退屈傾向スケール
以下28の設問は、「退屈しやすさテスト」という心理テストです。
●「たしかにそうだ!」なら、7点
●「まったく違う」なら、1点
●「どちらとも言えない」ものには4点
を、それぞれ付けて加算します。
ただし、*のマークが末尾に付いていたら、逆にしてください。
とは言え、そんなに厳密にやらなくてもよくて、多くがあてはまっているなら「退屈しやすい」と言えますし、あてはまっていなければ「退屈しづらい」と言えます。*マークは逆の意味になります。
ではどうぞ。
01.自分が行っている活動に集中するのは容易だ *
02.働いている間頻繁に、自分が他のことを心配していると気づく
03.時間はいつもゆっくり流れていると感じる
04.なにをしてよいかわからず、自分をもてあましているような気分でいることが多い
05.無意味なことをしなければならない状況によくはまってしまう
06.他人のホームムービーや旅行のスライドを見せられると、ものすごく退屈する
07.心にいつも何かの計画があり、何かすべきことがある *
08.一人で楽しむのが得意だ *
09.しなければならないことの多くが、反復的で短調
10.何かをやり始めるには、人より多くの刺激を必要とする
11.やっていることの多くに喜びを感じる *
12.めったに自分の仕事に興奮しない
13.なにもしないでただ座っていることが多い
14.辛抱強く待つのは得意だ *
15.どんな状況でも、何かやることを見つけたり、興味保つことができる
16.時間はあるのに、することがない、ということがよくある
17.行列に並ぶなど、待たされる状況には、非常にイライラする
18.朝起きるとアイデアが浮かんでいることがよくある *
19.ワクワクするような仕事を見つけるのは難しい
20.人生では、もっとやりがいのあることをしたい
21.自分の能力以下の仕事をしていると感じることがよくある
22.人から、クリエイティブで想像力があるとよく言われる *
23.興味のあることが多すぎて、全部をやる時間はない *
24.友達の中では、自分が何かを最も長く継続してやっている *
25.非常に興奮するような、時には危険なことをしないと、退屈で死にそうだ
26.心から幸福を感じ続けるためには、変化やバラエティに富んでいないとダメだ
27.テレビでも映画でも、やっていることはいつも同じに思える。なにもかもが古くさくなってきている。
28.若い頃には、しばしば短調で退屈な状況におかれた
「退屈傾向スケール」(BPS)より
こころのサイエンス 2008年 08月号 [雑誌] by G-Tools |
退屈する人、しない人
調査では、このスケールの平均スコアは99。ほとんどの人は、81〜117の間に入ります。どんな心理現象でもそうですが、退屈のしやすさについても個人差があります。だからこそ、こうした心理テストも開発されるわけですが。
一般には、退屈しやすいという人は、集中するのが苦手、という関連性(因果関係ではない)が見られるようです。なぜなら、集中することができなければ、どんな行為でもつまらなくなってしまうからです。
逆に言えば、集中することさえできれば、たいていの作業は楽しく感じることができるのです。これはいかにも信じがたいことかもしれませんが、ちょっとした心理実験があります。
その実験では、「集中して読めば面白い本」を被験者に読んでもらいました。一部グループは、本を読んでいる間中、音を消したテレビの画面が目に入るような場所で、読んでもらいます。もちろん実験の目的は伏せてあります。
そうすると、テレビのチラチラが目に入るグループの人たちは、そういう気損じのないところで本を読んだ人たちに比べて、本の内容がつまらなかったと評価しました。ただし、本がつまらなかった理由に、テレビのチラチラをあげることは、なかったのです。
人は集中できないと、何事も楽しむことができないわけです。ということは、集中力の差が、退屈するしないに密接に関わってくる可能性を示唆します。どんなことにも容易に集中できるなら、めったに退屈しなくなるはずだからです。
このことについては、ミハイ・チクセントミハイが幅広くデータを集めて、詳細に分析しています。退屈とは正反対の心理概念である「フロー体験」についてまとめた本が、邦訳もされていますので、ご興味ある方はどうぞ。
楽しみの社会学 Mihaly Csikszentmihalyi 今村 浩明 新思索社 2001-01 by G-Tools |
外部の刺激に依存しすぎない
このように考えてくると、「退屈と闘う」ことは、それなりに意義のあることと思えてきます。それはそのまま「集中力を高める」ことを意味するからです。
もちろん問題は「退屈と闘う」ための有効な方法など、あるのかどうかということです。これについては、具体的であっと驚くほどの方法を、心理学者は提供できていませんが、時間はかかってもよければ有効な戦略は存在するようです。
一言で言えば、「退屈と闘う」には「刺激指向に陥らない」ことです。これはあまり面白い戦略ではないので、人気が出そうにありませんが、有効なのはたしかだと思います。逆を考えればその理由がはっきりします。
もしも子どもが退屈したとき、いかにも喜びそうな刺激を次々に与え続けていれば、その子はきっと退屈に対して脆弱になるでしょう。「退屈だ」とさえ言えば、退屈を紛らわしてくれるような、面白いおもちゃやゲームが用意されるのであれば、内的な退屈に抵抗する力を付ける必要などなくなるわけです。
これは大人もまったく同じです。退屈を紛らわす気晴らしを次々に探し求めていれば、退屈に弱くなります。しかも悪いことに、人間の脳はこの手の刺激について、エスカレートします。刺激をより強めていかないと、退屈を紛らわす効果が弱くなってしまうのです。
退屈と闘うには、退屈になったからと言って、すぐにテレビを付けたりネットをしたり友達に電話したりしないことです。そういう気晴らしに走らず、外的な刺激抜きでも、「退屈で死にそうに」なったりしないように意識を訓練します。そうすることで、退屈に対する内的な抵抗力が強まります。それがおそらく、集中力を高めるということにつながるはずです。
我田引水になってしまいますが、私自身は「退屈と集中」というテーマについて、二冊本を書いています。こちらもよろしければ、チェックしてみてください。
「ロボット」心理学 佐々木 正悟 文芸社 2005-04 by G-Tools |
夢中の法則 ~集中力がアップするしくみ~ [マイコミ新書] (マイコミ新書) 佐々木 正悟 毎日コミュニケーションズ 2007-11-22 by G-Tools |