりも考え方が大切」というものがあります。とくにタスク管理やGTDにはこの種の言い回しがつきまとっています。たしかにインターネット上に、GTD関係の情報は相対的に多くありますが「いくらでも」とは表現が強すぎるのです。
意外に自分が欲しいと思う情報ほどないものですし「ツールよりも考え方が大切。ツールや方法に関する情報はいくらでも手に入る」と言っている人は、必ずしも聞いたことに答えてくれていないのです。即座に「考え方」を分かるように教えてくれるわけではないし、どこを見れば必要な「考え方」を知ることができるのかも教えてくれないことが多いのです。
どうしてGTDに挫折したのか?
この本は「なかなかGTDをうまく回せない」で困っていた著者が、GTDを運用できるようになるまでの試行錯誤と、体得したコツをあまさず書き下ろしたものです。
著者である佐藤圭二さんは、いわゆるライフハッカー一般の感覚にとても近く、「GTDが回せない」から「だんだんできるようになってきた」に至る経緯にはとても共感できます。
佐藤さんがなぜ「GTDがうまくできなかった」のかは「はじめに」からしっかり書き込まれています。これだけでも多くの人にたくさんのヒントがもたらされるでしょう。佐藤さんと同じように「もっと色々できるはずなのに」「自分の使っているツールに問題があるのだろうか?」と悩んでいる人が多いはずだからです。
こういうときに「考え方こそ大切」「情報はいくらでもある」と言われても、行き詰まりから抜け出せないのです。どんな「考え方」をしているからうまくいかないのか。どこに必要な情報があるのか。分からないから困っているわけです。
本書はそれを一冊にまとめています。どんな「考え方」をしたせいで、佐藤さんが行き詰まってしまったのか。それを事細かに書いています。これは、そう思われないでしょうが、なかなか勇気のいる親切な姿勢です。
ほとんどの人は、「ひどく間違った考えにとらわれていたせいで、GTDが回せなかった」などと「告白」したがりません。「GTDさえマスターすれば結婚できると勘違いするやつwww」などと揶揄されるのはいやなので、体よく隠しておきたいと思うものなのです。「告白」したところでこれと言ったメリットはないのですから、隠しておきたいと思うのも、もっともです。
だからこうした、本当は正しいステップへ進むために必要な情報が足りなくなるのです。「恥ずかしいステップ」は一切著者の胸にしまわれ、「私もいろいろな試行錯誤を経てようやくうまく回せるようになりました」という一文からはじめられてしまうわけです。
本書にはかなり丁寧に、著者が陥った、陥りがちな思い込みが紹介されています。
パラダイムシフトとツールとの出会い
これは本書からの図解です。私が一番気に入っている図解です。
著者の頭の中身が手に取るように分かります。それは、非常によく整理されているからなのです。
私達の頭の中は普通、もっと雑然としています。人に考えを示そうとしても、自分にはわかりきったことなのに言いよどんだり、自分でも何を言っているのかが分からなくなったりするのは、そのせいです。
佐藤さんはGTD勉強会で得たいくらかのアドバイスで「大きな気づきを得た」りするうちにTaskchuteに出会って、GTDを「回せる」ようになっていきます。このプロセスはちょっとした「成功体験」を読むようで軽く興奮します。
その成果が上図のような整然とした図解です。GTDが「頭の中をスッキリさせる」ものであることを、上の図が非常によく物語っています。おそらくGTDをものにする以前の佐藤さんは、もっと頭の中が混沌とした状態だったはずです。それでも勉学や仕事を進めていくことはできるのですが、ストレスフルなものです。とくに忙しいときはそうです。
頭の中が整然としたとしても、結局やることは変わらないかもしれません。しかし、頭の中のストレスレベルはグッと下がります。まさに「ストレスフリーの仕事術」というわけです。
5月18日 タスクセラピー@京都(京都府) |
たぶん今年最初で最後の、関西での「タスクセラピー」となります。
東京で開催しているのと同じようにはできませんができる限り再現し、タスクセラピーをどうやって回しているのか、その様子の一端でもお伝えし、今後関西でもタスクセラピーを定期的に開催できるようになったいいなと思っています。
もちろん先送り対策や、やりたいことをやる、ストレスリダクションといった目的のために、タスク管理を実践する方法がメインのテーマです。