個人的には、「ビジネス書」も「カンフル剤」の一種としてとらえる人が多いのではないか、と思っています。
スキルやツールが役立つというより、「これを読んで一瞬でもやる気を出そう!」という発想です。
そう考えたときの700円(新書)や1200円(単行本)といった金額は高くないかもしれません。
しかしカフェインも耐性がついてしまうし、5杯以上はかえって気持ちが悪くなったりします。ビジネス書も、読み飽きれば効果が薄れてしまいます。
一方でやる気はいつでもどこでもいつまでも、必要です。仕事はなくならないからです。
そこでちょっと「タスク管理をしていても、いますぐやるべきそのタスクこそ、やる気にならない」という問題について考えてみたいわけです。
先のことを一切考えない
「本気とは、いまこの瞬間に最大のエネルギーを注ぎ込むこと
これは倉園佳三さんのブログからの引用です。この一文だけを読むと、たいへんに体育会系の根性論か、独特のスピリチュアルのようにしか受け止められないかもしれません。
もう少しこれを、ライフハック的に読んでみます。
すると次のような文章にすぐぶつかります。
この文章だけを読むと、本気かそうでないかで費やすエネルギーの量は大きく異なるように見えます。でも、実はこの点でも大差はありません。
なぜならば、本気でないときの私たちは、「一刻も早くこの作業を終わらせたい!」と願いながら、
「完了した状態という未来に、大量のエネルギーを放出している」
からです。
タスク管理していても、していなくても、この点には要注意です。
先に仕事がたくさん控えている。そのリストを見る。そういう癖がついてしまうと「未来に、大量のエネルギーを放出している」パターンにはまってしまうのです。
今やっていることが終わっても、次にはプロジェクトの仕事が、そしてミーティングが、終わってからも…と7つ8つの仕事を想像するうちに、十分に消耗します。
今やるべき仕事だけに集中し続けるというのは、意外と難しいことです。
とにもかくにも、グッドバイブスは「本気」だらけなのです(笑)。ところが、この話を聞いた人から、「でも、いつも本気でやると疲れてしまうじゃないですか!」という異論が飛び出すことも少なくありません。
本気でやると疲れる?
もしそれが事実だとしたら、グッドバイブスは苦行のようなものになってしまうし、それを何年も実践している私は、いつでもヘトヘトに疲れ果てていることになります。もちろんそんなはずはありません。
「いつも本気でやると疲れてしまう」と訴える人は、本気でやることへの不安がまず勝っています。そしておそらく次の事実を忘れています。それは「いつも本気は出していないのに疲れてしまっている」という事実をです。
実際、私に対して同じことを訴える人にしても、倉園さんに「本気の疲れ」を訴える人にしても、
- 「私はいつも仕事ではバッチリ手を抜いているからこそ、こんなに元気いっぱいなんですよ!」
といった調子ではないのです。
すでにけっこうお疲れのご様子です。「仕事に本気」は出していないにもかかわらず! だとしたら、「本気」が本当に疲労につながるのか、よくよく検証する必要がありそうです。
- 仕事に本気を出していない → でも疲れている!
- 仕事に本気を出したら? → 疲れてしまう!
これは私には、イマイチ論理的ではないように見えます。
ここでタイトルの課題に戻るわけですが、仕事に「カンフル剤」が必要だと思ってしまうのは、「本気をブロックしておく必要がある」と強く信じているせいだと思うのです。
そしてこれは、自己矛盾を生み出します。
- 仕事に本気を出しては疲れる。
- だから本気をブロックしておく必要がある。
- でもそれではエネルギーがわいてこない。
- そこでカフェインで自分に刺激を与えてエネルギーを引き出さないと!
問題は、カンフル剤ではなく本気を出すことへのブロックにありそうです。であれば話は簡単です。ブロックを外せばいいだけです。
鎌倉で定期開催中の倉園佳三さんによるワークショップ。
今回のテーマは
+ 「しあわせな役割」
です。
実はこれも、倉園さんによると「本気を出す」ことによって「導かれる」ものだそうですが、私にはこれがなかなか受け入れられません。
一番最初にこのお話を伺ったときになど私は「これが最大のネックになるだろう」と思ったものです。自分としては。