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年末年始は情報環境の整理を~2019~

倉下忠憲さて、年末です。忙しい日常では疎かになりがちな、情報環境の整理を行いたいものです。

今回は、情報環境整理におけるポイントを確認していきましょう。

どんなインプット?

まずは振り返りです。自分は今年一年どんな情報摂取を行ってきたでしょうか。

はるか昔に比べると、この振り返りは難しくなっています。昔は書籍や雑誌、そして新聞くらいが情報摂取の対象でしたが、昨今ではポッドキャストや動画など多様なメディアがその選択肢に入っています。

しかも、買い切りではなくストリーミングサービスも増えてきているので、自分の履歴の全体像を把握するのは困難を極めつつあります。

それでも、どのような媒体で情報摂取を行ってきたのかを、できるかぎり振り返ってみましょう。

どれくらいインプット?

それが終われば、次はどれくらいの時間や量、インプットに使ってきたのかの振り返りです。

これもまた現代では困難を極めます。メディアが多様化していることに加えて、その摂取が断片的だからです。たとえば、自分は今日一日どれくらいにTwitterに時間を使ったのかを把握できるでしょうか。隙間時間にちょいちょい覗いている感覚だと、おそらくその「感覚的なサイズ」はゼロに近いのではないでしょうか。

もちろん、その感覚は誤りです。五分や十分どころではなく、トータルでは一時間近く使っていることすらありえます。そして、そのことに自分は気がついていないのです。

あのドラッカーも時間の使い方の計測からはじめよ、と説いていますが、可能なら一度それをやってみましょう。なにも毎日継続し続ける必要はありません。一週間なら一週間と、その期間だけで良いのです。

幸いなことに、iOSではスクリーンタイムという機能によって、アプリの起動時間がわかります。

完璧なデータとは言えませんが、ある程度は推測の役に立つでしょう。

アウトプットとの比率

情報摂取側の振り返りが終わったら、次は生産側の振り返りをやってみましょう。

この一年間でどれだけの情報を生産したでしょうか。トータルの活動結果はどのくらいだったでしょうか。ここで注目したいのは、生産の総量ではありません。情報摂取との比率です。

生産の総量自体は、手持ちの時間(可処分時間)で大きく変動します。もちろん、総量もチェックしたい項目ではありますが、そればかりを見ていては全体を見失うでしょう。それよりも、手持ちの時間をどれだけ摂取・生成に割り当てているのか、という比率に注目した方が前向きな振り返りになります。

インプットばかりしているのにアウトプットがまったくない。あるいはアウトプットに追われ続けていてインプットができていない。そういう状況ならば、来年以降は何かしらの改善が必要でしょう。

特に現代では、インプット過剰になりがちなので、アウトプットとの比率にはぜひとも注目しておきたいところです。

アウトプットの扱い

「情報の生成」といっても、堅苦しく考える必要はありません。ちょっとしたメモを書きつける、読書メモを作るといったものも、情報の生成に入ります。そうした生成を、はたしてこの一年でどれだけ行ってきたでしょうか。

もし、ひたすらインプットをしているのに、アウトプットがぜんぜんできていないなら、まずは小さなメモから始めてみましょう。メモがある程度あるならば、今度はそれを素材にして、より大きな情報生成に取り組んでみましょう。

とにかく、何かを書き出す(生み出す)ことです。

たとえばWebで情報を検索したら、それで終わりにするのではなく、簡単に自分でまとめてみる、といった一手間を入れるだけでもずいぶん違います。もちろん、そうした活動は時間を使うものですが、そうするだけの価値はたしかにあります。それを踏まえた上で、インプットとアウトプットのバランスを調整していくのです。

さいごに

もう一つ、情報環境の整理で意識しておきたいのが、今年積み残した荷物です。具体的には、読もうと思って「あとで読む」などに入れておいた情報群です。

それらの情報群を積み残したまま来年に突入すると、「あとで読む」リストが長大になりすぎて、読む気がますます失せてしまうので、この機会に処理しておきましょう。

一番簡単なのは、まるっと削除してしまうことです。来年以降も情報摂取を続けていくならば、新しい情報がどんどん入ってくるのですから、ストックがなくなる心配もありません。もし、どうしても気になるなら「可能なら読む」のようなフォルダ(ノートブック、タグ)などを作って、そこに送り込んでおけばよいでしょう。擬似的なゴミ箱を作るわけです。

そうして、「あとで読む」リストを空っぽにしておけば、新年も気分良くスタートが切れます。

というわけで、来年以降も楽しい情報摂取&情報生産を続けていくために、一度は情報環境を整理しておきましょう。

» 「年末には…」シリーズ

▼今週の一冊:

最近、ステマ問題が騒がしいですが、「ファン」を大切にする考えなら、ステマ的なものはまっさきに排除される施策になるでしょう。これはPRを行う企業だけでなく、それに協力するブロガーなどの情報発信者にとっても大切な話になると思います。



▼編集後記:
倉下忠憲



ああ、今年も終わりですね。今年はインプットもアウトプットもかなり量が少ない一年となりました。とりあえずは、健康の回復・維持が最優先事項なので、インプット・アウトプット量の回復は、来年以降の目標にしたいと思います。


▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。メルマガ毎週月曜配信中