はじめに
この5冊のリストは、「短期間で読めるようになる」という目的に特化したリストです。私自身のことを考えますと、英文が読めるようになったのは結局、この5冊に負うところが大なのです。
うち4冊は、受験勉強時に利用した参考書です。
受験というのは期間が限られていて、心理的には追い詰められています。したがって受験生は、とにかく短い時間で、最小限度の能力だけは身に付けたいと切望していますから、供給されるテキストもよくニーズに合っているわけです。
つまり、短期間で一定の能力を確保するのに、受験参考書を探ってみるというのは、いい方法だと思います。
NEW・山口英文法講義の実況中継―高2~大学入試 (上)
NEW・山口英文法講義の実況中継―高2~大学入試 (上) 山口 俊治 語学春秋社 1998-03 by G-Tools |
ごく基本的なことのみが書かれています。本書は、一ヶ月もかけて読むようなものではありません。できれば、三日で読み終えてしまいましょう。読むのが速い人で、少々時間があれば、一日で読み終わります。
ただし、本書は「覚える」ものではなく考え方を理解する本なので、速読向きではありません。長くても五日あれば読み終わると思いますが、「じっくり」読んだ方が後で効いてきます。
NEW・山口英文法講義の実況中継(下) [改訂新版]
NEW・山口英文法講義の実況中継(下) [改訂新版] 山口 俊治 語学春秋社 1998-04 by G-Tools |
(上)とセットですが、(上)を読み終えたあとであれば、(上)よりは速く読めます。理想的には、(上)を三日、(下)を二日で読みます。
この上下セットを一通り理解すれば、「英語を読むための英文法」は、一通り押さえられます。あとはそれを、実際の英文の中で、どうやって適宜思い出すかです。
ビジュアル英文解釈 (Part1)
ビジュアル英文解釈 (Part1) (駿台レクチャーシリーズ) 伊藤 和夫 駿台文庫 1987-12-10 by G-Tools |
実際の英文の中で、「英語についての知識」を活用するために、この本はとてもいいワークブックです。私は受験生時代、基本的には本書の知識だけで、英語学科に潜り込みました。
本書は30前後の「小記事」がありますが、特に初めの方は簡単なので、一日一パートなら余裕で読み切ることができます。解説も恐ろしく丁寧ですので、一人で悩まずにすむでしょう。
ビジュアル英文解釈 (Part2)
ビジュアル英文解釈 (Part2) (駿台レクチャーシリーズ) 伊藤 和夫 駿台文庫 1994-08 by G-Tools |
Part1と比べて、こちらに収録されている英文は、そう簡単なものではありません。英書を読んでも、これよりも易しい英文で書かれた「名作」はざらにあります。ちなみに受験でテストされる英文は、アメリカの大学院生が読む心理学書よりも、さらに難解な英語で書かれているものが少なくありません。
この段階まで来れば、英文を読めるかどうかは、知識の問題というよりも気持ちの問題であったり、あるいは体力の問題ということになります。日本語でも、長時間根を詰めて読むのは疲れるものです。
もうひとつ、いわゆる「語彙」、ボキャブラリーの問題がありますが、今は電子辞書があるので、「読む」ことが目的であれば、語彙問題で本格的に悩むことはないでしょう。パソコン上なら、マウスカーソルを当てるだけで、訳語を表示してくれるソフトもあります。
SEライフ〈Vol.2〉SEのための英語力
SEライフ〈Vol.2〉SEのための英語力 SEライフ編集部 技術評論社 2005-01 by G-Tools |
上記の参考書でカバーできるのは、基本的に「正式な英文」に限ります。「非文法的な英文」は、それらの知識だけでは読めないものです。
とくに、ビジネスパーソンの方は、非英語圏の方が発信する英文メールを読む必要も、あるかもしれません。そうした英文読解の知識を、書籍で網羅するのは不可能ですが、英文における省略した書き方や、特殊用例を押さえておけば、非文法的英文の読み方も、容易に推測できるようになります。
本書はそうした知識を付けるために、うってつけと言えます。
終わりに
三ヶ月というのは、英文を読む能力を身につけるには、やはり短いといわなければなりませんが、上記5冊を読み終えれば、一定の英文読解力が実際に身につきます。三ヶ月後には少なくとも、英文メールくらいは普通に読めるようになっているはずです。
さらに長い英文を読むために必要なものは、すでに述べましたとおり知識ではありません。日本語でも分厚い本を敬遠してしまう人もいます。しかしそれは、日本語を読む知識が不足していることが原因ではないはずです。
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