以下のエントリーでリストについて書きました。
» SH007:心配とプレッシャーをなくすためにリストを作る
実際のところ、リストを作るのは面倒ですし、実情にあわせてメンテナンスをし続ける必要があるために、ついつい後回しにしがちです。
でも、最初の導入の時間と手間さえ乗り越えてしまえば、あとはずっとゆるやかながらも下り坂を滑り降りる快感を味わい続けることができます。
では、どうすれば面倒を乗り越えることができるのか。
この問題のヒントを求めて読んだのですが、チェックリストのパワーと大切さを改めて痛感させてくれた一冊でした。
» アナタはなぜチェックリストを使わないのか?【ミスを最大限に減らしベストの決断力を持つ!】
前半はいまいち入り込めずに読んでいた本書ですが、後半になって、より具体的に言えば第8章に入って突然ギアが入りました。
もちろん、著者としてはこの8章についてもそれまでの章と同様のテンションで書いていたのかも知れませんが、僕にとっては急にスイッチが入り、ぐいぐい引き込まれるように読みました。
読みながらいてもたってもいられなくなり、いったん読むのを中断して作ったのが以下のリストです。
本を読む時のチェックリスト
- □本のタイトルとサブタイトルだけを見た印象から「この本から学びたいこと」を疑問文の形でリストアップする
- □表2~表4までに書かれている内容に目を通し、新たに思いついた「学びたい」とを1に追記する
- □著者プロフィールから誰向けの本を書いている人なのかを読み取り、そのプロファイルをリストアップする(例:○○で困っている人向け)
- □「はじめに」を読み、新たに思いついた「学びたい」とを1に追記する
- □「目次」に目を通し、新たに思いついた「学びたい」とを1に追記する
- □「おわりに」を読み、新たに思いついた「学びたい」とを1に追記する
- □できあがったリストにある「学びたい」を意識しながら読み始める
たとえば、今回の本であれば以下のような感じです。
この本から学びたいこと
- 効果的なチェックリストを作る方法とは?
- チェックリストはどういう時にどう活用するのが一番いいのか?
- なぜ「アナタ」とカタカナにしているのか?
- 「THE CHECKLIST MANIFESTO・HOW TO GET THINGS RIGHT」という原題がどうしてこの邦題になった?
- 様々な業種で役に立つとのことだが、“現場”に近い職種ほど活用は難しいのでは?
- 実際にリストをどういう風に活用しているのか? 自分はどう真似ればいいか?
プロファイル
- チェックリスト自体を知らない人向け
- チェックリストについて体系的に学びたい人向け
- チェックリストを作ってもうまく活用できていない人向け
- チェックリストの良さを社内に広めたいと考えている人向け
- チェックリストを社内に導入しようと画策している人向け
全9章のうちすでに8章まで来た段階で書き出したものなので、本来の意味をなさないところもありますが、まずはやってみることが大事かと思い、作ってみました。
一度読み終えた後も、途中付箋をつけたページを読み返す際にこの2つのリスト(学びたいこととプロファイル)にある内容を意識することで、読み取り精度がアップするはずです。
作った「学びたいことリスト」は無駄にはならないのです。
チェックリストの方も、繰り返し使う中でメンテナンスを加えていくことで、こちらも精度アップが期待できます。
最後に
本書でもっとも印象に残ったくだりが以下。もちろん、第8章「投資で成功する方法と、今求められている人材」の中です。
チェックリストは、目まぐるしく変化していくこの時代にうってつけの、意外な利点を提供してくれた。効率性だ。クック氏はミスを減らすためにチェックリストを導入したので、そのために時間や手間がかかってしまうのは仕方がないと思っていた。確かにチェックリストには時間がかかった。
だが驚くべきことに、全体の所要時間は短縮され、より多くの投資先を検討できるようになったのだ。
チェックリスト導入前は、投資先の選定に何週間もかかることもざらだった。見合わせるのか、それとももっと調査してみるのか、何度もミーティングを重ねて議論していた。選定のプロセスに決まった形式はなく、無秩序で、一ヶ月以上検討された投資先にはとりあえず投資してしまうことが多かった。
だが、チェックリストを使うようになってからは、吟味すべき投資先と除外してよい投資先を、3日目のチェックでふるい分けられるようになった。
これは投資会社の事例ですが、「投資先」を「読もうとしている本」に置き換えれば、ほとんどそのまま当てはまります。
買ったものの読むかどうかを迷っているうちに積ん読になってしまっている本の多くについて、「みんなが良いって言ってるし」とか「何となくこの装丁は好きだから」といった「とりあえず」な理由で読み始める、あるいは読まずにおいておくのがこれまででした。
これからは、今回作った「本を読む時のチェックリスト」に通すことで、ほぼ機械的に読むかどうかを決められます。
チェックリストに通した結果リストアップした「学びたいこと」に対して強い興味が持てなければ、その本を読む優先度は下げてもよいと判断できるからです。
強い興味がもてれば、そのまま読み始めればよいですし、読み終えた後にもこの「学びたいこと」リストが文字通り「学び」のガイドとなってくれるでしょう。
ハードカバーで文字ばかりの本なので──最終ページに「チェックリスト作成のためのチェックリスト」という本書で唯一の図表があります──、手っ取り早くグッと来たい方は第8章から読み始めることをおすすめします。
おっと、その前に「本を読む時のチェックリスト」に通しておくこともお忘れなく。
» アナタはなぜチェックリストを使わないのか?【ミスを最大限に減らしベストの決断力を持つ!】
合わせて読みたい:
『アナタはなぜチェックリストを使わないのか?』は、どちらかというと理論編的なおもむきで、具体的なチェックリストはあまり出てきません。
そこで、こちらでもご紹介した以下の本がおすすめです。著者が実際に使っているチェックリストやテンプレートが豊富に紹介されているので参考になります。
関連エントリー:
・「いい」と思った本の内容を確実に身につける方法
・セミナーを受ける前後にやっておきたい3つの習慣
・昨日までのおすすめ記事~「リストを作って、これに沿って何も考えずに手を動かしていくのが最強」ほか
・自分らしい生き方を見つけるためのドリームリストとマイルールのつくりかた
・SH005:仕事を早く終わらせたければ、熟考と実行を分ける
・SH007:心配とプレッシャーをなくすためにリストを作る