ベック君作業量見誤る!の巻
ここは東京某所のST電機第1ソリューション事業部
プロジェクトもひと段落が着いたということで、第1ソリューション事業部全体で新年会を行うことになっていた。定時のチャイムがなって少ししたころ・・
オオハシ部長:さぁみんな、そろそろ新年会にいこうか。
オオハシ部長の掛け声に促され、次々とメンバーがPCの電源が落としていく中、一人いやな汗を流しながら仕事を続けているベック君がいた。
ベック君:うわぁぁぁ、終わらない。。
見かねたオオハシ部長がベック君に話しかける
オオハシ部長:ベック君どうしたの?
ベック君:すみません・・作業が終わりません。
オオハシ部長:何の作業だっけ?
ベック君:明日の朝10時からレビューしてもらう提案資料を作ってるんです。
オオハシ部長:ああ、A社向けのね。
ベック君:今日の午後で終わる予定だったんですが・・
オオハシ部長:ちなみに残りどんな作業が残っているの?
ベック君:どんなというか・・・資料作成です。
オオハシ部長は「うーーん」とうなり、少し考えて口を開く
オオハシ部長:ちなみに、後何ページ? 完成度でいうと何パーセント?
ベック君:えっと・・たぶん後8ページぐらいで、パーセントは60%ぐらいです。
オオハシ部長:明日の打ち合わせまでにどの程度完成させる必要があるの?
ベック君:えっと・・すみません、とりあえず自分が納得するレベルかなと。
オオハシ部長はベック君と同じチームのメンバーを呼びとめ事情を聞いた。
オオハシ部長:なるほどね。明日の10時の打ち合わせでは資料のアウトラインさえできてればよかったわけだ。わかった、ベック君?
ベック君:は、はい!! それなら後30分でできます!!
オオハシ部長:うんうん。新年会はちょっと遅刻になっちゃうけど、ちゃんと参加できそうだね。
ベック君:はい!!すぐに終わらせて新年会に向かいます!
オオハシ部長:それから・・普通、この分量の資料を作るのに慣れてる人でも10時間ぐらい掛かるからね。今日半日で終わらせるというのはちょっと無理があるね。もう少し作業をブレークダウンして、何をいつまでに終わらせないといけないかを決めてから作業に取り掛かった方が良いよ。
ベック君:すみません・・以後気をつけます。
オオハシ部長:それじゃ、先に会場で待ってるから。また後で!
オオハシ部長の機転で事無きを得たベック君。
デキるビジネスマンへの道は遠い。。
タスクリストに載せたその後に!
前回は情報が何かを考え、例えばタスクならToodledo、スケジュールならGoogleカレンダー、メモならEvernoteといった具合に然るべき場所に配置するところまでの流れをお話いたしました。
しかし、タスクが適切にToodledo(タスクリスト)に入れられたからといって、それが適切に実行されるかどうかは別問題です。今回はタスクを適切なタイミングで実行するための方法論について考えてみましょう。
■まずはタスクを分解-いつやるのか?大きさは適当か?
人に振られたり、自分から見つけたりという形で、タスクは自分のタスクリストの中に入ってきます。皆さんはこの入ってきた段階のタスクで意識するのは主に「期限」ではないでしょうか? しかし、期限はその日までにやらなければいけない日付であり、いつそのタスクをやるかという情報にはなりえないのです。
例えば、A社向けのプレゼンの資料を作らないと行けないとして、その締め切りは6日後だとします。過去の作業時間から考えて、資料作成には調査・作成・社内レビューのそれぞれの段階で以下の時間が必要だと分かりました。
- A社プレゼン資料調査 7h 明日まで
- A社プレゼン資料作成 8h 4日後まで
- A社プレゼン資料レビュー 5h 6日後まで
しかし、この単位でタスクを管理すると、この作業内容も広範に及び不明確ですし、なにより他にも業務や雑務があるとすると、7hや8hのタスクというのは、1日に収まりきらない可能性があります。それに、この段階では何をどこまでやれば本日完了なのかが分かりづらいですよね。このタスクをもう少し分解して並び替えてみると・・・
- A社プレゼン資料打ち合わせ内容を精査 2h 明日
- A社プレゼン資料市場調査報告書を読む 2h 明日
- A社プレゼン資料ネットで情報収集 1h 明後日
- A社プレゼン資料過去事例からヒント 2h 明後日
- A社プレゼン資料アウトライン作成 2h 3日後
- A社プレゼン資料アウトラインレビュー 1h 3日後
- A社プレゼン資料0.8版作成 2h 4日後
- A社プレゼン資料0.8版レビュー 1h 4日後
- A社プレゼン資料0.9版作成 2h 5日後
- A社プレゼン資料部長レビュー 2h 5日後
- A社プレゼン資料最終版作成 2h 6日後
- A社プレゼン資料最終版確認 1h 6日後
これぐらいまでタスクが分解できていれば、日別の作業内容と、それをいつやるのかという情報までを持たせることが出来るようになります。明日この業務に当てられる時間が4時間しかないのであれば、明日できるタスクは上から2つまでということが明確に分かりますね。
■Daily Task Listを持とう!
