1月25日に発売となりました『スマホ時代のタスク管理「超」入門』。
発売を記念して、本書の内容の一部を抜粋にてをお届けします。
今回は、第2章より「「時間帯」というコンテキストでタスクを管理する」です。
「時間帯」というコンテキストでタスクを管理する
OmnifocusやNozbeやToodledoなどの高機能のツールになると、「タグ」や「コンテキスト」という「どこで」「誰と」タスクを処理するかといった情報を付加できます。
これを駆使するとものすごく合理的にリスト管理できるようになりそうに思って、つい無性に凝りたくなるのですが、あまり凝りすぎないようにしましょう。
たとえば家でやるタスクもあれば、オフィスでしかできないようなタスクもあります。雨の日に持つべき持ちものもあれば、出張前に用意すべきものもあるでしょう。
こういった考えに沿って、たとえばNozbeのコンテキストを使えば、「家」「PC」「調子のよいとき」といったタグのを付けられて、効率よくタスクリストを管理できると思うわけです。
でもこれが意外にうまくいかないのです。
たとえば「@自宅」というコンテキストはだれにでもあるでしょうが、それが朝の自宅なのか、夜の自宅なのか、休日の自宅なのか、出張後の自宅なのかで、登場すべきリストは全部違ってくるでしょう。
すると空間名だけで切り出していくのは無意味だということで、これにコンテキストを追加することになります。「家」と「早朝」や、「家」と「出張前」など、コンテキスト要素が徐々に増えていきます。
おそらく人名も加えた方がいいとも思えるでしょう。するとコンテキストがどんどん増えて、ダブったり単独では使えなかったりして、だんだん管理が面倒になっていきます。
時間帯をコンテキストにする
そこで「時間帯」というコンテキストを用意します。
たとえば家に居てPCに向かうことができて、しかも調子が良い時間帯というのがあるのです。当然、日によって多少の変動はあるかもしれませんが、波は一定しています。
どうするかというと、次のような時間帯の候補が考えられるでしょう。
- 起床後~出勤前
- 出発~通勤時間~出社
- 出社~仕事を始めるまで
- 午前中のオフィス
- 昼休み
- 午後のオフィス
- 夕方のオフィス
- 退社~通勤時間~帰宅
- 帰宅後のひととき
- 就寝前
これらがそのままコンテキストになるのです。
当然、似たようなタスクが同じコンテキストに集まってくることになります。たとえば、就寝前には就寝前にふさわしいタスクばかりが集まるので、心安らかに最後の仕上げをして、眠りにつくことができるでしょう。ここが非常に大事なところです。
コンテキストというものが機能しなくなるのは、あるコンテキストで抽出したリストのなかに「その時には処理しないタスク」が雑音になってしまう場合です。
「@自宅」というコンテキストで切り出しただけのリストが機能しないのは、自宅でやることが全部同じリストに入ってきてしまうからです。だからもっと絞りこむ必要が出てきてしまう。そうしているうちにコンテキストの要素が増えてしまうし、一度しか使わないようなコンテキストも残ってしまい、コンテキストが使いにくくなるのです。
そんなに複雑にせず時間帯のコンテキストを入れれば、時間帯と無関係に存在する空間というのはないので(そんな人もいないので)、自動的にコンテキストの要素が絞りこまれます。時間帯というコンテキストを用意するだけで、人名や空間のコンテキストをグッと減らすことができるということです。
スマートフォンの登場で「時間帯コンテキスト」がますます有効になる
スマートフォンはいつでも身につけていられますから、タスクに「日付+時間帯」というコンテキストを与えておけば、理論上は全てのタスクに最低一度は遭遇することが可能になりました。
空間というコンテキストだけが与えられたタスクには、そこへ行かない限り登場しません。それでいいことも多いのですが、たとえば「虫さされの薬を買う」というタスクがあったとして、「薬局」というコンテキストだけを与えておくのは、理に叶っているようでそうではありません。
なぜなら虫さされの薬は薬局に行っても行かなくても必要なものだからです。これが「帰宅時」という時間帯のコンテキストを与えられていれば、少なくとも薬局に行かなければならないことを思い出せます。
全てのタスクがパソコンに入っているだけですと、全ての時間帯にパソコンの前に居なければならなくなりますが、スマートフォンでタスクを確認できれば、時間帯のコンテキストだけでもタスクを管理できるわけです。