雑誌のオンライン書店・Fujisan.co.jpの「デジタル雑誌」をいくつか読んでみました。
「デジタル雑誌」とは、雑誌の全ページをPC画面上で読むことができるという新しいメディアです。Acrobat Readerのように、専用のツール(Fujsan Reader)をインストールする必要があるのですが、こういったツールで大量の文章を読むのは疲れるのではないか、と思いつつ、試してみると、思いのほか使い勝手のよいものでした。
また、Fujsan Readerは読むだけでなく、“付箋”を貼ってメモを残したり、“マーカー”で任意の箇所にマーキングができるなど、普段紙の雑誌を読んでいる時にやりたくなるようなことがたいていできます。
主な機能は以下の通り。
・読み進める上で邪魔にならない拡大・縮小機能
・メモ機能(“付箋”を貼る)
・マーカー機能(特定箇所をマーキング)
・キーワード検索
▼実際の画面イメージ
読み進める上で邪魔にならない拡大・縮小機能
ページをめくる操作は、スペースキーや矢印キーの左右に対応しています。スペースキーを押すことでページがめくられるのは、Webブラウザで画面をスクロールする時と同じ操作のため、あまり違和感がありません。また、矢印キー(「←」で後半のページへ、「→」で前半のページへ)の操作も直感的と言えます。
ページがめくられる際には、アニメーションで紙が送られるため(右図)、実際に紙の雑誌を読んでいる時のような感覚(もちろん、現実とはほど遠いですが)を彷彿とさせ、少なくとも前に進んでいるのか後ろに進んでいるのかが分からなくなる、ということはありません。
さらに、ページ上の任意の位置をクリックすると拡大します。一度拡大させると、スペースキーを押すたびに、拡大範囲が移動します。例えば、右側のページの上部を拡大している時にスペースキーを押すと、同じページの下部にスクロールし、さらにスペースキーを押すと、今度は左側のページの上部に移動します。左側ページの下部まで来ると、ページがめくられて、再び右側ページの上部に移る、といった具合です(このあたりは実際に体験していただいた方がよいでしょう)。
メモ機能(“付箋”を貼る)
先ほどの画面イメージの右側のグレー地の部分に並んでいるのがメモです。実際のメモは、黄色いカコミ(以下の画面では「世界の育児事情」とメモしてあります)で表現されます。
現実の付箋と同様、画面上のどこにでも貼り付けることができ、後からページ内を移動させたり、内容を編集することができます。
付箋を貼ったページについては、右側の一覧からジャンプできるようになります。
マーカー機能
以下のように、選択範囲を黄色くマーキングすることができます。メモ機能と同様、右側の一覧にリストされます。
キーワード検索
本文はもちろん、表の中の文字も含めて検索することができます。検索結果はやはり右側の一覧にリストされ、ここから該当箇所にジャンプすることができます。
そのほか、雑誌によっては動画が含まれている場合があり、クリックすることで動画の再生が始まります(青いアイコンが目印)。
今のところ、デジタル版が提供されている雑誌で主だったものは以下の通りです(独断と偏見で)。特に「R25」は、競争率の高い街中よりも確実に入手でき、入手後も場所を取らない、というメリットがあるでしょう(読み捨てる場合はこの限りではありませんが)。
・R25(無料)
・ダカーポ
・ニューズウィーク日本版
・Mainichi Weekly(毎日ウィークリー)
・ベースボールマガジン
一覧はこちら。
購読するだけでなく、単品で買うこともできます。
購読した場合は、Fujsan Readerが定期的に新着をチェックして、最新号があれば、自動的にダウンロードしてくれます。ポップアップで購読している雑誌の新着号が届いたことを通知されるので、そこで読み始めることができます。
「デジタル雑誌」の規格に対応している雑誌の数はまだ少ないのですが、「ニューズウィーク」や「R25」のような週刊誌がPC上で読めるのは、保管場所を気にせずに済む、という点では非常にストレスフリーなのではないかと思います。
自分もそうなのですが、ブログのネタを雑誌から拾っている、という人にとっても、
「確か、あの雑誌に関連記事があったはず!」
と思った時に、雑誌の山をかき分けることなく、該当の記事を探し出すことができます(メモやマーキングがしてあれば、よりスピードアップ)。
ただし、使う上で1つ気になったのは、メモやマーキングが雑誌の号単位になっている、ということです。つまり、Fujsan Reader内にあると分かっていても、具体的にどの号かがわからなければ、1つ1つ開いては検索、ということを繰り返す必要があるのです(ある程度アタリはつけるにしても)。
これは、購読を続けて号が増えていった場合、確実にネックになりえます。Fujsan Reader内の雑誌すべてを対象に検索ができればベストでしょう。あるいは、Googleデスクトップのインデックス対象になる、とか。
いずれにしても、現段階では、今まで死蔵されがちだった雑誌の情報をPCから参照できるようになった、という点においては画期的と言えます。
その代わり、庭先に雑誌専用の“納屋”あるいは“離れ”ができたようなもので、探すためには“母屋”から出ないといけない(=Fujsan Readerを起動しないといけない)という制約は受け入れる必要がありますが。