ここでいうDaily Task Listとは、その日に遂行するタスクが書かれたリストのことを意味します。皆さんがお使いのタスクリストには、おそらく複数日分のタスクが並んでいると思いますが、この中かから今日やる分だけを抜き出したものがDaily Task Listとなります。
基本的にはどうしても直ぐに対応しなければいけないタスク以外はこのタスクリストに追記をしなようにします。この様に際限なくタスクが増えることのない、完了が見えるリストのことを「クローズリスト」と言います。
先ほど、タスクリストのタスクを”何日”にやるべきかというところまで分解をしましたが、このDaily Task Listではそのタスクを”何時”にやるかを決めていきます。
タスクのスケジューリングについては、佐々木かをりさんが『ミリオネーゼの手帳術』の中で提唱されていたアクションプランナーの様に、タスクをスケジュールに組み込んでxx時からこのタスクをやる! と決めてしまってもいいでしょう。
しかし、個人的には大橋さんが提唱されている時間帯で区切ってタスクを配分するという方式がおすすめです。区切りは以下の3時間区切りですが、ご自身の働き方や集中力等に合わせて幅の増減をさせても問題はありません。
- A=06:00~09:00
- B=09:00~12:00
- C=12:00~15:00
- D=15:00~18:00
- E=18:00~21:00
- F=21:00~24:00
- G=24:00~
時間帯で区切っておくことで、ある作業が予想よりも時間が掛かりすぎてしまった場合やある作業に対して気が乗らない場合、割り込み作業などが発生した場合であっても、柔軟にその時間内でタスクの順序を組み替えることができます。また、この時間内に収まらないときには別の枠に移動や、タスクを分割して他の枠に移動させるなどすることで、ダラダラとタスクを引き延ばさせない効果があります。
クローズリストはこの本に詳しく書かれています
アクションプランナー式を身につけたい場合はこちらがおすすめ
■最後に
今回はタスクリストに配置したタスクを適切に”何日にやるか”わかる様に分解し、更にDaily Task Listの中で”何時にやるか”わかる様にタスクをスケジューリングする方法を紹介しました。
今回はやや理論じみたでしたので、次回は実際に私が使っているタスクリストの「Toodledo」とDaily Task List+Doing Listである「ほぼ日カズン」を例に挙げて、タスク管理~タスク遂行の流れを説明いたします。
▼今週の一冊
先週、ネタフルのコグレマサトさんと一緒に飲む機会がありました。その時にいくつかコグレさんの成功の秘訣のようなものを伺い、とても多くの学びと気付きを得ることができました。更に「マキコミの技術にその辺のことはまとめてありますよ」と教えていただいたので、速攻で買いました、マキコミの技術(お会いする前に読んどけよとツッコまれそうですが ^^;)。
まだ読中なので詳しくは書けないのですが、Twitterやブログと言ったソーシャルメディアを著者のコグレさん、いしたにさんがどのように活用し、それによってどのような効果を得てきたのかが惜しげもなく書かれており、読んでいて非常に興味深いです。
処女作「Evernote情報整理術」ついに入稿しました。
後は出来上がりを待つばかり・・ドキドキ。Evernoteの使い方ではなく、より快適に情報を収集/整理/活用するためにはどの様にEvernoteを使えばよいかをまとめました。ご興味がございましたら、是非一度お手にとっていただければ幸いです。(2月9日発売)
▼北真也:
仕事術をもっとカジュアルに! わかりやすさ重視の「ビギナーズ・ハック」をお届け。Blog「Hacks for Creative
Life!」と勉強会「東京ライフハック研究会」主宰。