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本を書き終えると、使用したデータを整理すると共に、仕事の進め方を振り返るようにしています。
よりよく仕事を進めていくためにレビューは欠かせません。フィードバックなき所に成長なし、と言っても過言ではないくらいです。
で、今回は執筆に入る前の段階、つまり構成を固めていくときの手順を振り返ってみました。
大まかな全体像は以下のような感じです。
それぞれみていきましょう。
Evernote
愛用というか、もはやどこにでも顔を出すツールであるEvernote。この場合では、アイデアの発見や素材の発掘に使います。
主に使用されるのは、自分の発想を書き留めたアイデアノート、ウェブページや書籍の写真を保管した各種クリップ、そして発想素子(はっそうそし)です。発想素子とは、__私の造語ですが__連想を刺激するキーワードやクエスチョンのことです。
これらを見返しながら、企画案に関する素材を集めていきます。
素材の整理
集まった素材を付箋に書き出し、紙の上で整理していきます。
単純に手間だけを考えれば、パソコンを使った方が早いのですが、個人的には大きな紙にペタペタを付箋を貼り、それを一歩引いた視点から眺め、付箋の配置を変えていく作業が好みです。こうした作業をしていると、頭の中で情報が整理されていく感覚が強く味わえます。
結構な分量になるので、全体像を考える場合は、A4用紙を4枚つなぎ合わせて大きな下地にします。あるいはそれぞれの章の固まりになりそうなものごとにA4用紙1枚を割り当てる方法もあります。
この段階では、まったくもって(仮)なので、深くは考えません。
全体イメージ
そうして付箋を整理した後で、マインドマップを描きます。手描きです。
この場合、先ほど整理した付箋はあまり参考にしません。とりあえず自分の頭で書籍の全体像をイメージしてみるのです。これもまた(仮)なので欠落があっても気にしません。
一度付箋で情報を整理しているので、なんとなく章の固まりみたいなものは見えやすくなっています。
新しい風を入れる
ここまで来たら、一度頭を切り換えます。視点が狭くなっている可能性があるからです。
そこで登場するのが「アイデアペーパー」。もともとイラストが入っている不思議な感覚のアイデアツールです。
このペーパーを使い、もう一度「その本で言いたいこと、表現したいこと」を確認していきます。その際、出来るだけイラストを活用するようにします。感覚的には教科書にいたずら書きするような感じが近いかもしれません。
※これは書籍とは関係ありませんが。
そうすると、自然と視点に新しい風が送り込まれる、というわけです。
go back
アイデアペーパーを使いながら「!」と新しい着想が舞い降りてきたら、それを元に、再び全体イメージのマインドマップをリライトします。書き足しで済む場合もありますが、全面的に一から書き直す場合もあります。
特に新しい風が吹かなければ、一応このプロセスは終了、ということになります。
さいごに
あとは、出てきた素材をパソコンのアウトライナー(アウトラインプロセッサ)に突っ込んでいき、全体的なイメージを元に、その素材を分類・配置し、構成案の形にしていきます。
いきなりアウトライナーから取りかかってもよいのですが、私の場合は一度自分の中で全体のイメージ図を描いていないと、なかなか執筆が進まない、ということがわかりました。初めの準備段階に時間をかけておく方が、後々進めやすいということです。
ちなみに、こうして作った章立て案も執筆を進めていく内に変化してしまいます。アウトラインは水物なのです。しかし、作らなければ作らないで執筆が迷走してしまう可能性があります。なかなか難しいものです。
▼参考ツール:
定型の発想刺激ワードも便利ですが、こうして自由度が高くかつ遊び心を刺激する考具もなかなか面白いです。通常のアイデア出しで行き詰まりを感じたら、この紙でアイデアを拡げてみるのもよいかもしれません。
▼今週の一冊:
以前佐々木さんが紹介されていましたが、改めて私からも。
名前の通り、Kindleを使った読書の方法がかなり具体的に解説されています。Kindle端末を買って、操作方法に不安があるのならば、とりあえず本書を押さえておけば大丈夫でしょう。
もちろん、クリエイティブ〜〜術の著者が送る一冊なので、単なる使用解説書に留まってはいません。「いかに本を読むか」という深い部分にまで言及があります。その辺の感覚は、私の新刊と通じるものがあるかもしれません。
Follow @rashita2
本稿を書きながらふと思ったんですが、書籍のアウトラインとタスク管理におけるデイリータスクリストやタスクシュートには近い関係がありそうですね。その辺誰か分析してくれないでしょうか。
▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。