セミナーを受講したりコンサルを受けることにお金を使うときは「自己否定にお金を払う」と心得る。現状を変えるということは現状の何かを否定されることになる。この覚悟がないと「勉強」に終わり「行動」力は出なくなる。気持ちいい場所だけでは成長はありません。
— 浅野ヨシオさん (@asanoyoshio) 4月 22, 2012
「わかること」とそれを「実行に移すこと」とは大きく違います。
多くの人はその意に反して「わかること」までで歩みを止めてしまいます。「わかった」だけで「実行に移した」と錯覚してしまうからです。
「わかった」は「含み益」に過ぎない
「わかった」という状態は「含み益」のようなもので、実行という「利益確定」なしには自分のものになりません。
もしかすると、この先もっとすごい「わかった」があるかもしれない、という期待があるために、ここで行動を起こしてしまうことで、それが失われることをおそれているのかもしれません。
もちろんその逆もありえます。その「わかった」がピークで、以降はその価値がどんどん下がっていき、慌てて「利益確定」に走っても手遅れで、むしろ損を出してしまう。
厳密に考えると無理のある比喩であることは承知しています。
ここで伝えたいことは、必要以上に「期待」をホールドし続けないほうが良い、ということです。
この考えの発端は、冒頭で引いた@asanoyoshioさんのツイートと、過去記事サーフィンでたまたま目にとまった以下の引用です。
やるべきことがわかっているのに行動を起こさないのは、今の状態が心地良いからなんです。
痛みを感じたくないという感情が、心地良い状態の中に、あなたをとどめてしまうのです。心地良い状態の中で気をまぎらわそうとするのです。
心地良い状態というのは、痛みを殺します。
そうすると、何が起こりますか?モチベーションは上がりません。行動できません。
おいしいもの食べたいな、飲みに行きたいな…など、心地良い状態はモチベーションを殺します。
結論としては、もはや言い尽くされている感のある「実践しないと意味が無い」ということなのですが、このこと自体が「わかったつもり」なのではないか、とつくづく思います。
「まぁ、そうだよね」ということで、自分の持っている知識と照らし合わせ、そこに大きな相違がないことを確認し、安心する。
本を読むことは大切ですが、結果として安心を得るために読んでいるとしたら、それは気をつけたほうが良いでしょう。
こちらで以下のように書きましたが、
» 【グッ:006】 事実と感情を分けて書けば、次にすべきことが見えてくる
僕自身は、週に一度その一週間の日誌と日記を読み返しています。そこから次に起こすべき行動や従うべき方針が出てくるからです。
それらは当たり前ですが自分の体験に即したものばかりですので、振り回される、ということがありません。
一方で独りよがりに陥る危険性もあります。そこで役に立つのが読書です。
「日誌と日記」を読み返すことで、自分の行動と感情を客観的に振り返りつつ、読書を通じて自分以外の人の考えに触れる。読書は、著者の「日誌と日記」の一部を垣間見ることだととらえることができます。
そこに自分とは違う“回路”が見つかれば、知らず知らずのうちに堂々巡りに陥っていた「セルフ振り返りループ」から抜け出すことができます。
独りよがりであれ、まずは自分で作った“回路”を持っておくこと。その上で、読書を通して他の人の“回路”に触れる。
そうすることで、書き手の磁場に完全に取り込まれることなく自分の“回路”をアップデートすることができます。
その意味では、自分とは相容れない意見を持つ著者の本こそ、読むに値するといえるでしょう。
合わせて読みたい:
今回引用した本です。本書の紹介記事では以下のように紹介しています。
本書は人によっては、「パッと見が怪しい」と感じられるかもしれません。でも、怪しくない、すなわち自分にとって抵抗の少ない、読んでいて心地良い本ばかりを選んで読んできたのなら、ここであえて「居心地の悪い」本を読んでみることは変化や成長のきっかけをつかむ上で役に立つはずです。
自分にとって気持ちのいい本、好ましく思える本、シンパシーを感じている著者の本ばかりでなく、嫌悪感までいかずとも違和感を覚える程度の本をあえて読んでみると、知らず知らずのうちにホールドし続けていた「含み益」をものにできるかもしれません。
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