まぁ、関係性のわかりづらさみたいなものも作戦のうちであるといえばあるんですけどね。なにかピッと、お客さんの中でつながる瞬間がくればいいというか。
僕はよく電車とか乗ると、横で話している人の会話を盗み聞きしたりするんです。で、その話している人たちの背景なんてなんにも知らないにもかかわらず、聞いていておっかしくてしょうがない時があるんですよ。
だから大事なのは環境を説明するとかそんなことじゃない。「おもしろさ」の要素は“環境”より“関係”の方が先にあるんだと。環境なんてものは後から説明するんで十分だなと思いまして。それからそういう作品の作り方に変わりましたね。
─小林賢太郎(ラーメンズ)
冒頭で状況説明がなされる映画はたいていつまらない。映画なのだから言葉ではなく映像で何かを伝えればいいのに、とそういう映画を観たときには心の中でつぶやく。
人はあまり説明されるのが好きではない。もっと言えば、一方的に説明されることを嫌う。まず、説明が必要な状況を作る必要がある。そうしてからの方がしみ込みが早く、そして深くなる。