すっかり出遅れてしまいましたが、2月22日に行われた「第3回 AMNブロガー勉強会」についての振り返りです。
以下のように、すでに各所で言及されていますので、
●人のブログを笑うな(小林さん)
●AMNブロガー勉強会、ブロガーはみんな我流(いしたにさん)
●AMN ブロガー勉強会に参加しました (スライド公開)(堀さん)
今回は、たつをさんに命名いただいた、
にて書いてみます。
花を見、根に目を向け、求める果実を目指す姿勢
いしたにさんが質疑応答タイムの中で、さらりと口にされた以下の一言が今回のブロガー勉強会で最も含意のあるメッセージだったと、個人的には思っています。
「30分で書けないということは、インプットが足りないということ」
ともすると人は、「花」に目を奪われがちです。
例えば、箇条書きで表現可能な技巧集の類が「花」にあたります。でも、「花」は結果であって、これを咲かせる源はいうまでもなく、その「根」にあります。
どのようにしてそのような「花」が咲いたのか、その根底にある考え方やマインドセットにアプローチできなければ、それは「高嶺の花」のままでしょう。
もう1つ、「根」に注目するべき理由は、そもそも目指すべきは未来の種たる「果実」の獲得ですから、どうすれば求める「果実」が得られるのか、それを根本から考えるため、ということになります。
いしたにさんの「書きかけストック」を蓄積していくというやり方は、一見すると地味で“つまらない”ものに思えるかもしれません。即効性と対極にあるからです。でも、実はそこにこそ“匠の技”が隠されていると思うのです。
なぜなら「書きかけ」というエントリー未満の“仕掛品”を大量にストックしておくことにより、“注文”に応じて素早く“完成品”を作り上げる体制ができあがるからです。
そこには「ブログかんばん」とでもいうべき“製造システム”の存在が窺い知れます。
ここでいうところの“注文”とは、人との会話の中で出てきた言葉、あるいは本を読んでいる最中に目にした言葉など、ちょっとしたきっかけのことを指します。それによって、
「あ、そういえば似たようなことを書きかけていたことがあったっけ」
という“掘り返し”が瞬時に行われるのです。
仕掛品のままでもOK
糸井重里さんは『インターネット的』という本で次のようなことを述べています(今さらですが)。
たとえば、模型飛行機の趣味を持っている人々にしても、ひとりでつくってひとりで眺めているだけでは、面白くありませんから、集まって、見せあったり飛ばしたり競技したりします。個人のつくったもの、個人の力を、みんなで分けあって楽しむというシェア(おすそわけ)は、クラブ活動などで、みんな体験してきたはずです。
料理なんかでも、ひとりで黙々と食べて、“ぜんぶ、独占してやるッ!”というよりは、“ねえ、食べてごらんよ”というほうが、より楽しくおいしいでしょう。“いや、誰にもやらん!”という人がいてもかまいませんけれど、ね。分けあうということは、なぜかは知らねど、楽しい、と。その「シェア」というよろこびの感覚が、インターネット的なのです。
この文脈に沿っていえば、ブログもまた「シェアしてなんぼ」のもののはずです。自分ひとりの中では「まだまだ完成まではほど遠い」と思っていたとしても、すなわち“仕掛品”止まりという認識であったとしても、それをいったんエントリーとして公開してしまうのです。
こうすることで、自分以外の人の目に触れることになりますから、何らかのフィードバックが得られるようになるでしょう。
「そんなこといっても、うちのブログの読者なんてたかがしれてますよ」という反論があるかもしれません。
そこで目を向けたいのが、時を隔てた未来にいる自分です。フィードバックをくれるのは、何も他人だけではありません。というより、時間が経って今の記憶がすっかり薄れてしまった未来にいる自分自身こそが、最も頼りになる存在なのです。
実は、今ここに書いていることは、約1年半前に書いた以下のエントリーを“仕掛品”としています。
本を読んで「なるほど!」と思った部分を抜き書きしてノートに書いていく。思い出したときにノートを読み返すことで「あぁ、そうそう、こういうことが書いてあったっけ」というように掘り返すことができる。
でも、読み返さない限り掘り返されることはない。たとえ読者が数人だったとしても、その読書ノートをブログなどで公開するのであれば、誰かの目に触れることによって、掘り返してもらえることもある。
特に、自分でも忘れていたような記述が、誰かのコメントやトラックバックという“シャベル”で掘り返されることによって、思わぬ着想が得られることもある。
他力本願になるわけではないが、そういうこともある、という期待があるだけでも続けるモチベーションになると思う。
非常に短い未完成のエントリーでしたが、今回のタイミングで掘り返すことによって、ようやく一応の完成を見ることができた、といえなくもありません。
関心(何をすくう?/何をスルー?)が浮き彫りになる
ブログに書くということは、それだけの手間と時間をそこに費やすわけですから、どうでもいいことは端折られるでしょう。必然的に、自分にとっての関心事だけが文章化され、蓄積されていくことになります。
脳の中に沈む、あるいは新たに沈められる無数の知識のうち、関心の強いものだけが浮かび上がってくるようなイメージです。いいかえれば、後で引き上げやすいように“ブイ”をつけて沈めていく、という感じかもしれません。
いずれにしても、日々押し寄せる膨大なインプットをさばく上で、ブログは有効なフィルターとして機能する、ということはいえそうです。
#当日のプレゼン資料を以下に公開します。
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