シゴタノ!では「継続の3タイプ」のお話をよくしていますが、たとえば「完璧主義」にもそれぞれのタイプに沿った形があります。
たとえば、「続ける系」での「完璧主義」は、「雨ニモ負ケズ風ニモ負ケズ」系。例外的事情に対する妥協を完全に排除しようという意気込みが感じられます。
「貯める系」の「完璧主義」は、「無理が通れば道理が引っ込む」系。無理なペースでダイエットすれば、普通の人は不安になりますが、その不安もモチベーションに変えて突っ走ります。ある意味では逆境を愛するタイプでもあります。
そして「マスター系」の「完璧主義」ですが、これは「天才型ナルシスト」。この場合、本当に天才であるなら、現実との間に矛盾は起こらないのですが、もしも天才でない場合には、「負けを認めない」という態度で乗り切ります。
完璧主義が一番シンプル
このように「完璧主義」を貫く人の態度というのは、3タイプのどれをとっても不自然です。ですが、しばしばこうした不自然な態度で継続力は発揮されます。なぜなら、この態度はシンプルで理解しやすいからです。
「続ける系」そして「貯める系」で考えてみます。いずれの場合も、カレンダーを塗りつぶしたり、数値目標を設定したりすることが、よく推奨されるやり方です。たとえばマラソンでしたら■で塗りつぶしていくといったやり方、ダイエットでしたら間食はしないというやり方です。
継続力を発揮するにあたり、つまずきやすいのは「慣性」に流されるときです。快調に毎朝マラソンを続けていても、雪が降っていたりすれば、「今いる温もりのある寝床」と「雪景色の外」を比較してしまいます。そうして寝床を選びたくなります。
その気持ちの「対抗馬」となるのが、たとえば■が並んだカレンダーを思い浮かべることですが、
A ■■■■■■■■■■■■■■■■■■
B ■ ■ ■■■ ■ ■■ ■ ■
AとBとを比較した場合、Aを思い浮かべることができれば、なんとか「寝床の温もり」にも対抗できるかもしれませんが、Bだと難しくなります。そもそもAの列ほど「美しくない」ため、思い出すこと自体が簡単ではないし、「次ぐらい空白であってもいい」と思ってしまいやすいからです。
また、「マスター系」の場合も、「天才型ナルシスト」の考え方に、脳はよく応えてくれるのです。テニスなどで誰かに負けたとしても、「実力では勝っていた」と考えるのは容易ですし、「同量の練習を積めば自分の方が上」と考えるのも簡単です。つまり、「いつも自分の方が上」と思いこむのはシンプルな考え方なのです。
そしてこうした考え方を採用し続けることができれば、「マスター系」も長続きします。極端に言えば、少しも上達していなくても、「おれすごい!どんどんうまくなっている!」と思うからです。
いつもできるやり方を続ける
自分は以上のような「完璧主義者」ではないし、またそうなりたくもない、とお思いの人は多いでしょう。そういう方にとっても、「完璧主義者」の態度には参考にできる点があります。
それは、継続力を発揮する完璧主義者は、まるでトートロジーのようですが、完璧に継続できるように、継続しているのです。「マスター系」の「天才型ナルシスト」などはとくにそうです。
「いつも勝ち続ける」ことはできなくても、「いつも自分が最もうまい」と思い続けることは、性格の特性からできるわけです。このように「いつも〜している」と思えるような、あるいは事実そうであるような方法や形式や態度を手に入れることが、何かを続ける上ではうまいやり方です。
例えば私は今年一年、ある程度貯金することができましたが、「いつも節約する」ことができたわけではありません。いつもできていたのは、家計簿を付けることです。その副産物として貯金ができたわけです。
2007-12-12(水)の記事で、大橋さんが継続のコツとして真っ先に「許す」をあげていました。「許す」のは、「いつもできること」のハードルを下げることにつながります。何ならいつもできるのか? その答えは、徐々に「許す」ことによって見つけ出すことができます。