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『人を動かす』という名著があります。
このブログでも繰り返し取り上げている、仕事を楽しくしたい人のための必読の一冊です。
すでに愛読書としている方も少なくないと思いますが、そんな方にも是非おすすめしたいのが今回ご紹介する一冊。
「じんとうじゅつおうぎ」と読みます。
「蕩」とは「とろけさす」とか「たらし込む」という意味で、要するに「人たらし」の技術、ということになります。
「人たらし」というと、なんだか「うさんくさい」イメージを持つかもしれませんが、著者は臨済宗の禅僧です(調べていたら残念ながら昨年2011年に他界されていました…ご冥福をお祈りいたします)。
極めて真摯に、どうしたら人から好かれるか、すなわち魅力を高められるかについて論じています。
魅力は人々に誤解されている
著者はそもそもこの魅力というものが誤解されているものだと説きます。
魅力は「~力」と書きますが、知力や腕力とは同列には語れない、一種独特な神秘性を備えています。たとえば、誰かの魅力的な言動をそのまま真似ても、それをもって自分の魅力とすることは難しいもの。
ある人の魅力ある個性も、それをまねしようとすると、いわゆる付け焼き刃となってしまい、滑稽な振る舞いのように他人の目に映ってしまうこともあります。(p.11)
では、どうすれば良いか?
与えればよい
その極意を一言で言えば、
魅は
与によって生じ
求によって滅す
(みは、よによってしょうじ、ぐによってめっす)
ということになります。
では、いかに与えるか。
それを知るには、人間の持つ5つの本能的欲求に対する理解が欠かせません。その5つとは、
- 生存本能
- 群居衝動
- 自己重要感
- 性欲衝動
- 好奇心
しかも、自分らしく与える
魅力ある人は、身の回りの人に生じるこれらの5つの欲求をその人らしい形で充足させることができる人です。
「その人らしい形で」というところが重要です。
「らしくない形」はすぐに見抜かれるからです。
本書では、これら5つの欲求ごとに、なぜ人間がこうした欲求を持つのか、なぜそれを満たしてくれた相手に魅力を感じてしまうのかについて、詳しく解説されています。
個人的には、なぜ役所員や教習所の教員は態度が横柄なのか? とか、なぜナンバーワンホステスがその店で一番美しい女性であるとは限らないのか? といった俗な事例が非常にわかりやすく、グッと来ました。
何よりこの本が魅力的
本書は実に魅力的な一冊です。
われわれ読者の持っている本能的欲求に、わずか218ページで答えてくれるからです。
魅力的な人になるためのバイブルといえるでしょう。
初版は1986年ですでに絶版ですが、何とか入手して繰り返し読んでいただきたい。
間違いなく愛読書になるはずです。
合わせて読みたい:
冒頭でご紹介した『人を動かす』についてはこれまでにも繰り返し取り上げていますので、リンクを載せておきます。
この本は実に豊富な事例を引きながら、いかに巧みに人を動かすかについて解説しています。おそらく理論だけなら3分の1くらいの厚さで済むのではないか、というくらいの事例づくな本で著者(デール・カーネギー)の「これでもかっ!」という声が聞こえてきそうな勢いです。
(中略)
こんなとき、『人を動かす』では相手に「思いつかせる」のが良いと主張しています。以下は、織物製造業者に意匠を供給するスタジオに下絵を売り込む仕事をしているユージン・ウェッソンという人の事例です。
さらに、相手に関心を持っていることを端的に表す行動として、「学ぶべき点」の指摘があります。「あなたのこういう部分は私にとって新しい」というメッセージは、相手に重要感を持たせるものです。
この「重要感を持たせる」ことは、デール・カーネギーの『人を動かす』に登場する人を動かす三原則の1つです。
・2010年の仕事始めまでに仕込んでおきたい10冊(2人前)
──人間関係を円滑にしたい人に
『人を動かす』を一言で言うなら「相手の立場に立って考えなさい」。もう見飽きたような装丁の本に、聞き飽きたような教訓。それでも、読めば面白い。聞き飽きたような箴言は、こういう面白さの中で繰り返し読み込みたい。
名著『人を動かす』を読んだことのある方ならご存じだと思いますが、人を動かすための要諦を一言でいえば、「みずから動きたくなる気持ちを起こさせること」。
では、どうすれば「みずから動きたくなる気持ちを起こさせること」ができるのか?
▼軽くて持ち運びに便利な文庫サイズが個人的にはオススメです(『道は開ける』『カーネギー名言集』と3冊セットです)。
▼単行本