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記録とふり返りを続けるほどに未来が明るく照らされる

sensorlight

大橋悦夫今年から使い始めたセンサーライトが便利です。

その名のとおり、センサー内蔵のライト。一定の暗さになったときに、人の動きを感知すると点灯します。しばらくすると自動的に消灯します。
点ける手間が不要ですし、消し忘れる心配もありません。

冒頭の写真は部屋のドアを開けたところで、点灯している様子です。帰宅して部屋に入るなり足もとが照らされるわけです。

そんな、健気に働くライトを見ていたら、頭の中でも“ライト”が点灯しました。

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「欲しい」は常に後出し

これまでにも何度か読み返している『ライト、ついてますか』という本に以下のようなフレーズがあります(まさに、ライトつながりで思い出しました)。

問題とは、望まれた事柄と認識された事柄の間の相違である。


今回、センサーライトというものを知るまで、その必要性に気づいていませんでした。
それが、知って、使ってみたら、便利。

ここでの「問題」は、「暗くなって、人の動きを感知したら自動的にライトが点灯して欲しい」という望まれた事柄と、「暗くなったら、自分でライトを点けないといけない」という認識された事柄の間に横たわるギャップです。

このギャップを埋めてくれるのがセンサーライトなのですが、この「解決策」を知るまで、上記の「問題」が僕には見えていませんでした。

「暗くなったら、自分でライトを点けないといけない」のは当たり前のことであり、「これはどうにかしないといけない」という気持ちは起こらなかったのです。

つまり、

「人々は、くれといったものを出してやるまでは何がほしかったか知らぬものである」「あとから調べてみれば、本当に問題を解いてほしかった人はそんなにいないものだ」

というわけです。

ここで、気になるのはセンサーライトのようなものをいかにして世の中に送り出すのか、という送り手の着想です。

「くれ」という注文のないところで「これを出せば、おそらく『くれ』と言う人が現れるのではないか?」という見込みをもって見切り発車することが常に求められる。

そういうものだと言われればそうなのかもしれませんが、送り手としてはもう少し確信に近いものが欲しいものです。

あるいは、確度の高い見込みを得る方法です。
問題発見能力、といってもいいかもしれません。

世の中の“ギャップ”を感知して、頭の中でパッと“ライト”が点灯するようなセンサーです。

カギは「驚く力」

次に思い出したのは『驚く力』という本です。

世界はもともと、常に変化と驚きに満ちている。そこからどれだけ美しさ、豊かさ、意味、価値……といったものを引き出していけるかは、僕や、あなたの「驚く力」にかかっている。「驚く力」を豊かに持つ人は、日常のあらゆることを学びに変え、人生を自力で豊かにしていけるんです。


このあとに、何年も経理の仕事をしている人が「いつもと同じような伝票処理」をするときの例が挙げられています。

「へー、この商品は金曜日の夜に良く売れるんだな」「いつもはお昼過ぎが忙しいのに、今日はどうして暇なんだろう?」といったちょっとした「いつもと違う」に驚くことができれば、それを足掛かりに、僕らはいくらでも豊かに学び、成長していくことが可能です。

「いつもと同じ」ように見えることに「違い」を見つけようとする姿勢。

これが「驚く力」を発動させる条件であり、「驚く力」そのものということになるでしょう。

大人になるほどに「驚く力」は失われていく

ところが、大人になる、すなわち学んだり成長するほどに、その推進力であるはずの「驚く力」が失われていく、といいます。

仕事でもプライベートでも、何かに「驚く」のは若さや、物を知らない証拠と考えられがちです。

しかし、子供が驚きと発見の毎日を過ごす中で急速に成長する姿に目を向ければ、僕らは驚かなくなったことによって、学び、成長していく力を失っているのではないかと考えざるを得ないんです。


では、どうすればいいか?

この本の送り手である著者の視点に立ってみると『驚く力』という「解決策」と対をなす「問題」はいかにして見いだされたのか、その原点に注意が向かいます。

そのヒントはここに至るまでにすでに登場しています。

キーワードは「子供」です。

「子供」の視点でとらえなおす

必ずしも「子供」でなくてもいいのですが、とにかく“大人”が「そういうものだ」と認識してそれ以上は意に介さないことについて、いちいち「どうしてそうなってるの?」という驚く姿勢をもって臨むことが出発点になります。

つまり、「驚く」とは「問いつめる」と同義であり、だからこそ「問」題があぶり出されるわけです。

では、具体的にはどうすればいいのか。

それは、普段とは異なる視点で対象をとらえること。

たとえば、『ライト、ついてますか』には次のような解説があります。

キミの問題定義を外国人や盲人や子供について試してみよう。またキミ自身が外国人や盲人や子供になってみよう。

自分が毎日扱っているものを、何か一つ取り上げてみよう。靴でもいい、シャツでもいい、フォークでもいい。車のドアでも、歯ブラシでも、そのほか何千とあるさまざまなもののどの一つでもいいのだ。

そして、それをまだ一度も見たことのない外国人の視点に立って「見よう」としてみる。

次に目(または場合に応じて耳または鼻を)をきつくつぶって、それを使おうとしてみる。自分の背の高さがいまの4分の1であるとして、そのものをはじめて扱ったらどんな具合かやってみる。

また自分には字が読めないとしたらどうか。
手がうまく動かせないとしたらどうか。

それを本についてやってみよう。中味なんか考えなくていい。機械的な設計だけで十分である。本を読んでいるとき不便だったこと(そしてそのときは単に受け入れてしまったこと)を、最低10項目思いつくまで、視点を変えて行ってみよう。


僕自身がふだんから何気なく実践していることとして、写真を撮るときに、あえて自分の腰くらいの高さで撮る、というものがあります。

ちょうど子供の視点で世界が切り取られるため、ふだんと少し違って見えるのです。

違って見えれば、当然の帰結として「驚く」ことになります。

このときの「驚く」は、個人的には「いいな」と思える感情です。少し低いポジションで撮った写真に対して「いいな」と感じることが多いのですが、よくよく考えてみるとこのような世界の切り取り方は子供の頃のそれです。

「驚く力」が豊かであった頃の世界の見え方なのです。

そういうことか! と独り合点しました。

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送り手に必要なのは「驚く」センサーを磨き続けること

写真はもっとも分かりやすいですが、文章であっても同様です。

自分で書いた文章を時間をおいて読み返すことで、おいた時間の長さの分だけ「驚く」余地が広がりますので、そこに「問題」を見いだせる可能性が高まります。

記録にとってふり返る、写真に撮ってふり返る。

それが驚きの種になり、やがて発見として花開くわけです。

花を見て「あぁ、この花ね、はいはい知ってる知ってる」と受け流すのではなく、

  • この花はどのようにして開いたのだろうか?
  • 自分でも同じような花を開かせるにはどうすればいいのだろうか?

といった「驚く力」というライトで照らすことができるようになると、未来がより明るく開けてくるのではないかと思います。

 

参考文献:

» ライト、ついてますか―問題発見の人間学


» 驚く力―さえない毎日から抜け出す64のヒント


» アイリスオーヤマ プラグ式LEDセンサーライト PSL-1A


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