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悪用禁止のグラフ作成本『グラフで9割だまされる』



池田千恵グラフは、データをまとめて分かりやすく伝える上で最も身近な図です。数字の羅列をグラフに変えるだけで、たちまち割合や量、変化を一瞬で判断できるようになるため、会議資料やプレゼン資料で使われる頻度は多いことでしょう。

最近はソフトウェアの普及により、誰でも数字さえ打ち込めば簡単に格好良いグラフを作ることが可能になりました。しかし、手軽なだけに、見た目の格好良さやその時の気分でなんとなく作成していませんか?

なんとなく「このグラフでいいのかな?」とモヤモヤ思いながらも、「まあいいか」と使っている方も多いのではないでしょうか。

そんな方にオススメなのが、『グラフで9割だまされる-情報リテラシーを鍛える84のプレゼン-』。グラフ作りに迷う方に向け、用途を具体例とともに紹介している本です。



ただし、これは悪用禁止、とお伝えしておきましょう。「人を欺くためのグラフの使い方」を皮肉たっぷりに書いているものだからです。

例えば、使う必要のないところであえて立体グラフを使ったり、棒グラフで良いところにわざとイラストイメージ図を使ったりして、パッと見で数字の差が分からないようにするテクニックといったものです。

著者のニコラス・ストレンジ氏はフリーの経営コンサルタントで、マッキンゼーなどでキャリアを積んだグラフィックスのプロ。

カバーにはこんな文章が。

本書の目的は、人をだます図表づくりの技を伝授することだ。どうせやるなら、データをはぐらかしたりねじまげたりする方法を巧妙にブレンドし、うまく人を操りたい。


物事は全て表裏一体。資料にグラフが入っていると分かりやすい、パッと目に入りやすいというメリットがあります。

しかしそこには、ちょっと見ただけでなんとなくわかった気になってしまう、というリスクも内包しているということです。リスクを逆手に取り「混乱させるため」に図を使うことも出来てしまうわけです。

この本を読んだ限りにおいては、「図表で人をだます」というメッセージは著者独特のひねくれた表現で、実際は「図表作成リテラシーを磨いて、適切な図を使う人になってほしい」という意味だと私は受け取っていますが、裏をかいた表現に好き嫌いは分かれるとは思います。

それでも、好き嫌いを置いておいても、グラフの用途別の使い方がはっきり良く分からずに、いつもなんとなく作っている方には役立つ内容です。

  • 「こんな時にこんな図は使ってはいけない」という反面教師的な読み方
  • 「こんな時には、このグラフを使う」という参考書的な使い方

の2種類の読み方ができる貴重な本。

アマゾンでは評価が分かれ、在庫もない状態ですが、個人的には隠れた名著だと思っています。もし手に入ったらぜひ読み込んで頂きたい本です。

この本を読んだ後様々なグラフ付き資料を読むと、「ははーん、このテクニックにはだまされないぞ」と、ちょっと角度を変えた作り手の意図も見えるようになります。そういう意味でも面白いですよ。


▼編集後記:
池田千恵



このところやけに、「ひとり時間」というキーワードが目に付くようになりました。最初は、自分が『「ひとり時間」で、すべてがうまく回りだす!』という本を出したから、自分だけが気になっている、ただの自意識過剰かと思っていたのですが、どうもそうではないような気がしています。

  • 劇団ひとりさんが、読売新聞で拙著の紹介をしてくださったのに始まり
  • たまたま見つけたフリーペーパー「FILT」の特集が「ひとり時間」で、巻頭インタビューで瑛太さんが「ひとり時間は自分と向き合う時間」という感じのことを語っていたり
  • 日経ウーマンオンラインにて『仕事も恋愛も、「ひとり力」を育むなら』というテーマで読書特集が組まれていたり
  • 某化粧品メーカーの新商品のコンセプトのひとつが「ひとり時間」だったり(まだはっきりとは確認できていないのですが、ネットで見つけました)

これをきっかけに拙著もさらに盛り上がりますように!


▼池田千恵:
前向き早起きエバンジェリスト。朝を有効活用してビジネスの基礎体力をつける「Before 9(ビフォア・ナイン) プロジェクト」主宰。