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仕事のスピードを上げるうえでは、「速さ」よりも「早さ」が大切だと考えています。
シゴタノ! SH005:仕事を早く終わらせたければ、熟考と実行を分ける
「あぁ~やらなくちゃ~」と思っていても、なかなか取りかかれないとしたら、それは「スピード」の問題ではなく「スタート」の問題ということになります。
つまり、スピードを速める方法ではなく、スタートを早める方法が、スピードアップにつながるのです。
つまり、スピードを削いでしまう原因となる行動を減らしていけば良いわけです。
たとえば、本来やるべき仕事をさしおいて、今やらなくても良い仕事をガシガシ進めてしまうような行動を減らすこと。
楽しい収穫、地道な種まき
僕の場合は、Excelマクロ(プログラム)をいじることはその1つです。やればやっただけ結果が出るので、つい面白くてどんどんやってしまうのです。
代わりに、結果がすぐ出ない仕事でもガマンして取り組むと、時間差で効いてきます。
畑で言えば、成果が目に見える収穫は楽しいですが、地味な種まきはさほど楽しくはない、ことに似ているかもしれません。種まきをしないと早晩枯渇するからです。
とはいえ、ストイックでは続かない
「やらないことを決める」ことの大切さが語られることがありますが、「今日は種まきしかしない!」という強い決意は続かないことが多いです。
地味すぎるからです。
少しでも収穫につながるような、言い換えれば、やればやっただけの具体的な成果が得られるような仕事もブレンドしておくことで、無理なく飽きずに“完食”できる一日が作れるのではないかと思っていますし、実際に僕自身、そうしています。
一日の段取りを決める際に「この仕事はやらない」とゼロかイチかにするのではなく、作業手順や段取りを考えたりチェックリストを作ったり、というライトなレベルの「やる」を盛り込むのです。
こうした“仕込み”があれば、翌日以降にこの仕事を進める時の大きな助けになります。少ないパワーで多くの進捗を稼ぐことができるでしょう。
仕込みのコツは2等分法
仕込みとは言い換えれば、大きな仕事を小さな作業に小分けにしていくことです。
『仕事をためこまない人になる5つの習慣』という本に「2等分法」という方法が紹介されています。
「どうやって小分けにしていいかわからない」という人には、参考になるはずです。
先ほどの「プレゼン準備」を例にとって「2等分法」をやってみます。
まず「プレゼン準備」を2つに分けます。何となく半分、というところで大丈夫。とりあえず「資料作成と「実演準備」とに分けます。
このいずれもまだ「心理的抵抗なく取りかかる」には大きいと思いますので、「資料作成」をさらに2等分してみましょう。
「資料作成」を「材料集め」と「材料整理」とに分けます。
このあたりで具体的行動を起こしてもいいでしょうが、ここでは「材料集め」をさらに2等分します。たとえば「インターネットで情報収集」と「雑誌・書籍からの情報収集」とに分けます。
ここまでくればほとんど誰でも、「インターネットで情報収集」を行動に移すことは可能なはずです。
本書ではツリーマップを書きながら行う方法が図解入りで紹介されていましたが、とにかくこのようにして、「もうあとは行動に移すだけ」というところまで仕込みきってしまえば、明日はとてもラクになります。
まとめ
一日の仕事を組み立てる時に、
- やる(白)か、やらない(黒)か、ではなく、
- やる(白)か、本格的にはやらない(グレー)か、
という配分を意識すること。
「本格的にはやらない」とは、“仕込み”でとどめておく、ということです。
参考文献
本書で紹介されている「メンタルモデル」という概念は、さまざまなタスク管理ツールやアイデア整理ツールを活用するうえで、とても役に立ちます。どんなに優れたツールを手に入れても、これに対応するメンタルモデルが自分の中にないと、その真価を引き出しきれないのです。
あとで紹介する『クラウド時代のタスク管理の技術』の入門編的な位置づけとしておすすめです。
連載で詳しく解説しているToodledoを始めとする各種ウェブサービスやアプリを活用したタスク管理を行う方法が解説されています。
最初に読む本としては若干ハードルが高いような気がするのですが、この本の通りに実践できれば、仕事の「やり残し」や「先送り」が今まで以上に明確になります。
「減る」のではなく「明確になる」というところがポイント。見えないものは減らせないのです。まず、“敵”を見える化する。そうして初めて、それを攻略するための方法が見えてきます。