できるかできないかを考える必要はありません。新しいことに取り組むときは、できるかできないかを考えるのではなく、やるかやらないかをあらかじめ決めておけばいいのです。
(中略)
そして「やる」と決めたら、次はどうしたらできるかだけを考える。今できることを見つけ出し、それがどんなにささいなことであったとしても、そこから道を切り開いていくことが大切です。(p.113)
今回ご紹介する『仕事が夢と感動であふれる5つの物語』は、前作『どんな仕事も楽しくなる3つの物語』と同じく、ビジネスパーソンの涙腺を刺激する一冊。
物語の形式をとっているために、肩肘張らずに読み進めることができます。おのずと自分の仕事に重ね合わせながら読むことになるため、「自分だったらこうするのに」とか「さすがにここまではできないな」といった感情の抑揚が読み心地を高めます。
具体的に何をすればいいのかが明確に示されているわけではないのに、読み終えると不思議とやる気がわいてきて、向かうべき方向に一歩を踏みださんとする自分に気づきます。
さらに、綴じ込みのCDには前作『どんな仕事も楽しくなる3つの物語』の出版記念講演会(2008年4月開催)での著者の講演が収録されています。本書を読むのと合わせて聴くことで、著者の想いやバックグラウンドが浮かび上がってきて、より深く味わうことができます。30分ほどの講演ですが、徐々にテンションが上がってきて、最後は大いに盛り上がります。僕自身も移動中の電車の中で聴いていたのですが、心を揺さぶられるものがありました。
「理」と「情」
「仕事とは何か?」
この問いに本書ほど明確かつ真摯に答えている本はないでしょう。
仕事においては、「理」の正しさと同時に「情」の明るさが求められます。論理的に正しくあったとしても、それによって人が傷つくような仕事のやり方では、その場は良くても、その後の先行きを照らすはずの「情」は光を失い、やがて行き詰まるでしょう。
かといって、「情」だけで乗り切るのでは「理」が通らない。
このバランスをいかに取るかという課題に真っ向から挑んでいるのが本書であり、とりもなおさず著者の生き方です。
著者は、日本中を駆け巡り「理」と「情」の狭間で悩む起業家たちを鼓舞して回っています。その言葉には重みと慈しみにあふれています。その根底には、著者自身の失敗体験や苦労体験があります。付属の講演CDを聴くと、その苦労がどんなものであったのかがよくわかります。
同時に、著者がいかに「理」の壁を乗り越えていったか、そのメンタリティを学ぶこともできるでしょう。
冒頭で引用した個所はその例です。
後輩に対して、部下に対して、自信を持って仕事の何たるかを語れるリーダーになりたいと考えている人にはうってつけの一冊です。
特に即効性の「理」に頼りがちな人にとっては、遅効性の「情」のパワーに触れる良い機会になるでしょう。
▼次にすること:
» 『仕事が夢と感動であふれる5つの物語』を読んで、自分の仕事を振り返る
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