同じ努力をしても、人から早いと思われる人と、要領が悪いと思われる人がいます。その違いは、人から見たスピードを考えているか否かにあるのです。
1.10~20分以内で済むことは即やる
10~20分以内で済む仕事を、いまどれくらい持っていますか?
もし1つでもあるとしたら、スグに完了させてください。
たとえば、人事総務などから提出書類の依頼があったときは、その日のうちに出してしまいます。申告書の作成であれば、10~20分以内ですむでしょう。納期が翌週でも、すぐできることはスグやるのです。スグやれば、1つその仕事が終わり、自分の気分もすっきりします。
ここで大切なのは人から見たスピードです。10~20分以内で済む仕事はいつでもできると思い、1つひとつの仕事が後回しになってしまいます。
スグできる仕事を優先して片づけると、人から見たスピードがあがるのです。なぜかというと、スグできる仕事は、時間がかかる仕事に比べて、件数が案外多いのです。件数が多いので、早く完了させていることが目立ちやすいのです。「仕事が早いね」をほめ言葉にもらえるように人から見たスピードに気を配りませんか。
2.メール処理はリアルタイムを心がける
スグできる仕事の典型例が、メール返信です。
メール処理はリアルタイムを心がけましょう。
リアルタイムといっても、常にメールを見ているべきという意味ではありません。メールを開いたときは、その場で全て処理すれば十分です。返信が必要なものはその場で返信します。
返事のために準備が必要で結果の返信までに時間がかかるメールもあります。
たとえば、資料を作成するとか、多くの人との調整が必要な場合です。スグに結果を返信できない場合は、「いつまでに結果を返信します」と連絡を入れることが効果的です。「相手はメールを確認してくれたな」「いつまで待てばいいんだな」と、一件落着するのです。
メール処理のリアルタイムを心がけるだけでも、「仕事が早い」という印象を相手に与えられます。メール返信が早い人ほど、実際の仕事の要領がいいのです。仕事ができる人は、メール返信の早さで相手を評価します。
仕事ができる人は、仕事ができる人、スピード感覚を持っている人だけと仕事をしたいのです。仕事ができる仲間、仕事ができない仲間、あなたはどちらの仲間に入りたいですか?
3.相手の期待より少しでも早く回答する
相手の期待より少しでも早く回答すると、相手は「仕事が早いね」と思ってくれます。納期ギリギリだと、相手も不安になります。
仕事ができる人から見れば、納期ギリギリの人に対して、「やっつけ仕事をしたな」と感じます。仕事ができる人は、スケジュール管理がしっかりしているので、納期ギリギリの人は信用できないと、悪い評価を下すのです。
納期前に仕事を完了させましょう。特に完成までに時間がかかる仕事は、少なくとも2~3日前には完了させましょう。
たとえば、月末の納期であれば、「25日までに完了する」という決意を持ち、スケジュールに時間を確保するのです。
時間がかかる仕事に限らず、相手の期待より少しでも早く回答することを心がけます。納期を守ればいいと考えている人は、納期ギリギリか、時間切れで結果的に手抜きになるか、納期を遅れるかのどれかに陥りやすいのです。
4.うっかり忘れを防止するためにメモを活用する
うっかり忘れで納期遅れや、納期ギリギリになることもあります。うっかり忘れを防止するために、メモを活用しましょう。メモを持ち歩く、携帯電話などの携帯端末をメモ代わりにするのも一案です。
会社にいないときに気がついたことは、うっかり忘れ防止のため、会社の自分のメールアドレスにメモ書きを送信するのです。
たとえば、やり残しの仕事に気がついたとき、アイデアが浮かんだときなど、メモをメールにして自分にメールを送信しておくのです。帰社したときに思い出せるのでとても便利です。
To Doリスト(第2回で紹介)も、うっかり忘れを防止するためにメモといえます。人間は忘れやすい動物です。コンピュータなら記録できますが、人間の記憶力に過信は禁物です。メモの使い方を工夫し、仕事の効率をあげましょう。
