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すでに走っている人、今年走りたい人もすぐに駆け出したくなる本『BORN TO RUN』

池田千恵2012年が明けて、はや1週間がたちましたね。

改めまして、あけましておめでとうございます!

新年は早起きなどの新しい習慣を始めよう!と気持ちを新たにできる時期。この勢いで張り切っていけるよう、これからもお役に立てる記事を書くべく精進しますので、どうぞよろしくお願いいたします。

さて、新年最初の本の紹介は、年末年始にかけて読んだこの本です。



発売は2010年2月なので、すでにお読みの方も多いかもしれません。長い間、最寄りの丸善丸の内店に行くたびに目についていた本です。買おうとするものの、立ち読みしたところちょっと読みにくそうだし(翻訳本は、実は登場人物の名前を覚えきれないので少し苦手)、分厚いしと思い、気になりながらもずっと買わずにいました。

年末にFacebookで「この本が気になる」と何気なく書いたところ、「おすすめ本」「走ることへの概念が変わる」とコメントをいただき、それじゃあ、と年末年始のお供に選びました。

感想から言うと、もっと早く読んでおけば良かった!
でも、今読めてよかった!

私は2008年からちょこちょこと走り始めた素人の市民ランナーです。2011年大阪マラソンでは自己ベスト(といっても4時間48分で、めちゃくちゃすごいタイムではないですが)を出せたものの足を痛め、2011年ホノルルマラソンは目標タイムを切れずに落ち込み、実は走ることが楽しいものではなくなりつつありました。でもこの本を読み終わった後は、別にタイムに一喜一憂しないで、楽しんで走ればいいじゃない!と気持ちを切り替えることができました。

この本の著者は、AP通信の従軍記者を経て、現在は Men’s Health のライター兼編集者。そして自身もウルトラマラソンランナーです。

すぐに故障してしまう自分の足に疑問を持ち、故障しないための走り方を調べるうちにたどり着いたのが、伝説の「走る民族」タラウマラ族。この民族の話からはじまり、ランニングシューズの人体への影響の話、タラウマラ族と最強のウルトラランナーとの対決の話と、ストーリーがどんどん展開していきます。登場人物が皆魅力的で、ページをめくるたびに思いもよらない展開が待ち受けており、414ページもあるにもかかわらず、一気に読み終えました。

ただの科学系ノウハウ本でもなく、かつ物語だけでもない。不思議な読後感。「故障しないため」にどうやって走れば良いか、というだけの本ではなく、ぐっとくる名言もたくさんで、たくさんノートにメモしました。

そこから少しピックアップします。

「おまえの心にはふたりの女神がいる」(中略)「知恵の女神と富の女神だ。みんな、先に富を手に入れれば、知恵もついてくると考える。それで金儲けに血眼になる。しかし、それではあべこべだ。知恵の女神に心をささげ、愛し、気持ちを向ければ、富の女神が嫉妬して、おまえを追いかけてくる」言い換えると、ランニングに何も求めなければ、思ってもみなかったものが得られるということだ。(p.134)

まさに極度の疲労と苦痛を超えたところで、自分にあるとは夢にも思わなかった安らぎと力がふんだんに見つかるのかもしれない。障害を突き抜けないかぎり、強さの源が活かされることはない。(p.158)

強いランナーになるには、まず強い人間にならなくてはならない。(p.167)

「六十四歳が十九歳と互角に渡り合う競技をほかに挙げてみてください。水泳? ボクシング? 接戦にもならない。われわれ人間にはじつに不思議なところがあります。持久走が得意なばかりか、きわめて長期間にわたって得意でいられる。われわれは走るために作られた機械ーそして、その機械は疲れを知らないのです」(p.345)

他人のことを考えれば、自分という枠を簡単に脱却できる。(p.362)

がんばっているなと思ったら、がんばりすぎている。(p.377)


個人的な経験を少し話します。2011年10月末の大阪マラソンの後、ふくらはぎに違和感があってなかなか治らないので、変だなーと病院に行ったところ、ホノルルマラソンまで安静にするように言われてしまいました。ホノルルマラソンが毎年自分の1年の総決算のつもりで走っていたのに、まる1ヶ月全く練習ができなかったのです。

診断は単なる筋肉痛だったのですが、病院で言われた一言がショックでした。

  • もう足を痛めたら、すぐ治る年齢じゃない
  • ホノルルマラソンも本当は出ないほうがいい。どうしても、というなら止めないけど、また同じ怪我を繰り返す可能性があるから覚悟しておいたほうがいい


その診断が悔しくて、くそー、絶対そんなことはない、みてろー!と思って頑張りましたが、足が思うように動かず残念な結果に。悔しくて悔しくて、実は走りながら泣いていました。ゴールの後も悔し泣きしました。

この本を読んであらためて振り返ると、2010年のホノルルマラソンの時は、ただ走っているだけで楽しくて嬉しくて幸せで、タイムなんて気にしなくても体が軽くて、気付いたらベストタイムで走ってました。この楽しさ、2011年の大阪やホノルルでは忘れてたなぁ。走る楽しさ、嬉しさ、爽快さ。この本で思い出せて良かったです。

今走っている人はもちろんのこと、マラソンなんてやる人の気が知れない、と思っている人でも、この本を読んだらちょっと走ってみたくなると思いますよ。

おすすめです!


▼池田千恵:
前向き早起きエバンジェリスト。朝を有効活用してビジネスの基礎体力をつける「Before 9(ビフォア・ナイン) プロジェクト」主宰。