TaskChute2は向こう一週間の時間帯ごと(セクション)の「空き状況」を見える化できます。ホテルの予約状況などに似たイメージを持っていただければ良いでしょう。
ただし正確な空き状況を知るためには、向こう一週間にやることを全部書き出しておくことと、それらのタスクにかかるであろう見積もり時間を入力しておく必要があります。
TaskChute2ではそれらを省入力できるような様々な工夫がありますが、それでも最初はちょっと大変です。とても無理と言うほどではないにせよ、楽にできるとは言えません。
そんなことをするからには、それなりのメリットもあるわけです。
先送り先が封じられているから工夫をする気が起こる
最大のメリットは翌日から一週間先までの全セクションが「埋まっている」と仕事を先送りできなくなります。この「先送りできなくなる」という認識こそが非常に大事なのです。
セクションというのは例えば「3日後の午前10時から12時までの2時間(仮にセクションDとしましょう)」です。その時間を使ってやること、やることにかかるタスクごとの時間の総和が2時間に達していれば、それ以上のことはできないはずです。
つまり、例えば今「経費精算のタスク」をしなければならず、そしてしたくないとしても、3日後のセクションDに仕事は送れない。同様に、どの日のどのセクションを見ても「びっちり埋まっている」のであれば、どこにも仕事は先送りできない。つまり今やる以外にはないのです。
人は、こういう事態を知覚して初めて、ライフハックを試みたり仕事を先に進めようとするものなのです。こういう事態を知覚しない限り「明日やれば良いだろう」と簡単に思うものです。決して「5分だけ手がけよう」とか「何とか分解できないか」などとは考えもしません。
もっとも自分にとって甘美な手段(=先送り)が封じられているからライフハックするのであって、ライフハックがあれば先送りしなくても済むとはならないのです。ライフハックすることは苦痛に正面から挑むよりは甘美かもしれませんが、仕事をしないことに比べれば全然甘美でも何でもないからです。
「びっちり埋まっているのである」と自分に認識させる
ただ、この状態を達成するには、いくつか破ってはならないルールがあります。中でも最も大切なのは「過剰に多くの時間を見積もっておかない」ことです。
先ほどの「3日後のセクションD」にしても、タスクごとに割り当てられた時間が「少し多め」になっていると、そのことを敏感に察知した疲れているあなたは
「3日後のセクションDにあるメールチェック25分は多めだから、ここでついでに経費精算すれば大丈夫だろう」
と思ってしまいます。そして3日後のセクションDに経費精算を先送りするでしょう。人とはそうした能力がとても発達しているのです。
「あまり細かくやるのは神経質だから、最初は少し大ざっぱに見積もるとよい」というようなアドバイスが、TaskChuteについて安易になされているのを聞くに付け、少し私の指先の温度が低下します。「神経質だから」というようなあいまいな理由によって「大ざっぱにする」。それで失うメリットは小さくはないのです。
ほぼ同じ理由で、TaskChute2には「やることだけを全部」入れるようにしなければなりません。「いつかやりたいこと」や「やっておいた方が良いこと」を安易に入れてしまうと「3日後のセクションDにあるこの「好みの女性に書くメールの練習をする」はいますることじゃないからこのときに経費精算をしよう」となるからです。
ここまでハッキリ認識できているならまだ良いのですが、通常は次のようになるのです。
「どうせこの先にあるタスクのうちのいくつかは喫緊のことではなかったはずだから、経費精算は3日後にやろう」
先の日々が封じられているという認識は、それが真実であって初めて効力を持つのです。
あきらめずにやりぬく人に変わる方法 | |
佐々木 正悟
中経出版 2012-12-27 |
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▼こちらのシリーズです
先送りせずにすぐやる人に変わる方法 (中経の文庫) | |
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