※当サイトはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。

プレゼン資料作成は「アウトライン」と「キーメッセージ」から/ビギナーズハック第10回

北真也

ベック君プレゼン資料作成を頼まれるの巻

オオハシ課長 よし、今朝のミーティングは以上だ。みんな今日が山場だ!

全員 はい!


ST電機ソリューション事業部では、2日前に客先から出された短期間のRFP(Request For Proposal;提案依頼書)に応札するために総員体制で応札資料の作成に取りかかっていた。オオハシ課長の大号令のもと、プロジェクトメンバーが一気に動きだした。

Planning
 
オオハシ課長 うーん、ベック君にいきなり見積もり資料や細かな要件整理を手伝って貰うのは難しいかな。

メホリ先輩 それなら客先説明用のプレゼン資料を作って貰いましょうか。私も手伝いますので。

オオハシ課長 そうだね。宜しく頼むよ。


メホリ先輩からプレゼン資料の概要について説明を受けるベック君。


メホリ先輩 どう、だいたい分かった?

ベック君 はい!概要は分かったので一度資料にしてみます。

メホリ先輩 よろしくね。いきなりで勝手もわかんないだろうから、まずは”アウトライン”を作って各スライドに”キーメッセージ”だけ書いたものを作って見せてくれるかな。

ベック君 ????(アウトライン??キーメッセージってなんだ??)

メホリ先輩 ん?・・・なんかわかんないって顔だね。

ベック君 す、すみません!!アウトラインとキーメッセージが分かりません。

メホリ先輩 ・・・ああ、そうか。まぁ、学校じゃ教えてくれないからね。

メホリ先輩のプレゼン講座
アウトラインというのは全体構成、キーメッセージというのはそのスライドで一番伝えたいキーワードのことです。いきなりプレゼンを作り出すのではなく、スライド全体を通して何を伝えたいのか?どういう順序で伝えれば分かりやすいのかを考えて全体構成を決めましょう。

また、スライド一枚に情報を詰め込みすぎたり、逆に何の意味もないスライドができたりしないように注意しましょう。基本はスライド1枚に一番伝えたいメッセージ1つという構成です。但し、その資料が配布目的かプレゼン目的かによってメッセージの詰め込み具合は変わるので、必ず1スライド1メッセージとは限りませんよ!

メホリ先輩 どう、分かった?

ベック君 はい!よく分かりました!

メホリ先輩 まぁ、プレゼン手法も色々あるから、それによって構成もえらく変わるんだけどね。

オオハシ課長 そうそう、高橋メソッドとか、もんたメソッドとか。

メホリ先輩 それを併せて大橋メソッドとか(ニヤリ


そこからオオハシ課長とメホリ先輩のプレゼン談義が行われたのだが、ベック君には話してる内容の3割ぐらいしか理解できなかった。プレゼンの奥深さを思い知らされるベック君は、この後アウトライン+キーメッセージレベルの資料で4回リテイクを繰り返すことになるのでした。

 

プレゼン資料作成のビギナーズハック

さて、今回からはビジネスシーンで使えるプレゼン資料作成やプレゼンの技術についてのビギナーズハックをご紹介したいと思います。

PCを使うことが当たり前になった昨今のビジネスシーンでは、プレゼン目的以外でもPowerPointを使って”人に伝えるためのスライド資料”を作成する機会が増えています。しかし、実際に”人に伝えるためのスライド資料”を作る方法は、学校教育で教えられてきたわけでもありません(※)し、会社の先輩や上司全員がノウハウを持っているものでもありません。プレゼン資料を作成する必要がある人の多くが、本などから知識を得て独学で身につけなければならない状況にあるのです。

※ちなみに、私の出身高校では学校の授業の中でPowerPointで資料を作成し、実際にプレゼンまでやらせているらしく、時代の進みように驚きを隠すことができません。

いきなり資料を書き出していませんか?

