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スティーブ・ジョブズに学ぶ「数字センス」の磨き方

池田千恵ベストセラーとなった『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン』の続編ともいえる『スティーブ・ジョブズ驚異のイノベーション』を読みました。

この本は、「どうやったらスティーブ・ジョブズのようなイノベーションを起こせるのか?」を「7つの法則」に分けて、詳しく説明しています。

7つの法則とは以下のものです。

  • 法則1 大好きなことをする
  • 法則2 宇宙に衝撃を与える
  • 法則3 頭に活を入れる
  • 法則4 製品を売るな。夢を売れ。
  • 法則5 1000ものことにノーと言う
  • 法則6 めちゃくちゃすごい体験をつくる
  • 法則7 メッセージの名人になる


それぞれに、ジョブズの名言、アップルの事例、そしてイノベーションを起こし、結果を出している企業の事例がふんだんに載っていて、読んでいるうちに、自分も「“宇宙に衝撃を与える”ような、大きいことをしたい!とワクワクしてしまう本でした。

自分の内なる心の叫びに正直になり、心の叫びから突き動かされた結果、イノベーションはあるのだな。頭で考えるのも大事だけど、最初の「着火ポイント」は心なんだな、と思いました。

しかし、それ以上に私がワクワクしたことがあります。


それは、ジョブズの「数字使い」のセンス。これは、「伝える」「動かす」資料作成を研究している私にとって、学ぶべきヒントがとても多いものでした。

シゴタノ!をお読みの皆様はすでにご存じの方も多いと思いますが、スティーブ・ジョブズは、商品の魅力、自分がやりたいことをシンプルな一言にまとめる天才です。

iPodを表す一言で、「1000曲をポケットに」というキャッチフレーズは有名ですよね。

数字を効果的に使うことで、概念をピタっと的確に説明し、なるほど、と納得させる力がすごいです。

それ以外にも、心を動かすための「数字を使った」言葉が、この本にはたくさんちりばめられており、私はそこに反応したのです。なぜなら、この数字センスこそが、短くてインパクトがある言葉を作るキモとなるからです。

ジョブズの言葉に力がある理由はこれか!と、この本を読んで興奮しました。

例えば、こういった語録がちりばめられています。

Macの起動時間が長い、と気に入らずに改善と求めたときの言葉

このマシンをいったい何人の人が買うかわかっているのか?何百万人だぞ?起動時間を5秒短くできたらどうなる? 毎日、5秒かける百万もの違いになる。50人分の人生に相当する時間だ。5秒の短縮で50人分の命が救えるようなものなんだ

iTunesストアをオープンするにあたり、1曲あたり99セント払うのは高い、という意見に対する言葉

99セントというのは、どのくらいのお金だろうか。今朝、スターバックスでラテを買った人はどのくらいいるかな?ラテは1杯が3ドル。それだけあれば、3曲買える

ただで手に入れられる音楽をiTunesでダウンロードすることのメリットについての言葉

たとえばこんな感じだ。ある曲が欲しくてカザーにアクセスする。ひとつだけみつかるなんてことはまずない。50とか60とかもみつかるはずだ。その中から問題なくダウンロードできるファイルを選ばなければいけない。

で、たいていは選びまちがう。じりじりするくらいゆっくりとしかダウンロードできないし、途中で止まってしまう。(中略)こうして何度も何度もトライし、15分かけてようやく欲しかった曲がきちんと聴けるファイルを手に入れる。つまり、1時間で4曲、アップルで買ったら4ドル分しか手に入らない。時給で考えたら、最低賃金より安い仕事をしているに等しい。しかも、その仕事は盗みなんだ。

アップルストアの立地を、人が集まる場所にるす理由についての言葉

地価がずっと高くなってしまうけど、その価値はある。お店に来るのに20分もの時間を使う必要がなくなるからだ。20歩歩くだけでいい


思えば私も、「数字」は前職の外資系コンサル会社勤務時代から意識せざるを得ない環境にありました。感情的に「これはいい」「こうすべきだ」だけでは人は動きません。相手を納得させるためには数字は重要な役割を果たしていました。

また、外資コンサルの前の職場のワタミでは、「主語と述語と数字で語れ」と教わっていました。主語・述語だけではツメが甘い。数字がないと納得できない、ということです。

では、ジョブズのような数字センスを磨くために、日々私たちができることは何でしょうか。

私が心がけているのは、以下のようなことです

  • なんとなくしている仕事を、数字で表現してみる
  • なるべく形容詞を使わないように意識する


例えば、私は前職で資料作成の仕事をしていました。毎日作っている資料の枚数を数えてみたところ、6年間で7万5000枚以上の資料を作っていたことに気づきました。「ただ、資料作成の部署にいた」だけではインパクトはないですが「資料作成をしていて、6年間で7万5000枚作っていた」となると、「けっこう蓄積があるな」と思いませんか?

例えば、残業を3時間した、というだけだと、あー疲れた。よく頑張った。で終わってしまいますが、一度自分の月給を稼働日数、稼働時間で割って時給を割り出し、○円×3時間、と考えると、「おお、今日はイタリアンのコース料理1回分働いちゃったよ」なんていったように見える化できますよね。

ちょっとありきたりですが、分かりやすい例として東京ドームの面積・体積(面積46,755平方メートル、容積124万立方メートル。Wikipediaより)を覚えておき、表現に使ってみるのも良いでしょう。

なるべく形容詞を使わない訓練としてお勧めなのは、逆説的ですが、相手に説明するときに最初に次の言葉を思い浮かべることです。

「あのね!ちょっと聞いて!すごいんだよ!何がすごいかっていうとね…」

「すごいんだよ!」という形容詞だけで文章終わらせると、何がすごいのか全く分からないのでNGですが、「何がすごいかっていうとね…」とつなげると、すごい理由をきちんと説明しなければいけなくなりますよね。だから論理的な言葉を自然に考えることができるようになります。論理的な言葉には数字がついてまわるので、無理にでも数字を使って考えざるを得ないように、頭のスイッチが切り替わります。

すぐにスティーブ・ジョブズみたいになりたい!と思ってもなかなか難しいですが、日々「数字」を意識して生活することは誰にでもできます。今回紹介した方法で、さっそくいつもの日常を数字で表現する訓練をすることで、徐々に表現力が磨かれていきますのでお試しください!


▼編集後記:
池田千恵



7月末に私の新刊がマガジンハウスより発売となります!

今最後の仕上げの段階です。内容は時間管理系の話です。今自分ができる精一杯をつぎこみました。次回の更新のころにはタイトル、内容などお知らせできると思います!


▼池田千恵:
前向き早起きエバンジェリスト。朝を有効活用してビジネスの基礎体力をつける「Before 9(ビフォア・ナイン) プロジェクト」主宰。