これができるから今私はTaskChute2を使っていると言えます。これがなければ私はToodledoですませてしまうでしょう。
「時間帯」というのは「コンテクスト」です。どんな行動でも、必ずどこかの時間帯において実行されます。特に予定を入れる場合、
- 予定を入れる時間帯には空きがあるか?
- その時間帯にやることにしておいた重要なタスクは他の時間帯でもやれるか?
といったことを知らなければなりません。これを知らずに予定を入れてしまうのは怖いことですが、断り切れない予定の場合には、その怖いことでも「思い切ってする」ということになってしまうでしょう。
また、仕事にはどうしても忙しさの波のようなものがあって、集中的に急に忙しくなるような時期があります。こうした場合にも、ある特定の日がヒマかどうかだけではなく、特定の日のどこら辺なら時間が取れそうかを、視覚的に把握できた方が圧倒的に安心できます。
これがTaskChute2に新しく導入された「週次見積もり」のシートです。数字は来週の私の実際です。パッと目につくのは赤字ですが、中でも大きな問題があるのは「2/3(金)」のセクションBです。ここは2時間が上限なのに5時間近い見積もりになってしまっています。
こういうのは「気合い」とか「工夫」では絶対に対処しきれないものです。こうしてみるとわかりきったことなのです。ですが私達はこれを見ずにいるとき、「それは金曜の朝にやればいい」と考えてしまうのです。アタマではそのような具体的な時間帯に、具体的にどれほどのことをしなければならないかを、決して知覚できないからです。
こういう事態に対処するために、セクションE(14:00-16:00)やセクションF(16:00-18:00)をわざとすかすかにしてあるわけですが、セクションBからただ移してくればいいというものではないのです。朝にやろうと思っていたことを、午後にも当然のようにやれるかどうかは明らかではないからです。
それに、金曜のセクションBには、そこで終わらせる必要のあるタスクも含まれています。また「朝食」のようなアクションを黙って午後2時に移すというわけにもいきません。タスクにはこのように
- そもそもセクションの移動が無理なもの
- セクション間の移動は可能だが、効率が落ちるもの
- 他のセクションに移した方がいいもの
とがあります。この判断は自分で行うしかないですし、「移動先の状況はどうか?」が分からなければ実行不可能です。週次見積もりシートはこういうことを行う上で欠かせない情報源です。
当然よく尋ねられることとして次のようなカレンダーではなぜいけないのか?ということがあります。
いけなくはないですし、こちらの方が好みに合ってるならそれでいいと思います。私がカレンダーでやらない理由はいくつもありますが、主要なものに絞るなら
- 視覚的にはむしろよく分からなくなる
- 全てのタスクの「開始時刻」が決まっていることになるがそうではない
- 慣れるとTaschuteのほうが項目の出し入れがはるかに簡単
- 「終了予定時刻」は結局不明
などになります。
もともとカレンダーの予定は「開始時刻と終了時刻」というデータを絶対的に持つもので構成されているため、「時間量だけを見積もりたい」というユーザーには向いていないのです。ご覧の通り細かくつけると「時間量」なのに「重なって表示される」というおかしなことが発生します。
これは表記を大きくしていけば解消される問題ですが、そうすると結局TaskChuteそっくりのものになるはずです。その上それほど細かくした場合には「開始時刻」というのはよけいな情報になります。
また「カレンダー」はマップのようなものなので、「終了予定時刻」などという概念は最初からあり得ません。全部埋めてしまえばだいたいのところを見積もることができますが、何かを削除しても「その時間以後」が前にずれてはくれませんし、何かを挿入しても「その時間以後」が後ろにずれてもくれません。これは「開始時刻」をデータとして持っているのだから当然です。
というわけでタスクの中に予定がいくつか混在する程度の私には、全部を「予定化」してしまってカレンダーで管理するのは不都合が多いのです。逆に言えば、タスクの大半は予定であるという人にはカレンダーの管理でよいかもしれません。
» Taskuma — TaskChute for iPhone
Follow @nokiba
なぜ意志の力はあてにならないのか―自己コントロールの文化史 | |
ダニエル・アクスト 吉田 利子
エヌティティ出版 2011-08-09 |
書籍紹介というよりも私の「事典」紹介といった趣の本ですが、本書に豊富に収められている事例こそTaskChuteで迎え撃つべき類のものです。
ライフハックというのはどうしても「即効性」に注目されがちです。もちろんそうしたライフハックもライフハックですが、「遅効性」のライフハックも同様に大事なのです。
論語や「オヤジの小言」は一定間隔で人気が復活するものですが、その通りにできるのであればだいたい「ライフハック」など不要になります。手間を惜しまず、やるべきでないことをやらなければ、人生だいたいのところはうまく回るものです。歯磨き1つとってもそうです。
食後のにすぐ1日4度以上時間をかけて丁寧に歯を磨けばいいと思っていても、私達はわずかな手間を省き、訳知り顔でよく分からない「ショートカット」を喜びます。そうしていい大人が歯医者に行きたくないといって泣き言を漏らすのです。
そこで食後すぐに歯を磨かざるを得ないような工夫をしてみる。それがうまくいったら「ライフハック」です。そうしても歯がたいしてきれいにならないとか、小手先のテクニックだという批判はあたらないのです。「遅効性のライフハック」は180日くらいのスパンでようやく効果を見せるもので、前日と実行日の比較をしてみたところで何ほどの効果が見えなくて当前です。