資料作成を行う際にもっとも嵌りやすい罠が「いきなり文字を書き出す」「いきなり図を描く」ことです。勿論、それが必ずしも間違いとは言い切れないのですが、全体の整合性が取れた伝わりやすい資料を手戻り無く作る為には、最初にアウトラインをきっちり固めた後に個々の資料を作り込むべきでしょう。以下に紹介する、SDS法やPREP法などの様々な「型」を覚えておくことで、アウトラインを考える手助けになります。

SDS法
SDS法は英語で書くとSummaryでDetailsを挟んでいる形ですが、日本語で書くと概要→詳細→まとめといった意味合いになります。

SDS法
Summary(概要)
Details(詳細内容)
Summary(まとめ)

PREP法
PREP法も英語表記ではPointでReasonとExampleを挟む形になっていますが、出だしのPointはどちらかというと主張や論点、最後のPointは全体の要約やまとめという意味合いになります。Point、Reason、Exampleの3点で論理を組み立てるあたりは三角ロジックを彷彿とさせます。

PREP法
Point(主張・論点)
Reason(根拠・理由)
Example(具体例・データ)
Point(要約・まとめ)

現状分析、課題抽出、解決策の提示
これはソリューション系の提案資料などによく見られる形式ですが、まずは現状の分析を行い、そこから課題と考えられる点を抽出した後、その課題を解決する方法を提示するというものです。また、解決策を複数案提示して、各案のメリット・デメリットなどを比較するなどのバリエーションを取ることも可能です。

この型をSDS法のDetailsに当てはめると下図の様な形になります。

全体構成とか.003

キーメッセージは何ですか?

アウトラインが決まった後、一枚一枚作り込んでいきたい気持ちをグッとこらえて各スライドで一番言いたいキーメッセージを書いていきましょう。全体構成とキーメッセージを併せてストーリーを確認することで、全体の整合性を高めたり、特定のスライドに偏りがでないか等のチェックが出来ます。

また、キーメッセージ+そのページに何を書くかを簡単に箇条書きで書いた状態で、上司や他のメンバーにチェックをして貰えば、イメージずれなどが有った場合にも早期に発見することができるため、手戻りによる工数の無駄を削減することにもつながります。

全体構成とか.003

 

最後に

今回はプレゼン資料を作成するに当たって「アウトライン」と「キーメッセージ」を最初に考えましょうという内容をご紹介致しました。次回はプレゼンをいくつかのパターンに分けて、実際にどの様なスライドを作っていけばいいかについて具体的なイメージも交えてご紹介致します。

▼今週の一冊:

少し前に堀さん倉下さんが紹介していた『ゲイリーの稼ぎ方』という本を読みました。書かれている内容はパーソナルブランディングについてなのですが、この本のタイトルにもあるとおりマネタイズ(稼ぎ方)についても言及されている点が類書と一線を画しています。

また、個人的にはゲイリーの「好きなことで生きていくんだ」という熱い想いにかなり触発されてしまいました。私自身もBLOGなどの情報発信をしたり、他者とコミュニケーションを取ったり、勉強会などを企画したりと、かなりソーシャルメディアにはお世話になっているわけですが、この本を読んで自分の活動の原点である“熱意”を思い出すことができた気がします。読んだあと、「よし、もっと頑張ってBLOGを書こう!」と心に誓わずにはいられない、そんな不思議な力を持った一冊でした。

~Twitter、Ustream.TV、Facebookなど、ソーシャルメディアで世界一成功した男~ゲイリーの稼ぎ方(ソーシャルメディア時代の生き方・考え方)
ゲイリー・ヴェイナチャック
フォレスト出版
売り上げランキング: 4450
おすすめ度の平均: 4.0

5 じっくり読む本では無いですが、お金儲けの方法が理解出来ます
5 パーソナルブランドの必要性を認識できた
5 素晴らしい一冊
2 ツイッターなどの手法論でなく、商売の在り方を説いている本
5 ソーシャルメディア全体のなかでustreamとTwitterとの連携を明確化した本

 

▼編集後記:
北真也
以前お伝えしたとおり、東京ライフハック研究会Vol.2の募集を開始致しました。今回のテーマは「読書」です。ご自身の読書を進化させ、秋の夜長をより充実させてみませんか?

 
9月26日(日)13:30に渋谷にて開催です。

お申し込みはこちらのページからお願いします。

また、今回から始まりましたプレゼンシリーズですが、プレゼンを上達させる早道は「実際に資料を作成し、人前で話す」ことです。前述の東京ライフハック研究会では、他の参加者の前でプレゼンを行うライトニングトークの時間を設けていますので、「もっとプレゼンを上達させたい」という方は是非ライトニングトークに挑戦して下さい。

 
▼北真也:
仕事術をもっとカジュアルに! わかりやすさ重視の「ビギナーズ・ハック」をお届け。Blog「Hacks for Creative Life!」と勉強会「東京ライフハック研究会」主宰。