先日、年上の知り合いと雑談をしている折に、なぜか子育ての話になり、一方的に自慢(?)された「子育てハック」が、聞いている限りは「なるほど、確かにそうかもしれない」と思えたので、ご紹介。
彼(仮にKさん、とします)には中学2年生になる女の子がいるのですが、彼女に“仕込んだ”のは次の3つの「子育てハック」。
1.ゲーム中毒を予防
2.苦手な食べ物を好きにさせる
3.健脚開発
1.ゲーム中毒を予防
年頃になると、子どもはゲームを欲しがるもの。クラスメイトの大半が持つようになるために、
「みんなも持ってるんだから、(のけ者にされないように)ウチも買ってよぅ」
という具合に、ねだられるのです。
そこでKさんは次のように言います。
「買ってもいいけど、確実に目が悪くなってメガネをかけることになるよ」
そういわれた彼女は、無事ゲームをゲットしたものの、それほどのめり込むことはなく、数年たった今でもメガネはかけていないとのこと。
いろいろとツッコミどころはありますが(属人的では? 女性はそんなにゲーム狂にならない? メガネは個人差があるのでは?などなど)、何かネガティブな条件を暗示されておくと、それがほどよいストッパーとして機能する、ということはありそうです。
2.苦手な食べ物を好きにさせる
数ある苦手品目の中で、今回のターゲットはネギ。いかにして彼女にネギを食べさせるか。
Kさんが採った方法は「すき焼き戦法」。といっても手口はいたってシンプル。次のように言うだけです。
「すき焼きを食べる時、通はネギと一緒に食べるんだ」
そういわれた彼女は、
「食通か…なれるならなりたいものだ」
…と思ったかどうかは定かではありませんが、すき焼きの時はいっぱしの「すき焼き通」気取りで、さっそうとネギを食べるようになり、最終的にはネギが大好きになった由。
これまた微妙さ満点ですが、年頃の子どもが抱きがちな「大人にあこがれる気持ち」を上手にすくいとって、きれいに「一本」を決めている感じがします。
3.健脚開発
うまい表現が見あたらなかったのでなぜか四字熟語ですが、要するに歩くことをいとわない人になってもらおう、という趣旨です。
具体的には、高尾山という“ツール”を使います。
Kさんの家族は毎年高尾山にアタックしているそうなのですが、そこでKさんが実践した工夫は、年々登頂までの目標タイムを縮めていく、というもの。つまり、少しずつ制限時間が短くなっていくため、ゲーム性が生まれるのです。
その結果、彼女は目標達成に躍起になり、今や親のもくろみ通り「歩くの大好きっ子」になったとか。
まとめ
若干脚色の感が否めませんが、いずれも根本となる考え方は腑に落ちるものばかりであり、信憑性も高いといえます。何よりも「わかるまで言って聞かせる」とか「容赦なく暴力をふるう」といった力業(ちからわざ)とは対極にあるところが、好ましく聞こえます。
子どもを力ずくで親のコントロール下に置こうとするのではなく、子どもの自然な気持ちをうまく誘い出して、自分の意志で前に進んでいるように思わせるわけです。実際のところ、子どもは自らの意志に沿って行動し、その延長線上で求める果実を手にしているように見えます。
このことは、やらなければならないことはイヤと言うほど分かっている、それにもかかわらず、どうにも手がつけられないという職場にいる“大きな子どもたち”にとっても、ヒントになるように思いました。
それで思い出したのが『チャンスがやってくる15の習慣』という本の以下の言葉。
「イエス」と言う理由を示す。
言うまでもなく、「イエス」と答える理由は相手にとっての理由でなくてはなりません。あなたの有利に働き、あなたの利益になるような理由では、相手を動かすことはできません。
相手の有利に働き、相手に利益があるような理由が必要です。手っ取り早く言えば、あなたがやってもらいたいことをすれば、相手にとってどんな利益があるのかを話せばいいのです。
あなたにどれほど利益があるかという話はご法度です。
今回ご紹介したKさんの3つの工夫は、いずれもこの法則に沿っていることに気づくでしょう。
1.メガネをかけないで済む(=望ましくないことが起こらずに済む)
2.通と言ってもらえる(=認めてもらえる)
3.(山に登るのが)楽しくなる(=単純に楽しい)
どれも相手の言うことを聞き入れることによって自分にもたらされる利益といえます。しかも、それは自分で動けば勝ち取れるものですから、放っておいても躍起になる、というわけです。
これを一般化すると次のようになるでしょう。
1.相手の危機を救う
2.相手の虚栄心をくすぐる
3.相手に喜んでもらう
ほかにもまだありそうですが、上記3つは「人にやってもらいたいことを気持ちよくやってもらう」上での十分条件にはなるでしょう。
ちなみにこのKさんとは、以下でご紹介したカイロプラクティックの院長先生のことです。相手を気持ちよくさせるのが上手な人なのでした。
通い始めてかれこれ5年来になるカイロプラクティックがあります。
どんな道であれ、真摯な姿勢で取り組み続ければ、ある種の「突き抜け」に到達するのだな、と強く感じたのが、そのカイロプラクティックのK先生の一言です。
カイロプラクティックの道を歩き始めて20年。5年の下積み期間を経て、都心に診療所を構えた折に掲げた目標は、
「日本一のカイロプラクティックになる!」
それから15年。
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