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焦っても速くはならないので、かけるべき時間をぜんぶかける


佐々木正悟 焦るのはよくありません。なぜ焦ってはいけないかの答えはシンプルで「焦っても速くはならないから」なのです。

私自身はこれまで約12年にわたって、「1分のスキマもなく、自分の行動を記録」してきました。

残念ながらそのすべての記録を今すぐ手元で確認することはできませんが、6年前の、2015年2月3日以来のすべての記録は確認できます。

2015年の2月3日は節分だったので、7時55分頃に起床して、9時14分に娘を幼稚園に送り出し、19時24分からその娘と一緒に豆まきし、21時40分には眠りにつきました。

こんな記録まで「ぜんぶの行動を」残している私なので、「急いだり焦ったりすることで、仕事を平均で何分何秒節約できるか?」についてもおおよそのところであれば、答えることができるのです。

答えは「焦ると数秒〜1分程度遅くなる」のです。

これは、お弁当作りでも、移動のための準備でも、原稿執筆でも、セミナーのためのスライド作成でも、長い目で見ればほとんど例外なくこうなります。

最速のやり方は、かけるべき時間をぜんぶかけること

原因はシンプルです。焦ることは、よけいなことを連想させます。

焦っていると、現実には起きていない、あれこれを空想しやすくなるのです。それもだいたいは、悪い想像をします。

焦っていると、電車に乗り遅れたり、相手の人に怒られている顔が思い浮かぶことがあるはずです。HSPの人などであれば、日常茶飯事かもしれません。

仕事中、よけいな空想をすることは、邪魔にしかなりません。つまり、焦ることで仕事は遅くなるのです。

また焦ると、過剰な興奮状態になったり、交感神経優位な状態を招きます。

たとえば執筆中であれば、タイプミスが増えます。計算中であれば、計算ミスが増えます。講演中であれば、言い間違いが増えます。

作動記憶のキャパシティが狭くなって、保持すべき情報をど忘れしたり、アタマの中が真っ白になって、次にすべきこと、言うべきことがおぼつかなくなります。

だから確実に仕事の進みが遅れていくのです。

約束を期日までに終わらせるには、焦らず仕事にじっくり取り組み、かけるべき時間をぜんぶかけることです。

トータルで見れば、それが最速のやり方なのです。

仕方がないのです。

▼編集後記:
佐々木正悟



意外に読まれているかな、という印象になってきました。ありがとうございます。
 
本書は実は、難しい話はいっさいしていません。
 
本書を難しく感じさせているのはむしろ、新しく、ユニークで、独特の発想なのです。
 
つまり、私たちは、ある日時に0歳児として生まれ、ある日時に、100歳あたりで死ぬ、という「観念」です。
 
もちろんそれは、計算すればそういう「見方」もできましょうが、あくまでもそれは数値化した結果に過ぎず、最初からそういう「現実」が外在しているとか、真実としてあるわけでもなんでもありません。
 
教育によってインストールした、確立された、強固なものの見方に過ぎません。しかもきちんと教育されていないかぎり、こういう感じは自明には決してならないものです。
 
しかもこれに、こんどは必ずしも教育されたわけでもない「価値観」までくっつくようになりました。それは、人間というものは「ほとんど価値がない状態で生まれてきて、スキルや能力を身につけることによって、その価値が徐々に増えていく」という考え方です。
 
これは、私にはとうてい受け入れられない考え方ですが、世の中にそうした「考え」や「価値観」があることはわかります。しかしそれは「価値観」であって、決して「外在する真実」ではありません。不採用とすることは、いつでもどこでも可能なはずです。
 
私はこの二つ、人生とは、数値化された年月に沿って歩んでいくようなものだという観念と、それにともなって「自分の価値」(生産性?)を高めていけるという価値観を、ともに放棄すれば、「自分の時間」のことでまったく悩まなくてすむようになる、と言いたいだけなのです。
 
そしてそういうことは、難しいようで容易なのです。なぜならこれは、苦労して身につけた観念と価値観であって、生まれながらにして備わっている発想などではないからです。