5.無精を返上する
仕事のスピードを上げるために重要なことは、無精を返上することです。
何ごとも、無精では大成しません。無精は無精をよびます。無精になると、やる気がどんどん吸い取られていくのです。その結果、頼りない顔の表情になり、仕事のスピードもどんどん低下していってしまいます。
やる気は、やる気を生みます。やる気を起こす原動力は「達成感」です。小さくてもいいから、達成感を味わってください。最も簡単な達成感は、To Doリストの1項目が完了したとき、「1つ終わった!」と自分に問いかけます。1つ終わった達成感を味わうことで、次の仕事の活力につながります。
おわりに
今回は、人から見たスピードをあげることの重要性とテクニックについてご紹介しました。
10~20分以内で済むことは即やる、メール処理はリアルタイムを心がける、相手の期待より少しでも早く回答する、このどれ1つをやるだけでも、人から見たスピードをあげることができます。
関連エントリー:
・仕事のスピードをアップさせるコツ
・5秒待って反応がなかったら次に行く
・スピードハック研究会・第1期に寄せられたQ&A総集編
・仕事が速い人はタイムマネジメントが上手い/今日からできる仕事術・第2回
・少しずつ上昇し続ける人は同じところをぐるぐる回り続ける人とどこが違うのか?
- 1.『仕事がデキる人になるための「始めの一分間」』
時間は1日24時間と誰に対しても平等ですが、同じ時間でも人よりパフォーマンスを上げる、またはムダな時間をなくすことで自分のやりたかったことを実行するなビジネスの場に限らず、誰かとあったときの第一印象というのは非常に重要なものです。第一印象で失敗をしてしまうと、そのイメージを払拭するのにとても時間がかかってしまいます。
その逆に、第一印象が良いとその後もとんとん拍子に事が進んでいきます。
そして、これは対人関係に限られたものではありません。何かを考え始めるとき、仕事を始めるとき、朝起きて一日を始めるとき、これらのときも最初の一歩次第でその後が変わってきてしまうのです。
本書では何かを始めるときに調子良く物事を進めるためのポイントを
- 「なぜうまくいかないのか」
- 「うまくいく人の習慣」
- 「法則①」
- 「法則②」
- 「活用例」
の5つに分けて詳しく説明をしていきます。
いつもエンジンがかかるまで時間がかかってしまう、そう感じている人に読んでいただきたい一冊です。
PDF: 339ページ
- 2.『世界一わかりやすいポーター博士の「競争戦略」体験授業』
ストラテジー(戦略)といえばM.E.ポーター博士を置いては語れませんが、ポーター博士をご存知ではない方も多いかもしれません。しかし、好業績を上げている経営者や、経営コンサルタントの間では、ポーター博士の『競争の戦略』は座右の書として重宝されてきました。
本書では業界内外にある5つの競争要因を中心に「競争戦略」とはどのようなものかを、大学院教授と企業のマーケティング担当をしている社会人大学院生の二人の会話を通して説明していきます。
- 学生:「いま、家電メーカーのマーケティング部門にいます。しかし、新製品を出してもヒットしないし。おまけに価格が下がって利益が出ません。どうしていいか、悩んでいます」
- 教授:「それなら、ポーター博士の『競争の戦略』を理解することが近道だよ。これから何回かに分けて話してあげよう」
- 学生:「でも先生、そもそも、なぜ戦略が必要なんですか?」
- 教授:「企業は競争にさらされているからだよ。そもそも競争とは何かから説明したほうがよさそうさだね」
(本書序章より)
PDF: 264ページ
▼西村克己:
岡山市生まれ、大学教授、経営コンサルタント。富士フイルム、日本総合研究所を経て芝浦工業大学大学院「工学マネジメント研究科」教授に就任。専門分野は、経営戦略、戦略的思考、論理思考、図解思考、タイムマネジメント、プロジェクトマネジメント。現在までに96冊の著書がある(累計180万部)。